「春の宵」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「春の宵」について
【表記】春の宵
【読み方】はるのよい
【ローマ字読み】harunoyoi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・春宵(しゅんしょう:shunsho_)
・宵の春(よいのはる:yoinoharu)
–
季節による分類
・「は」で始まる春の季語
・「春の時候」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
春の宵を含む俳句例
歌人の絵所訪へり春の宵/桃家
公達に狐化けたり宵の春/蕪村
春宵を水上勉登壇す/辻田克巳
傾城に歌心あり春の宵/寺田寅彦
日本の古へよりの春の宵/上野泰
裸電球春宵文弥節熱す/石川桂郎
春宵の枕行燈灯を忘る/飯田蛇笏
肘白き僧のかり寝や宵の春/蕪村
春宵の烏丸帖習ふなり/岡本松浜
上方の穴子押鮨春の宵/國島十雨
春宵の障子にひゞく水の音/上村占
横顔に春宵といふ角度あり/蔦三郎
春宵や笛の仕ふる能移し/都筑智子
藪空に拡ごる星や春の宵/西山泊雲
すり減りし骨を嘆きつ春の宵/原裕
春宵や柱のかげの少納言/高浜虚子
客を待つ一卓一花春の宵/岩崎照子
春宵の窯燃えつらね瓦村/三好潤子
筋違にふとん敷きたり宵の春/蕪村
春宵や女易者に列出来て/下山宏子
俳句例:21句目~
鏡の間こゝは米国春の宵/高木晴子
春宵の皆殺されし沙翁劇/下田明子
江に映る関の灯や宵の春/羅蘇山人
春の宵皿を汚して男去る/北さとり
春の宵高層ビルに迷い犬/伊藤真理
春宵の食事了れり観光団/前田普羅
額つりて小家賑し春の宵/前田普羅
春宵の夫の莨を盗み吸ふ/西村和子
春宵の分針少し遅れゐる/行方克巳
油気の喰へぬ病や春の宵/富田木歩
活魚の顔に疵あり春の宵/岩井如酔
浦人の小唄習ふや宵の春/角田竹冷
切株の松脂ひかる春の宵/前田普羅
温顔の輝きおもふ春の宵/相馬遷子
湯の町の春の宵とは殊の外/星野椿
春宵のたがひに交す小盃/倉田紘文
女湯の聲の覚えや春の宵/会津八一
妊りし娘に長電話春の宵/野川枯木
春宵を一人名曲喫茶店/成瀬正とし
春宵や鉄漿壺のありどころ/西島麦南
俳句例:41句目~
春宵や菓子鉢銀のいぶしいろ/及川貞
春宵や彗星淡き尾をひろぐ/横山房子
春宵や客賑やかに門を出づ/田中冬二
衝立の繍ひ鳳凰も宵の春/軽部烏帽子
春宵や人の屋根さへみな恋し/原石鼎
ほどを打つ鼓稽古も春の宵/中川四明
春宵やその月暦なかば過ぐ/石川桂郎
春宵やいま別れ来し人に文/村上杏史
春宵の黙に万金ありぬべし/内藤桂子
人形の胸押せば哭く春の宵/伊藤敬子
伝へ古る雅の舞や春の宵/谷川八重子
犬にあひて猫は稲妻春の宵/橋本鶏二
町なかの藪に風あり春の宵/内田百間
春宵に包まれてをる我のみか/上野泰
裏口に誰か来て居る春の宵/田中冬二
同じ橋三たび渡りぬ春の宵/夏目漱石
裏川の水鳴り止まず春の宵/内田百間
妹が読む伊勢物語宵の春/池上浩山人
婚の荷の重ねの淡し春の宵/橋本良子
花嫁が舳先をあるく春の宵/佐川広治
俳句例:61句目~
春の宵身より紅紐乱れ落つ/三好潤子
春の宵鋏の小鈴よくひびき/吉屋信子
籠行燈さげて庭ゆく宵の春/野村泊月
春宵の玻璃戸は鏡みな映る/高木晴子
椿子も叡子もいます宵の春/阿部慧月
風車春宵の闇に翼をひたし/山口青邨
春宵の匂ひと思ふ闇ふかし/高木晴子
止利仏師衾裾を刳り春の宵/和田悟朗
春宵の無聊の母に琴を置く/山岸治子
水銀の行方も知れぬ春の宵/五島高資
客帰る三日月があり春の宵/高木晴子
春宵の何から話そ旅のこと/稲畑汀子
小鏡にうつし拭く墨宵の春/杉田久女
筋かひにふとん敷きたり宵の春/蕪村
刻長し春宵の情詠ふべく/徳永山冬子
贈られし花環に燭や春の宵/中川四明
春の宵噴煙の香を横ぎれり/前田普羅
黄に灯る赤き蝋燭春の宵/中口飛朗子
春宵の今は今又明日は明日/星野立子
宿坊の廊下軋むや春の宵/内田八重子
俳句例:81句目~
養生の酒色に出づ宵の春/河東碧梧桐
春宵の白障子ただならぬ時/皆吉爽雨
春宵や閉ぢて久しき舞扇/行廣すみ女
春宵や駅の時計の五分経ち/中村汀女
春宵をみんな読みゐて雨の音/及川貞
春の宵白鳩の尾に影たまる/四ッ谷龍
山の雨春宵だんろもてなさる/及川貞
春宵を鉄塔穏やかに待てる/吉田素糸
昭君酒春宵を汲む紫砂の碗/田中英子
新妻の湯桶かんこん春の宵/辻田克巳
濱名湖畔春宵京の菓子頒けて/及川貞
皿洗ふ音も春宵さまたげず/皆吉爽雨
足なえの妻所在なや春の宵/寺田寅彦
座布団の緋色によろけ宵の春/井沢正江
息つめて写経一と文字春の宵/石川泰子
春の宵人の妻なる事もよし/高橋淡路女
春の宵北斗チクタク辷るなり/前田普羅
春の宵妻のゆあみの音きこゆ/日野草城
春の宵船のほとりの待ち俥/五十嵐播水
浮かぶのは横顔ばかり春の宵/谷口桂子