戦死に関連した俳句の例をまとめました。
戦死を含む俳句例
賢兄は戦死愚弟は籠枕/鈴木鷹夫
甲の桜乙の桜と丙の戦死/味元昭次
戦死には枕無かりし菊枕/吉田汀史
あやめさく畦を枕に戦死かな/森鴎外
戦死より情死が赤し冬の草/矢島渚男
戦死者の魂祭る火や山の上/倉知漁村
遺骨なき戦死の父の墓洗ふ/若月栄枝
戦死戦災死者忘却や敗戦忌/橋本夢道
衣紋竹戦死の額の下にあり/脇本星浪
戦死せし父を泣きたる月の友/辻桃子
砂色の戦死の墓に参りけり/成田千空
花が咲き鳥が囀り戦死せり/富澤赤黄男
どの写真も端にゐて友戦死せり/樋口喬
菜の花へ真っ先駆けて行き戦死/内田啓
大根に肥かけをれば戦死報/榎本冬一郎
戦死して鬱金にけむる下半身/江里昭彦
戦死てふ夭折銀河忌と名付く/高橋次郎
戦死報やがて煖爐に談笑湧く/中島斌男
戦死報夕月いまだひからざる/藤木清子
戦死報校後の花圃に日ぞ溢れ/中島斌男
俳句例:21句目~
戦死者のうから肩やせ招魂祭/細谷源二
戦死者の妻も死にけり冬干潟/吉田汀史
戦死者の沖からの波足濡らす/林田紀音夫
梅散るやありあり遠き戦死報/馬場移公子
特務兵バケツを提げて戦死せり/日野草城
戦死とは何なりし満つ霜の声/文挟夫佐恵
戦死せり三十二枚の歯をそろヘ/藤木清子
戦死報秋の日くれてきたりけり/飯田蛇笏
面影のさくらんぼ青戦死せり/猪俣千代子
つひに戦死一匹の蟻ゆけどゆけど/加藤楸邨
戦死者の寡婦にあらざるはさびし/藤木清子
戦死に終る日記を写す花の冷え/八牧美喜子
妻を描き月見草描き戦死せり/たむらちせい
めくるめき炎日下戦死者ばかり見き/加藤楸邨
戦死の墓の母らかがむは泣くらしき/細谷源二
蝌蚪生れて君が戦死もふるき如し/榎本冬一郎
寝ころぶは戦死のかたち夕かなかな/田沼文雄
水あれば飲み敵あれば射ち戦死せり/鈴木六林男
鶏頭のやうな手をあげ戦死んでゆけり/富沢赤黄男
戦死せし父にこそあれ父の日よ/原田青児「日はまた昇る」