「霞」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「霞」について
【表記】霞
【読み方】かすみ
【ローマ字読み】kasumi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・春霞(はるがすみ:harugasumi)
・薄霞(うすがすみ:usugasumi)
・遠霞(とおがすみ:togasumi)
・八重霞(やえがすみ:yaegasumi)
・横霞(よこがすみ:yokogasumi)
・叢霞(むらがすみ:muragasumi)
・有明霞(ありあけがすみ:ariakegasumi)
・朝霞(あさがすみ:asagasumi)
・昼霞(ひるがすみ:hirugasumi)
・夕霞(ゆうがすみ:yugasumi)
・晩霞(ばんか:banka)
・霞の海(かすみのうみ:kasuminomi)
・霞の浪(かすみのなみ:kasuminonami)
・霞の沖(かすみのおき:kasuminoki)
・霞の帯(かすみのおび:kasuminobi)
・霞の衣(かすみのころも:kasuminokoromo)
・霞の袖(かすみのそで:kasuminosode)
・霞の袂(かすみのたもと:kasuminotamoto)
・霞の網(かすみのあみ:kasuminoami)
・霞隠れ(かすみがくれ:kasumigakure)
・霞の空(かすみのそら:kasuminosora)
・霞の谷(かすみのたに:kasuminotani)
・霞の奥(かすみのおく:kasuminoku)
・霞の麓(かすみのふもと:kasuminofumoto)
・霞の底(かすみのそこ:kasuminosoko)
・霞敷く(かすみしく:kasumishiku)
・霞渡る(かすみわたる:kasumiwataru)
・霞棚引く(かすみたなびく:kasumitanabiku)
・霞立つ(かすみたつ:kasumitatsu)
・草霞む(くさがすむ:kusagasumu)
–
季節による分類
・「か」で始まる春の季語
・「春の天文」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
霞を含む俳句例
大鉄塔大昼霞渉り/上野泰
春霞畳の上の潦/高木千住
樹液滴り八方に霞立つ/直人
小昼時霞が中の鶏の声/五周
海山の霞冥加や生れ国/千那
ことさらに唐人屋敷初霞/蕪村
春立つは衣の棚の霞かな/貞徳
紫に変る霞や海の上/野村泊月
足魂と森魂遊ぶ遠霞/和田悟朗
大都会一網にせし夏霞/堀恭子
鴬や洞然として昼霞/高浜虚子
福島は桃桃桃の花霞/高澤良一
霞より引つゞく也諸大名/一茶
一本の杖の行手に夕霞/桂信子
万葉の机島とて春霞/浅野白山
遠霞知恩院の鐘霞むらし/白雄
春の日や日永の宿の霞酒/秀吉
今朝なりけり鴬雑煮霞礼/一鉄
虚国の尻無川や夏霞/芝不器男
体中に安心なかり夕霞/斎藤玄
俳句例:21句目~
俳壇の六十余州横霞/高澤良一
八郡の空の霞や御忌の鐘/召波
有馬筆水と睦めば遠霞/塘柊風
頬杖やお伽の山の遠霞/桂信子
初市の跡はそのまゝ霞哉/成美
異国めく湾岸道路冬霞/塙きく
初霞鶏犬の声遠近に/笹川臨風
托鉢と板子一つや海霞/飴山實
春霞赤き祠が木の根方/中田剛
当今の昔赤子や冬霞/三橋敏雄
虚国の尻無川や夏霞/芝不器男
川霞昼は濁りつ都鳥/山谷春潮
工場の塀の間の冬霞/京極杞陽
夕霞乗鞍岳に銀の鞍/伊藤敬子
夕霞孤村に帰る女工かな/鳴子
春霞四五枚小松苗畑/和知喜八
大なる港に作る霞かな/碧梧桐
祝婚の坂東太郎初霞/宮澤せい子
胎内になおみ仏や春霞/和田悟朗
柴舟も筏も下る霞かな/井上井月
俳句例:41句目~
霞より岬伸びきて鯛生簀/下田稔
繭も紙も往還の関秋霞/田中英子
天草や東の方へ霞濃く/松藤夏山
たたき鰺甘し相模の秋霞/中拓夫
たてゝ見ん霞やうつる大鏡/野水
一つある霞が浦の春灯/岸本尚毅
鈴の音は与作が馬か夕霞/谷活東
日三竿雨になり行く霞かな/召波
一銭の釣鐘撞くや昼霞/子規句集
万博の工事半ばの冬霞/満田玲子
谷杉の紺折り畳む霞かな/原石鼎
観覧車動き動かず初霞/六本和子
立姿遠霞して観世音/田原口秋峰
大霞万世一系ノ感嘆婦/夏石番矢
三宝に御供米の白初霞/毛塚静枝
春近き雪よ霞よ淀の橋/松瀬青々
子のうたを父が濁しぬ冬霞/原裕
大地より大空広し霞網/池田澄子
藁塚を畷に伏せて初霞/富安風生
修学院村にやすらふ春霞/中田剛
俳句例:61句目~
朧々直ぐに霞て明けにけり/杉風
幼子を預る一ト日冬霞/関口栄子
其の寺の鐘とおもはず夕霞/蝶夢
白濤の白極まりぬ夏霞/香西照雄
冬霞人の面輪を上品に/星野立子
素頭のわれは秀才夏霞/三橋敏雄
海上に利尻全容霞切れ/高澤良一
冬霞濃くて煤降る丸の内/菅裸馬
晒し居る布の長さの霞かな/迷堂
冬霞若狭の国を覆ひけり/桂信子
大霞家ある谷は懐しき/福田蓼汀
我恋の松嶋も嘸はつ霞/井原西鶴
初むまや霞へだてて深草野/几董
春霞三輪の瑞山神の山/石井桐陰
初霞して文具屋の四枚戸/岡本眸
初霞ぺん~草の垣根より/龍岡晋
初霞娘の嫁ぎゆく麓村/羽吹利夫
初霞山に加へし齢かな/朝倉和江
初霞川は南へ流れけり/青木月斗
春なれや名もなき山の薄霞/芭蕉
俳句例:81句目~
初霞畠重なり山重なり/宮下歌梯
鶯や広野あたりの夕霞/藤野古白
初霞舗装の街に土恋し/香西照雄
鶏籠山霞棚曳く日の葬/桑田青虎
生米の奥は千里の冬霞/橋石和栲
鳴交す鴉の嘴の霞かな/野村喜舟
烏賊鯛や浦賀水道八重霞/東洋城
火の山はうす霞せり花大根/篠原
春霞軍神といふ檜かな/攝津幸彦
古里は筑紫の国よ春霞/三島汲水
雑氷に琵琶きく軒の霞かな/芭蕉
風返し峠風なき日の霞/稲畑汀子
旅人と旅人の子の初霞/長谷川櫂
国中の初霞より列車音/茂里正治
地に遊ぶ鳥は鳥なり初霞/千代女
城址に立膝少年夏霞/中村草田男
嵐山の木の間~や冬霞/西山泊雲
春霞奥壁仰ぎ師を弔ふ/岡田日郎
かの山を思ひ忘るる玉霞/斎藤玄
指南軍を胡地に引去ル霞哉/蕪村