忘られに関連した俳句の例をまとめました。
忘られを含む俳句例
後山の忘られ鴉霜消空/飯田蛇笏
学校は町に忘られ冬休/村岡籠月
元日や忘られてゐし白兎/飯田龍太
忘られぬ母の温もり寒卵/徳永高男
忘られしもの昼の月芦青し/大野林火
短日の犬忘られて人を恋ふ/吉屋信子
豆雛が箪笥の上に忘られて/臼田亞浪
忘られし狗脊澱む小桶かな/尾崎紅葉
凩に置き忘られし赤鳥居/柴田白葉女
去年より物一時も忘られぬ/上島鬼貫
山独活に木賃の飯の忘られぬ/炭太祇
左義長や月忘られし如くあり/月星郎
風知草風の露台に忘られて/三宅一鳴
忘られて花野の中の三輪車/浅見さよ
えごの花忘られしごと乳母車/川崎展宏
忘られしたらひの中の金かな/指中恒夫
梅日和母生き過ぎて忘られて/中嶋秀子
病床に忘られてをり日脚のぶ/富安風生
石桃の茂り没して忘られし/百合山羽公
紅梅ややがて忘られし縁の鞠/島田青峰
俳句例:21句目~
花石榴久しう咲いて忘られし/正岡子規
忘られて日かげつてをり青写真/角杏子
貨車一つ忘られてある寒の雨/神山杏雨
青田風故郷に忘られたる者に/金子晃典
むらさきは忘られやすし苧環も/津森延世
七草粥忘られしころ癒えてゐむ/村越化石
仕舞田をせし母のこと忘られず/萩原麦草
忘られし安らぎに竹皮を脱ぐ/堀之内和子
忘られし軒のギス鳴き新学期/松倉ゆずる
昼月の忘られてゐる枯野かな/鷲谷七菜子
忘られて鬱の色なる菠薐草/鍵和田ゆう子
置き忘られし白扇のひらくかな/鎌倉佐弓
金屋のグッピーの眼が忘られず/高澤良一
黄葉して忘られてあり毒うつぎ/前田普羅
柴漬の忘られしごと日々にあり/石島雉子郎
秋の虹死者に忘られゆくごとく/正木ゆう子
薔薇一枝挿しぬ忘られてはゐずや/藤田湘子
忘られしところもつとも末黒濃し/加倉井秋を
忘られし冬帽きのふもけふも黒し/橋本多佳子
懺悔台に置き忘られし夏帽子/熊谷愛子「火天」