家郷に関連した俳句の例をまとめました。
家郷を含む俳句例
二十年家郷を出でず花茨/石井露月
栄転の家郷に仰ぐ春の月/佐藤英子
沢蟹に白頭映す家郷かな/金子兜太
萍の影濃き水の家郷かな/上野草子
手毬唄父の家郷と思はばや/藤木倶子
家郷の夕餉始まりをらむ夕桜/大串章
寄鍋や家郷に遠き人ばかり/大橋敦子
昼顔や老い美しき家郷の人/巌谷小波
月光のしみる家郷の冬の霧/飯田蛇笏
母の顔春蘭に重ね家郷恋ふ/原田孵子
灯取虫家郷に遠く父母あり/岸風三楼
切干や家郷捨てたるにはあらず/小島健
合掌の家霊冴えをり家郷捨つ/石原八束
地靄して阿蘇の家郷は田打時/斉藤亀夫
夏空に記憶の一樹家郷を去る/大井雅人
柚子味噌や家郷に遠き雇人/八牧美喜子
屋根石の濡れて家郷の虹太し/冨田みのる
家郷いつも誰かが病めり干菜汁/関戸靖子
家郷青し低き山にも視野絶たれ/津田清子
家郷いま山車練る頃ぞ男児生る/奈良文夫
俳句例:21句目~
捨てしにはあらぬ家郷や雁渡し/平賀扶人
妻とあればいづこも家郷梅雨青し/山口誓子
家郷なり端山に白ナプキンの富士/奈良文夫
家郷末枯れ旅人として山見をり/小松崎爽青
あたらしき秋の家郷を水過ぐる/宇多喜代子
かまど猫家郷いよいよ去りがたし/鈴木渥志
父の忌の早稲の刈りある家郷かな/鈴木穀雨
盆のもの家郷に送り拘引かれ来ぬ/岸風三楼
稲架組めば家郷に似たり一つ星/鍵和田釉子
花梨老樹に赤児抱きつく家郷かな/金子兜太
夜光虫燃えゐて家郷まぎれなし/富田みのる
かりん老樹に赤児抱きつく家郷かな/金子兜太
行く年の追へばひろがる家郷の灯/福田甲子雄
うかうかと木の実踏んづけ親しき家郷/山岡敬典
夏めくこゝろあり水平なれば家郷のごとし/中塚一碧樓
伐られたる梢に滲むわが家郷ひとつのことば枝に置かれゐし/前川佐重郎