「春暁」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「春暁」について
【表記】春暁
【読み方】しゅんぎょう
【ローマ字読み】shungyo
子季語・関連季語・傍題・類語など
・春の暁(はるのあかつき:harunoakatsuki)
・春の曙(はるのあけぼの:harunoakebono)
・春曙(しゅんしょ:shunsho)
・春の夜明(はるのよあけ:harunoyoake)
・春の朝明(はるのあさけ:harunoasake)
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季節による分類
・「し」で始まる春の季語
・「春の時候」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
春暁を含む俳句例
春暁や一点燈の大伽藍/青畝
春暁や野菜車の相次で/篠原
春暁や筧二つの同じ音/龍雨
浪白き春暁の渚かな/籾山柑子
春暁の提灯消すや町近く/篠原
春暁や声の大きな水汲女/篠原
香港の春暁の船皆動く/高濱虚子
塩竃に春曙のお蝋かな/川端茅舎
春曙ただよふて水枕かな/梶千秋
春暁の光ののぼる大銀杏/井上雪
春暁亡妹来り酒静か/入江亮太郎
春暁や心をつゝみて松細葉/石鼎
散らばる書春曙をみな睡る/鶏二
帰りなん春曙の胎内へ/佐藤鬼房
一塊の春の朝雲欅立つ/中村汀女
白粥に春暁の雨いとかすか/宋淵
春暁や音もたてずに牡丹雪/茅舎
春暁や雨垂れまがふ露の音/碧童
春暁や裏山畠の百姓家/野村泊月
春暁の砂浜あれば足跡あり/篠原
俳句例:21句目~
病む人に春の曙自ら/阿波野青畝
春暁や逆白波の利根河口/福田蓼汀
こま~と垂氷す春の暁に/石井露月
春暁の自転車五つ六つ百/鷹羽狩行
松のひまほの~見ゆる花の春/暁台
雀の子啼いて春暁乳臭き/萩原麦草
延着といへ春暁の関門に/中村汀女
春暁といふ黄金の刻きざむ/滝青佳
貧乏の赤鼻道化めく春暁/小林康治
春暁のみづうみ抱く大蜥蜴/竹中宏
春暁のものの香にある机かな/澄雄
春暁の一番列車紙のよう/小暮洗葦
春暁や麦連りに小野の里/尾崎迷堂
春暁や次第にたかくなく雀/原石鼎
春暁や枕元なる歌屏風/高橋淡路女
春暁の夢に力の入りけり/宮坂静生
春暁の乳欲る声を漲らせ/西村和子
春暁の夢のあと追ふ長まつげ/久女
春暁のあまたの瀬音村を出づ/龍太
春暁の雀の中の目白かな/増田龍雨
俳句例:41句目~
春暁の雨の続きに鱶泳ぐ/坪内稔典
春暁の家に残る子離れる子/甲子雄
春暁の山々男くさきかな/金田咲子
春暁や見えゐて遠き礁波/勝又一透
五体投地春暁の堂鳴動す/岩崎眉乃
春暁や舷ぬれてゐる渡舟/田村了咲
春暁や胸の蔵開け町動く/水野照美
春暁を騒ぐ山の鳥海の鳥/福田蓼汀
春暁や木魚の銜へ暗一線/河野静雲
命あり春曙となりにけり/加藤母宵
春暁や筧の響く大とばり/西山泊雲
窓掛の春暁を覆ひ得ず/波多野爽波
春暁の洛東江を渡りけり/夏石番矢
春暁の湖に皿洗ふ厨かな/飯田蛇笏
春暁や目隠しをせし小鳥籠/日原傳
春暁や無数の黒いゴミ袋/対馬康子
春暁や岩神木神芳しく/大峯あきら
春暁の竹筒にある筆二本/飯田龍太
春暁の米粒は立ち疑わず/坪内稔典
杉山の春の曙杜氏らに/加倉井秋を
俳句例:61句目~
春暁踏みこむ影に農見えじ/松澤昭
西方の旅を念ひに春の暁/飯田蛇笏
春暁や水のみに来る鳥の声/吉田冬葉
春暁の人亡く吾の在る不思議/岡本眸
春暁の出るぞ出行くぞ鰯舟/石塚友二
春暁の匂ひ立つ闇無聊なり/河野南畦
春暁や水ほとばしり瓦斯燃ゆる/汀女
春暁の啄木鳥きゝつ厠かな/西山泊雲
春暁を奪ふ空の手ただよへる/松澤昭
春暁を告げて天台烏薬の香/稲畑汀子
春暁をまだ胎内の眠たさに/野澤節子
春曙潮汲ら松間出て来るよ/高田蝶衣
春曙夢中に滝を見つづけて/野沢節子
どの家からも春暁の駒ヶ嶽/飯田龍太
春暁の肋木の上を舶ゆけり/下村槐太
ふるさとの春暁にある厠かな/草田男
春あけぼの巫峡の烟雨紫に/田中英子
妻の額に春の曙はやかりき/日野草城
春暁の夢の終りに母をりし/原田豊子
春暁や大いなる鮫獲れしとふ/原石鼎
俳句例:81句目~
十二神将春暁の燭ゆるるなき/原幸子
春暁や湾沿ひにある小家並/西山泊雲
春暁やうちかづきたる古衾/後藤夜半
君が門春暁にして水打たれ/大島民郎
春暁の雨よ口笛とほくより/片山桃史
春暁や軒端の花に伏家無し/尾崎迷堂
春暁の雨戸開ければ土匂ふ/西村和子
春暁や足で涙のぬぐえざる/折笠美秋
春暁や見たきもの巣の時鳥/渡辺水巴
霧降るや春暁啄木鳥の軽打音/有働亨
春暁の雨淡泊にこぼれ止む/野澤節子
春暁やあさき夢見し夢の中/草間時彦
師弟共に若かりし夢春暁に/野中英照
春暁の船にだにある枕かな/飯田蛇笏
春暁や藁火あげをる橋袂/金尾梅の門
手機織る母春暁の夢に出で/浅見画渓
教師なりけり春暁己が咳にさめ/楸邨
春暁の雲とびとびや桜島/阿波野青畝
春暁や罪ほの暗く胃に残る/横光利一
春暁や繭の真中に浮びゐて/井上純子