耳遠しに関連した俳句の例をまとめました。
耳遠しを含む俳句例
耳遠き婆が合点や瓜の馬/岸田稚
瓢箪の老美しく耳遠し/古舘曹人
耳遠くなりたる父に雁渡る/杉本寛
耳遠く目うすし何を年忘/正岡子規
耳遠し節季候何と申やら/正岡子規
耳遠き族一途に牛蒡引く/岸はじめ
父の耳遠き凩聴きゐたり/鈴木まゆ
耳遠き母に夜の来て走馬燈/林明子
耳遠き母に文書く桐の花/神山幸子
耳遠き母への便り敬老日/鈴木幸子
耳遠き母へ大声海芋咲く/牧野立身
耳遠くして健啖や生身魂/藤松遊子
また少し耳遠くなり枇杷の花/西山誠
熱燗や耳遠ければ笑ふのみ/槫沼清子
耳遠きまま諾へり十夜婆/小田まこと
耳遠き婆の餅買ふ彼岸かな/白岩三郎
耳遠くなりし務めの油照り/山本夕村
耳遠き船頭とゆく夜釣かな/鈴村寿満
耳遠き母風鈴を見てをりぬ/那須淳男
耳遠の人と梅見の山歩き/藤田あけ烏
俳句例:21句目~
耳遠の妻白地着て夕さるる/松村蒼石
花見つつ耳遠くゐる民部卿/筑紫磐井
藪虱耳遠き母に蹤き行くも/清水基吉
都合よく耳遠くなる桐の花/武田和郎
雪中に耳遠くなる六日かな/長谷川櫂
風鈴や父耳遠く病み給ふ/高田風人子
わが病めば秋暑の母の耳遠し/相馬遷子
耳遠い事でもあるかきじのこゑ/千代尼
耳遠き僧へ手真似や青ふくべ/羽部洞然
耳遠き夫にも告げて初音かな/井上和子
耳遠き故にうとまれ日向ぼこ/桐田句昧
耳遠くなるは長寿か笹鳴ける/澤田緑生
耳遠き世はこともなし穴まどひ/奥野桐花
耳遠き夫婦いよいよ長閑なり/山口いさを
耳遠くなりし思ひや蝉暑し/阿部みどり女
耳遠き背の大根を煮てゐるも/中戸川朝人
陶枕に耳遠き娘の眠りたる/小野田三保子
水仙花耳遠くなるまで生きました/岡本政雄
耳遠くなりしかと思ふ梅雨の入り/野村昭子
耳遠く目のかすみたる案山子かな/飯田蛇笏