「春の月」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「春の月」について
【表記】春の月
【読み方】はるのつき
【ローマ字読み】harunotsuki
子季語・関連季語・傍題・類語など
・春月(しゅんげつ:shungetsu)
・春月夜(はるづきよ:haruzukiyo)
・春満月(はるまんげつ:harumangetsu)
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季節による分類
・「は」で始まる春の季語
・「春の天文」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
春の月を含む俳句例
春の月鶏さけば曇りけり/素郷
女倶して内裡拝まん春の月/蕪村
殉教の丘また丘や春の月/森田峠
裏山に金粉散らし春の月/原和子
椎の木の中金塊の春の月/上野泰
農の出の二人土湯に春の月/原裕
幾十の切株の上春の月/大野林火
晴天に暮て間もなし春の月/成文
春の月鶏裂けば曇けり/五車反古
西行の嘆きに満つる春の月/原裕
田の上に春の月ある御社/高野素十
街道に家なし松に春の月/福田蓼汀
波音を離れて春の月となる/星野椿
幾十の切株の上の春の月/大野林火
菜畑の風にうるめり春の月/上村占
草の戸に我八十の春の月/遠藤梧逸
切株の円盤ひかる春の月/橋本榮治
人の妻を盗む狐や春の月/松瀬青々
大御空仰くや春の月の色/尾崎紅葉
女出で鳥籠を吊る春の月/有馬朗人
俳句例:21句目~
流木に宿りし貝や春の月/森本節子
屋根屋根に乳の香流れ春の月/原裕
裏川の主なし船や春の月/羅蘇山人
我宿は巴里外れの春の月/高浜虚子
我法学士妻文学士春の月/小川軽舟
据風呂に行春の月緑なり/会津八一
松の月それさへ春の名残かな/馬南
教会の塔の上なり春の月/寺田寅彦
東山近く宿とり春の月/衛藤きく女
高楼に鼓打つなり春の月/寺田寅彦
村芝居林の中や春の月/岡本癖三酔
春の月さはらば雫たりぬべし/一茶
春の月海ある方へ犬走る/山口誓子
点滴は命のしづく春の月/藤巻昭二
春の月階段に掛けあるは鞍/中田剛
鶯のねぐら探さん春の月/藤野古白
森を出て妙にも白し春の月/原石鼎
配所には干網多し春の月/夏目漱石
鎌倉に産屋囲へる春の月/清水基吉
陸橋を渡るひとりに春の月/村田脩
俳句例:41句目~
隣村までの用足し春の月/小林景峰
面作る翁に春の月ありや/田村了咲
毛物らの頭はかたし春の月/桑原三郎
春の月大輪にして一重なる/長谷川櫂
春の月小路小路のほと暗く/福田蓼汀
蛤を買うて重たや春の月/松本たかし
春の月酒の泉にうかびけり/尾崎紅葉
大江の黒く流るゝや春の月/内田百間
春の月隠れてをりし摩天楼/嶋田言一
この匂藪木の花か春の月/芥川龍之介
しばらくは濤の音して春の月/北崎武
欄干を越えてきさうな春の月/寿芳江
春の月芝居の木戸に湧く女/正岡子規
春の月騒人楼に上りけり/大須賀乙字
春の月ゆらゆらと木をのぼる水/原裕
山脈の空みどりなす春の月/相馬遷子
大いなる春の月あり山の肩/杉田久女
春の月米磨ぐ音の中に出る/大野林火
枯れさやぐ芒の茎に春の月/角川春樹
良性の雲のはらわた春の月/高澤良一
俳句例:61句目~
松原や夕ベの過ぎて春の月/尾崎迷堂
膵病めば梔子色に春の月/土岐錬太郎
手袋の手にはや春の月明り/中村汀女
笛吹いて古ェめかせ春の月/尾崎迷堂
眠る子に王様の世の春の月/遠藤梧逸
目と鼻の先の駅より春の月/永末恵子
ゆく春の月や近江の湖の上/西島麦南
明日会ふ人の電話や春の月/小川軽舟
春の月海離れむとして撓む/藤木倶子
よべ春の月の細きを語る窓/稲畑汀子
春の月上りて暗き波間かな/後藤夜半
暮れて越す草山一つ春の月/志田素琴
春の月きらきらと木をのぼる月/原裕
片側は雪積む屋根や春の月/内藤鳴雪
春の月本籍はまだふるさとに/大串章
春の月石階さぐり上るなり/岡本松浜
春の月仰ぎて踏みて尼寺へ/植村通草
清水の上から出たり春の月/森川許六
裏川の水鳴り止まず春の月/内田百間
春の月舞妓も眠る別れなり/渡邊水巴
俳句例:81句目~
春の月腰籠に玉子忍ばせて/松村蒼石
浜の子の凧あげしあと春の月/大串章
近き星を明るう照らし春の月/原石鼎
三年坂登り切つたる春の月/上原恒子
金剛を出れば四条や春の月/中川四明
浅川の末ありやなし春の月/松岡青蘿
春の月風船ながくただよへる/中田剛
障子外に田水の音や春の月/吉田冬葉
沖までの途中に春の月懸る/山口誓子
離れ家に落合ふ客や春の月/井上井月
別れたくなき故無口春の月/遠藤忠昭
赤ん坊が泣き竹藪に春の月/細川加賀
春の夜の面ざしもなし夏の月/上島鬼貫
春の月あそことここの間かな/五島高資
春の月さしこむ家に宿とりて/前田普羅
春の月さすがに障子一重かな/松岡青蘿
春の月と僕の間をヘリが飛ぶ/五島高資
春の月ながなきどりのうしろより/原裕
春の月バレエ群舞の中にあり/対馬康子
春の月仰ぎ丸ビル最後の日/稲畑廣太郎