「雪崩」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「雪崩」について
【表記】雪崩
【読み方】なだれ
【ローマ字読み】nadare
子季語・関連季語・傍題・類語など
・底雪崩(そこなだれ:sokonadare)
・地こすり(じこすり:jikosuri)
・風雪崩(かぜなだれ:kazenadare)
・雪なだれ(ゆきなだれ:yukinadare)
・雪くずれ(ゆきくずれ:yukikuzure)
・なだれ雪(なだれゆき:nadareyuki)
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季節による分類
・「な」で始まる春の季語
・「春の地理」を表す季語
・「仲春」に分類される季語
月ごとの分類
雪崩を含む俳句例
雪崩止四五戸が嶺と闘へる/楸邨
夕兆す雪崩の音を鎮魂歌/有働亨
青天に音を消したる雪崩かな/杞陽
山替の糧負ふ杣に遠雪崩/太田蓁樹
雪崩跡閃々と雨飛び来る/岡田貞峰
春蘭や雪崩の跡に土乾き/児玉小秋
杣小屋へ山吹草の雪崩咲/辻田克巳
仏壇の扉開かせくる雪崩/対馬康子
洗面の水の痛さの遠雪崩/石川桂郎
薫風の雪崩落ち来る庇かな/上野泰
天懸る雪崩の跡や永平寺/皆吉爽雨
遠雪崩みな少年の目で仰ぐ/奈良文夫
雪崩音止みて落石音こだま/岡田日郎
禅寺に間髪容れず雪崩音/橋本美代子
春近き表層雪崩くりかへし/津田清子
昼の雪崩ひびかふ墓や遊蝶花/有働亨
雪崩してとゞろく峰を岩燕/吉川春藻
遠雪崩最終戦に間に合へば/櫂未知子
沖の耳化粧の雪崩刷きにけり/及川貞
満月の峡押してくる雪崩音/武田杏人
俳句例:21句目~
藁屋根に雪崩の跡や二三筋/西山泊雲
遠雪崩山本山の海苔が反り/坪内稔典
遠雪崩山の慟哭聞えけり/永野由美子
大雪崩さそふ雪崩の起りたる/水本壱
天冥く山響きあふ雪崩かな/河野南畦
職員用地下食堂に雪崩聞く/五島高資
遠雪崩妻と襖をへだてをり/山田素雁
面壁の影ゆるぎなし遠雪崩/吉沢卯一
雪崩あと兎真白く死にゐたり/田原玉乃
膏薬をはがし雪崩を誘いおり/山本敏倖
菜を洗ふ表層雪崩つづきをり/秋本敦子
薪小屋へ雪崩咲きたる山吹草/勝又一透
贖罪の終る日いつぞ遠雪崩/小松崎爽青
遠雪崩ひとりの旅寝安からず/藤田湘子
遠雪崩杣はランプの火屋磨く/山本雅子
ホームにも雪崩警報掲げあり/西村和子
遠雪崩聞きつゝ寝まる火を埋む/堤剣城
雛かざる遠峰の雪崩ひびく日を/莵絲子
雪崩かなし羚羊の死岳人の死/福田蓼汀
何か音ひびけば雪崩さうに山/奥田智久
俳句例:41句目~
聖オルガン暗きに鳴りて春雪崩/有働亨
雪崩跡越え来て雛の客となる/勝山耕南
北壁の雪崩の聲を聴きながす/古舘曹人
雪解山幾座雪崩の痕ふかし/水原秋櫻子
国二つ呼びかひ落す雪崩かな/前田普羅
馬の目に遠き雪崩の音とどく/今瀬剛一
駅弁のなぜたのしきや雪崩止/石川桂郎
大雪塊ころげ現はれ雪崩やむ/岡田日郎
天心の月ふるひたる雪崩かな/吉田冬葉
奥壁は雪崩のこだま返し来ず/高田貴霜
寺の鶏雪崩の音にかたまれり/皆川盤水
岩雪崩とまり高萩咲きにけり/吉田冬葉
火口壁雪崩をさそふ雲過ぎつ/澤田緑生
炉火守の遠き雪崩に目覚めをり/辰之助
熊笹や雪崩の跡に立ちこぞり/澤田緑生
瑠璃鳴ける雪崩跡日の洽しや/岡田貞峰
煌々と夜汽車動かず雪崩来て/岡本まち子
炉辺の犬耳を立てたる雪崩かな/宮下翠舟
雪崩して震ふ障子に病める僧/大橋櫻坡子
その雪崩午後二時頃といふ悲し/京極杞陽
俳句例:61句目~
ほととぎす雪崩は谷を塞ぎけり/松村蒼石
橇を干す戸にまたひゞき遠雪崩/山岸治子
キヤンプの灯淡き暈もつ遠雪崩/渡辺立男
雪崩音過ぎて声あげ子等の橇/加藤知世子
雪崩です沈みゆく白い軍艦です/田中芥子
遠雪崩耳のつまりし水車小屋/殿村莵絲子
花に寝て散りくる花を雪崩とも/石原八束
喪の明けの心ゆるびに遠雪崩/冨田みのる
夜半さめて雪崩をさそふ風聞けり/秋櫻子
雪崩あぐ蒼穹に雲ひるがへり/石橋辰之助
桑畑を削ぎ落したる雪崩かな/大橋櫻坡子
雪崩してあはれ死したる狸かな/高濱年尾
異国語に身を売るときの雪崩音/櫂未知子
狩の犬遠き雪崩に耳立てたり/米沢吾亦紅
雪崩えの馬柵結ひて待つ牧開き/根岸善雄
雪崩以後ぴたりと刻のながれ止む/長田等
雪崩後の星あをあをと生理くる/駒走鷹志
雪崩止め宙にかかげて座禅草/市村究一郎
傷心癒えじ雪崩の創は雪癒やす/福田蓼汀
谺して雪崩のけむりあがりをり/石原八束
俳句例:81句目~
谿雪崩うまれし径を来て学ぶ/石橋辰之助
青天へ木兎がとび出し雪崩かな/佐野良太
青天へ木菟がとび出し雪崩かな/佐野良太
孤つ家に雪崩の音のひゞきけり/野村喜舟
谿雪崩学びの窓のしづけさに/石橋辰之助
遠き雪崩背山の雪崩夜も鳴れり/殿村菟絲子
かのひゞき瞠れば雪崩嶺を落つ/石橋辰之助
この堂のとゞめし雪崩とぞ見ゆる/皆吉爽雨
雪崩恐し言葉にすればなほ恐し/加倉井秋を
ゆく春の穂高にしるき雪崩あと/服部鹿頭矢
雪崩止もろとも海へなだれけり/水見悠々子
一夜の床敷きくるる乙女雪崩音/橋本多佳子
雪崩見し穂高の岩にわがすがる/石橋辰之助
雪崩見よ岩群の日をうばひつゝ/石橋辰之助
九頭龍の瀬に押し出でし雪崩かな/野村泊月
幾雪崩ぜんまい採りの越えて消ゆ/皆吉爽雨
雪崩音に音もうひとつ葬り銅羅/加藤知世子
直ぐあとに雪崩ありしと報されし/川田政尾
冬蝶のひそかにきいた雪崩の響/富澤赤黄男
夜目にも黝し湖の向ふの雪崩跡/加藤知世子