書肆に関連した俳句の例をまとめました。
書肆を含む俳句例
立春や戦捷の書肆人あふれ/渡邊水巴
新春の人立つ書肆に今日も来る/静塔
書肆街の片蔭つたふ我が家路/西島麦南
ある書肆の写楽に神田祭かな/細川加賀
初買を本と定めて書肆覗く/川又百合子
書肆街の茶房古風に秋の薔薇/西島麥南
類焼の書肆より他に吾は知らず/森田峠
鬼百合が漂うている夜の書肆/大西泰世
書肆いでしより八雲忌の鰯雲/萩原麦草
二学期の書肆新刊を高く積む/岩崎照子
さみだるる書肆の灯に輝る男髪/三戸キク
ビバルディ流るる書肆や合格子/高橋秀夫
切山椒買うて仲見世書肆に寄る/石原八束
大綿やアララギを買ふ町の書肆/山口誓子
巣燕や旅にはあれど書肆に寄る/大島民郎
年の夜の足元掃かれ書肆を出づ/白岩三郎
惹かれ入る燈白き書肆や秋の雨/中島斌男
書肆いでゝ雁帰る日の雨にあふ/長谷川双
書肆覗く葡萄一籠さげたれど/石田あき子
梅雨の書肆癌の主と茶をすする/宮武寒々
俳句例:21句目~
秋灯の書肆をオアシスとも思ふ/岩崎照子
日記買ふ貨車連結の音の書肆/大岳水一路
若きらと肩ふれて書肆灯の親し/皆吉爽雨
身に沁むや書肆に溢れし文庫本/酒井絹代
春時雨ひととき書肆を暗くせり/山本歩禅
しぐるるや坂に向き合ふ酒場書肆/山田文男
忘年会くづれの一人書肆に入る/下村ひろし
桐散るや小雨をさけし野毛の書肆/古沢太穂
灯親し雨降りつつむ書肆にあり/大木さつき
書肆の灯や夏めく街の灯の中に/五十嵐播水
ある時の書肆に外套のわれひとり/軽部烏頭子
いなづまや北京の書肆の土間を踏み/黒田杏子
書肆薄暑明治のホトトギスありし/高田風人子
書肆の灯にそゞろ読む書も秋めけり/杉田久女
萩咲くやひかりかへさぬ書肆の玻璃/大島民郎
岩波文庫といへども煖房の書肆に漁る/石田波郷
赤い羽根つけたる夫と書肆に会ふ/小笠原あや子
プラタナスの花咲き河岸に書肆ならぶ/加倉井秋を
工員と隣るメーデーの夜の書肆に/石田波郷「春嵐」