涎に関連した俳句の例をまとめました。
涎を含む俳句例
糸遊につながる牛の涎かな/謙之
黒牛の涎一筋秋彼岸/川井しほり
祭牛都大路に涎垂れ/大川嘉智香
でゞ虫や光に影に涎掛/攝津幸彦
闘牛の涎を弓に花の風/矢島渚男
ああ小春我等涎し涙して/渡辺白泉
神の鹿涎流して角切らる/木田千女
袖ぬるる海士の子さむし涎懸/言水
囀に病母の涎垂れにけり/藤田湘子
鮟鱇の涎汚れの土間辷り/日向正雅
涎して歯がためなせる童かな/如泉
涎掛け取替え在す地蔵盆/松井蕪平
牛突の涎ひつぱる旱砂/中戸川朝人
生盆やわあわあ囲む涎姫/伊藤希眸
ねぎらひてぬぐふ涎や牛祭/三嶋隆英
とめどなき大鮟鱇の涎かな/岡田耿陽
萱喰む馬真青き涎したたらす/瀧春一
行く春や牛の涎は何と読む/正岡子規
牛の涎の風に幾条枯るる中/宮坂静生
陽炎に牛の涎のかゝりけり/正岡子規
俳句例:21句目~
鮟鱇の涎に虫の溺れをり/中戸川朝人
鮟鱇の涎の糸の地べたまで/十玉幸男
涎ひく牛怖がりぬ裸の子/原田しずえ
いつか寒暁吹く笛に涎ひかり/友岡子郷
世之介の昼寝の涎ぬぐひやれ/高澤良一
児の涎拭くはまゆふの花の中/友岡子郷
句の涎は流る途に梅を積む車/尾崎紅葉
放牛の涎弧に飛び田芹の芽/半崎墨縄子
闘牛の力みし涎れ地に垂らし/瀬川春暁
涎掛ふちどり赤き端午かな/波多野爽波
灯火親しむに涎を拭ひつつ/波多野爽波
一噸の牛より寒のよだれかな/三嶋隆英
朝霜や無縁地蔵のよだれがけ/寺田寅彦
婆のよだれは自然夕映えの喉に/大沼正明
かなかなに寝足りし牛の涎かな/大木あまり
鮟鱇のよだれの先がとまりけり/阿波野青畝
ゆく年や狐のかけしよだれかけ/久保田万太郎
鮟鱇のよだれのなかの小海老かな/阿波野青畝
よだれかけ乳くさければ春蚊出づ/上田五千石
涎くつてきのふの百合となりにけり/阿波野青畝
俳句例:41句目~
復路とは重なりあはぬ蝸涎かな/中原道夫「歴草」