「春泥」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「春泥」について
【表記】春泥
【読み方】しゅんでい
【ローマ字読み】shundei
子季語・関連季語・傍題・類語など
・春の泥(はるのどろ:harunodoro)
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季節による分類
・「し」で始まる春の季語
・「春の地理」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
春泥を含む俳句例
村中の鏡が光り春の泥/黛執
春泥や屋の荷の鯛鰆/野村喜舟
春泥を体くねらせ女来る/上村占
横町の春泥地獄燈をつらね/青畝
春泥や一学童の松葉杖/河野静雲
春泥に傾く芝居幟かな/富安風生
春泥を體くねらせ女来る/上村占
春泥に歩きなやめる遠会釈/立子
春泥にこぼれ小鰈市場/高濱年尾
寺子屋に傘多し春の泥/松瀬青々
春泥や村の家々ほど遠き/上村占
古葎美しかりし春の泥/石田波郷
塔の前金堂の前春の泥/高濱虚子
春泥に船長の靴新しき/岡田耕治
春泥に山紫水明おしとほる/松澤昭
春泥や酒屋床屋と相対ひ/西山泊雲
春泥や車ひしめく畳市/下村ひろし
春泥に手押車の鳩かた~/横山房子
春泥や絵は豊国に陥りて/尾崎迷堂
春泥に轅をおろし一輪車/原田青児
俳句例:21句目~
春泥の昨日はここに馬の市/本多邁
春泥の靴溢れをり珠算塾/塩田晴江
春泥の靴憚らず来りけり/坊城中子
春泥の道が一筋夜を貫く/右城暮石
武蔵野の春泥重く歩きけり/上林暁
春泥や石と思ひし雀とび/佐野良太
曾根崎の昼闌けにけり春の泥/草城
春泥に板を渡して通学路/羽吹利夫
春泥に耕耘機あり横とほる/小澤實
玄室へ靴の運びし春の泥/八染藍子
池めぐる径春泥のなつかしき/沢聰
春泥を心覚えや闇を行く/西山泊雲
春泥や嘴を浄めて枝に鳥/石井露月
笞受く牛目使ひや春の泥/野村喜舟
群羊に隈なく踏まれ春の泥/日原傳
春泥に裾軽くとる修道女/山口季玉
春泥の一歩やあへて杖汚し/木村風師
春泥の中に石あり踏み応へ/高濱年尾
古葦の春泥炎ゆる没日かな/松村蒼石
春泥の果の山坂うつくしき/萩原麦草
俳句例:41句目~
春泥の眠り深くて月昇らず/内藤吐天
五稜郭の一稜を踏む春の泥/小林康治
春泥の葛西にたゝむ見舞傘/石塚友二
春泥の街のはてなる東山/五十嵐播水
広島の人春泥にうつりけり/萩原麦草
春泥の金泥となり夕日落つ/福田蓼汀
外はすぐ銀座裏街春の泥/成瀬正とし
大劇場横町へ出口春の泥/大橋櫻坡子
春泥は王の墓域の白砂にも/河野頼人
春泥やこの先工事迂回せよ/岡村ふみ
春泥や光りて売らる鑿鉋/駒敏郎遠天
春泥や夕暮すこし冴え返り/小杉余子
山の辺の道の隈ごと春の泥/沢木欣一
春泥や屏風かついで高足駄/飯田蛇笏
春の泥乾きて藁の上にあり/田中裕明
春泥や峡の一戸へ行く介護/岩波竹渓
春の泥椿の幹にしたゝかに/西山泊雲
春泥や師の家を出て渋谷川/清水基吉
春の泥誰かわからぬ幌俥/真下喜太郎
漁師町烏賊墨にじむ春の泥/松藤夏山
俳句例:61句目~
春泥や忌日の寺の坂がかり/石塚友二
春泥や愚に職を捨てかねつ/小林康治
春泥や肩に登りし吾子の尻/鈴木五鈴
春泥や闘ふための牛を飼ふ/林原和枝
春泥や靴音重く子の帰る/高橋淡路女
春泥をゆく声のして茜さす/臼田亞浪
重箱の風呂敷につく春の泥/松瀬青々
春泥を拭ひ捨て行く女の紙/右城暮石
春泥を来て大いなる靴となり/上野泰
春泥を歩く汽笛の鳴る方ヘ/細見綾子
春泥を避け行く月の雲白し/右城暮石
発光独楽購ふ春泥を後戻り/宮武寒々
春泥の靴揃へあり牧の弥撒/太田昌子
春泥に小虫舂く二タところ/西山泊雲
春泥に影坊二つあとやさき/飯田蛇笏
春泥に映りてくるや町娘/松本たかし
春泥に映り歪める女かな/松本たかし
春泥に映る花屋と床屋かな/京極杞陽
春泥に月の金片きらきらす/福田蓼汀
春泥に木履の丹さ高々と/楠目橙黄子
俳句例:81句目~
人姦すごと春泥を徒歩渡る/小林康治
春泥のあたりが暗く藪の径/高濱年尾
駱駝坐す春泥の峰二つ乗せ/渡辺恭子
入院す春泥を踰えそを見遣り/斎藤玄
薪割れる木屑とび来し春の泥/西山泊雲
春泥を踏みゆく若き人ばかり/内藤吐天
春泥のすこしつきゐる卵採る/石原舟月
春泥をすれすれに来て象の鼻/岡田耕治
丸善を出て暮れにけり春の泥/日野草城
六道のどの道をいま春の泥/上田五千石
勤めあるごとく家出て春の泥/鷹羽狩行
北の町の果てなく長し春の泥/中村汀女
春泥や鴉に飽きし邸の婢/長谷川零餘子
妻の杖となりて抱ふる春の泥/松山足羽
春泥や馬頭観音つんのめり/山田みづえ
孟宗竹に目守りてくらき春の泥/齋藤玄
春泥や夕刊飛んで地に落ちず/前田普羅
春泥の窪みは妻の病むごとし/長谷川双
春の泥御用詩人が世なりけり/加藤郁乎
春の泥毛皮に触れてゐて歩く/右城暮石