遺愛に関連した俳句の例をまとめました。
遺愛を含む俳句例
藪入や父が遺愛の硯箱/沼澤石次
遺愛とて露も置くべき丸硯/林翔
霾も知らず遺愛の車かな/堀恭子
一杖に命惜しみて年守る/巌谷小波
手に重き遺愛の硯冬座敷/梶浦恭子
床の間に父の遺愛の籠枕/棚山波朗
御僧の遺愛の緋鯉とて大き/森重昭
棉吹くや母が遺愛の糸車/栗田素江
手鏡は年経る遺愛初かゞみ/及川貞
掛け香や節遺愛の旅の笠/田島早苗
書初や父の遺愛の硯箱/萩原まさえ
行春や母が遺愛の筑紫琴/尾崎放哉
梅が香や英治遺愛の大硯/寺崎美江女
取出だす遺愛の鼓牡丹忌/松本つや女
春塵も置かず遺愛の杯並べ/稲畑汀子
春衣干す父の遺愛の禰宜袴/住吉紀子
茎立や母が遺愛の鍬の錆/猿橋統流子
蚯蚓鳴く遺愛の硯中くぼみ/安田優歌
鯊日和夫の遺愛の竿を干す/白井一江
鈴成りに父の遺愛の俵ぐみ/重田琴子
俳句例:21句目~
すり減りし父の遺愛の硯洗ふ/武田光子
波郷忌や遺愛の椿いまいかに/伊東宏晃
庭枯れて遺愛の一間炭火燃ゆ/渡邊水巴
燠いかに遺愛の火桶灰富士形/香西照雄
父の日や古りし遺愛の銀時計/近藤一鴻
白息をかけて遺愛の眼鏡拭く/角川照子
送り火や遺愛の樹木に風の出て/小島健
霜見をり父が遺愛の孔雀たち/堀口星眠
川見せもせず父の遺愛の鮎の竿/関森勝夫
迎火送火遺愛の石を焦したり/殿村莵絲子
知らぬ間に花や遺愛の君子蘭/岡路美知子
遺影下の遺愛ピアノに輪かざりす/及川貞
名草の芽遺愛の庭でありしかな/河野美奇
賜はりし遺愛の徳利波郷の忌/牛山一庭人
梧桐の影さす遺愛の轆轤の辺/古賀まり子
波郷遺愛の杖突き戻る秋立つ日/巌谷小波
たらちねの遺愛の蜜柑霜よけす/正岡子規
春寒のいづれも蒼き遺愛の壺/鍵和田ゆう子
花菜透け遺愛の朴うら自家菜園/平井さち子
遺愛の蕗か葬りの足々すでに去り/赤城さかえ
俳句例:41句目~
遺愛の辞書に陽がさす宙の何処からか/伊丹公子