「彼岸」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「彼岸」について
【表記】彼岸
【読み方】ひがん
【ローマ字読み】higan
子季語・関連季語・傍題・類語など
・万燈日(まんどうび:mandobi)
・彼岸参(ひがんまいり:higammairi)
・彼岸太郎(ひがんたろう:higantaro)
・入り彼岸(いりひがん:irihigan)
・さき彼岸(さきひがん:sakihigan)
・初手彼岸(そてひがん:sotehigan)
・終い彼岸(しまいひがん:shimaihigan)
・彼岸ばらい(ひがんばらい:higambarai)
・彼岸団子(ひがんだんご:higandango)
・彼岸寺(ひがんでら:higandera)
・彼岸講(ひがんこう:higanko)
・彼岸前(ひがんまえ:higammae)
・彼岸過(ひがんすぎ:higansugi)
・彼岸舟(ひがんぶね:higambune)
・彼岸道(ひがんみち:higammichi)
・彼岸姿(ひがんすがた:higansugata)
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季節による分類
・「ひ」で始まる春の季語
・「春の時候」を表す季語
・「仲春」に分類される季語
月ごとの分類
彼岸を含む俳句例
山一つかはり雪みち彼岸前/目
網入ぬ海の凪見る彼岸哉/霞夫
朝風の朝ある彼岸桜かな/可盈
彼岸会の若草色の紙包/岡本眸
燕来てなき人問ん此彼岸/炭太祇
嫗嚊が桜をのぞく彼岸かな/太祇
風もなき秋の彼岸の綿帽子/鬼貫
紙苞の鯉の荒息春彼岸/藤岡筑邨
紅梅に中日過し彼岸哉/正岡子規
流木に捨猫遊ぶ彼岸潮/田村鬼現
忘却も供養の一つ秋彼岸/森白象
彼岸前寒さも一夜二夜かな/路通
丈六の卒塔婆みちを彼岸婆/原裕
恋衣紅白彼岸の青芝に/香西照雄
何の灰海べの髪へ秋彼岸/上村占
彼岸寒切張多き寺障子/福永京子
八十の彼岸聾となりてゐし/麦草
日表へ集る蜂よ秋彼岸/村越化石
彼岸まで妹の刻姉の刻/須川洋子
秋彼岸母の遺せし鯨尺/藤井達男
俳句例:21句目~
黒牛の涎一筋秋彼岸/川井しほり
地獄波凪ぎ誕生寺秋彼岸/吉川鬼洗
地獄絵を媼の拝む彼岸寺/渡辺威人
月山の山ひだ深き春彼岸/有馬朗人
墓の雪払ひて彼岸詣かな/鈴木康永
墓洗ふ肩に囁く彼岸西風/巌谷小波
声高に灸のはなし入彼岸/土田桂子
秋彼岸麓の馬の紺に見ゆ/友岡子郷
順礼と泊り合せる彼岸哉/正岡子規
曇りしが降らで彼岸の夕日影/其角
大根の花さく彼岸日和哉/正岡子規
みの虫の蓑翻る彼岸西風/山田八峰
天領の一筋町や彼岸市/波多野弘秋
女ばかり参る墓あり秋彼岸/坂井建
彼岸過ぎの川向日葵の焼柱/中拓夫
雲に古る扉の花鳥彼岸寺/飯田蛇笏
婆々達に木ぽく~彼岸来/河野静雲
集ひくる白鶺鴒や秋彼岸/堀口星眠
秋彼岸袂ひろげて飛ぶ雀/川崎展宏
父のみの眠る新墓秋彼岸/大橋敦子
俳句例:41句目~
秋彼岸竹林雲の下に揺れ/廣瀬直人
秋彼岸父の昔を母語り/野見山智子
長老に鴉のなるゝ彼岸哉/角田竹冷
宝蔵の扉開けある彼岸寺/中島信峯
鎌倉や松の中なる彼岸寺/島田青峰
寒波来て遠山白し秋彼岸/相馬遷子
山吹の帰花見る彼岸かな/子規句集
彼岸会や花吹き入るゝ青畳/泉珀雲
山門にラジオ放送彼岸寺/岸風三楼
彼岸会をいづこのの赤き鰭/斎藤玄
身命といふ語しみじみ彼岸過/風生
一族の婆先頭に彼岸墓地/山田節子
村中を法華の叩く彼岸哉/小澤碧童
彼岸入とて萩の餅波郷氏も/及川貞
引水に豆腐沈めて彼岸寺/伊沢四子
起々に蒟蒻もらふ彼岸かな/炭太祇
彼岸過水引草の花さきぬ/正岡子規
樒花咲くや彼岸の挨拶に/尾崎紅葉
彼岸入り斎粥熱き禅の寺/竹川貢代
秋彼岸海の夕づく俄かさよ/村田脩
俳句例:61句目~
三文の花善根の彼岸かな/三砂吟月
赤松の幹の明るき秋彼岸/矢島房利
赤松の幹に力や秋彼岸/片山由美子
昼中の彼岸の月や杉木立/正岡子規
梵妻も一目置くや彼岸婆/橘/榮春
駄々走り来て小水の彼岸婆々/静雲
丘陵の雑木吹鳴る彼岸道/高澤良一
二上山の入日壮絶秋彼岸/細井才司
秋彼岸廂より煤ふりたるを/中田剛
人ごみに蝶の生るゝ彼岸かな/耕衣
秋彼岸千畳の間を赤子這ふ/藤崎実
人暗き聴法の灯や彼岸寺/会津八一
誘ひあひ彼岸詣の老姉妹/星野立子
人界のともしび赤き彼岸かな/遷子
会釈して影の縮まる彼岸婆/岸田稚
何迷ふ彼岸の入り日人だかり/鬼貫
断崖を離れぬ鳶や彼岸潮/高井北杜
秋彼岸ただ一本の銀杏も/廣瀬直人
きらきらと秋の彼岸の椿かな/木導
傾城に菎蒻くはす彼岸哉/高井几董
俳句例:81句目~
神楽坂上りて彼岸脂かな/島村茂雄
兄妹の相睦みけり彼岸過/石田波郷
兄弟の相睦みけり彼岸過/石田波郷
藍若く甕に泡立つ春彼岸/棚山波朗
石積みて仏宿らす彼岸道/山下桂子
眦に鳥はありけり秋彼岸/桑原三郎
彼岸田に電球浮べ農の亡び/斎藤玄
午前中子守婆午後彼岸婆/小原澄江
茎立の花うちこぼす彼岸かな/支考
苔寺の苔の漸く彼岸かな/尾崎迷堂
南天の長寿箸買ふ秋彼岸/中橋文子
聴法の女ぞ多き彼岸かな/会津八一
念仏の一人芝居や彼岸寺/大橋硯山
口むすぶ鯉みて帰る秋彼岸/桂信子
ついて来た犬も乗る哉彼岸舟/一茶
未亡人と見てうら若し彼岸みち/占
古町を通りぬけたる彼岸かな/原裕
彼岸潮一の鳥居を岩の上/大平芳江
翔け立ちし鴎滴る彼岸寒/野路斉子
木に鶏の止りて秋の彼岸寺/岸田稚