羽根に関連した俳句の例をまとめました。
羽根を含む俳句例
菅笠の羽根も休めず渡り鳥/乙由
紅の羽根さゝれけり烏凧/伊藤観
追羽根や旧藩邸の松しづか/松林慧
鷹の羽根栞に拾ふ岬晩夏/鈴木鷹夫
名城に羽根休ませて都鳥/上西啓三
追羽根の音の鎌倉西御門/酒井和子
一天の玉虫光り羽根日和/清崎敏郎
美しき羽根を使ひて鶴争ふ/大串章
鰯来る一村羽根を突きやめし/麦草
大きもの喪ひて胸に愛の羽根/林翔
音冴えて羽根の羽白し松の風/鏡花
的中の矢羽根震へり弓始/古平/隆
逸れ羽根の色失ひて落ちにけり/泰
衛兵交代帽子の羽根に風薫る/磯直道
緑の羽根心音奏づ上に挿す/本多静江
十円の赤い羽根つけ泥酔し/右城暮石
殉教碑訪ふ一団の愛の羽根/中尾無涯
一駅に出口七つや赤い羽根/山縣輝夫
年木樵鴉の羽根をつけ戻る/皆川盤水
山鳥の羽根散る畷松の内/大峯あきら
俳句例:21句目~
雑踏を出て来し胸に赤い羽根/長田等
大白鳥引きし渚の羽根拾ふ/藤本倶子
赤い羽根つけ再びの雑踏に/小島左京
松阪は日当る町よ羽根の音/鈴木鷹夫
鰺刺の羽根休めをり五稜郭/高木良多
愛の羽根嵐を戻る子の胸に/中山良章
辰雄忌や林に拾ふ鳥の羽根/久保和子
寒林に来て美しき羽根拾ふ/塚本烏城
踏みはづし片羽根をつく初鴉/不死男
羽根枕破れて低き讃美歌よ/攝津幸彦
赤き羽根溢る夕日がどつと来て/柏禎
赤い羽根その日失ひ旅衣/阿波野青畝
羽根頑丈に鴉春まつ石切山/寺田京子
雲渡る猿羽根峠の花こぶし/鈴木朗月
胸高に赤い羽根つけ老夫婦/大下順子
行く春や流水羽根のごと光り/大串章
着地鶴二三歩はづみ羽根納む/岸田稚
光源となる羽根たたむ霜の鶴/源鬼彦
筆立の孔雀の羽根や老が春/野村喜舟
肩甲骨に羽根の記憶や大南風/栃窪浩
俳句例:41句目~
留守長き机の上の赤い羽根/森田智子
赤い羽根九十才の胸にあり/石川洋子
船長の帽に吹かるる緑の羽根/小林三郎
胸元に風もちあるき愛の羽根/中村春美
看護婦の言葉短き愛の羽根/岡部名保子
夏木立猿羽根地蔵の後生車/斎藤耕次郎
朝の火事もしや蝉の薄羽根が/安井浩司
羽根あれば茨を愛す墓碑詩/増田まさみ
校章に重ねて愛の羽根を挿す/加古宗也
大空に羽根の白妙とどまれり/高浜虚子
追羽根の音のいつしか昏れてをり/黛執
追羽根の中を抜けゆく郵便夫/畠山譲二
天草干つばめ鴉も羽根ひろげ/桜井博道
奪ひ合ふ矢羽根も猛る奉射祭/中島楓葉
戻り来て郵便受に愛の羽根/吉田みち子
愛の羽根胸にし幾日相逢はぬ/波部白洋
愛の羽根胸にしほれて夜の講師/樋笠文
愛の羽根巷は雨となりにけり/風間啓二
蜻蜒の羽根や主の蜘蛛は留守/寺田寅彦
羽根二つ飾るがごとくおく枕/山口青邨
俳句例:61句目~
愛の羽根妻は厨の壁に挿す/米澤吾亦紅
弓始矢羽根白きを一の矢に/塩田たつを
思ひ羽根日に鮮かに帰る鴨/町田しげき
一列のお辞儀が誘ふ赤い羽根/吉井秀風
抱卵の海猫のひそめる羽根砦/加藤憲曠
草の葉ににはとりの羽根明易し/中田剛
愛の羽根はさみて戻る出席簿/中田樵杖
赤い羽根つけて身なりは物売女/森田峠
人の傘あづかる愛の羽根胸に/富安風生
春ひらく孔雀の羽根の百の紋/岡田貞峰
追羽根のとどく欅の高さかな/紙川明子
黄金虫の羽根美しき孤独かな/細見綾子
春焚火くべたるものに鴨の羽根/中田剛
春眠のつむりを載せし羽根枕/佐藤和枝
春陰や鉛筆立てに鳥の羽根/宇佐美蘇骸
晩年は軽くかるくと羽根布団/加藤燕雨
羽根勁き鳥が横切りぬ花の中/草間時彦
羽根布団とは軽きもの春立ちぬ/岸田稚
追羽根に高野の杉の高こだま/市川翠峯
愛の羽根はじまる服も帽も紺/和田暖泡
俳句例:81句目~
鶏頭や羽根ひろげ来る七面鳥/玉木愛子
鴨の羽根浮きたる水の堰を越ゆ/桂信子
草薙の暮春にゐたる羽根帽子/宮坂静生
鳥の羽根刺し完璧の登山帽/ふけとしこ
杯をふせて追羽根見るとなく/石橋秀野
赤い羽根つけて炭団を造る父/菖蒲あや
追羽根にひねもす筑波濃かりけり/原裕
羽根拡げ鵜飼終りし鵜が甘ゆ/右城暮石
真っ先に赤い羽根つけ街の蝨/右城暮石
母が家の築地破れし羽根日和/山本洋子
托鉢の僧の求むる赤い羽根/河野シゲ子
鯉の子をのぞき緑の羽根映す/大島民郎
髪埋めてひとりに余る羽根枕/辻美奈子
外で会う夫の背広に赤い羽根/伊関葉子
七曜のはじめ身軽し赤い羽根/河野南畦
まさに春孔雀の羽根の拡げやう/桂信子
駅頭の雨滝なせり愛の羽根/水原秋櫻子
青空に追羽根音を残しけり/池野久美子
金の針胸に打たれし愛の羽根/谷中淳子
瀬は岩に岐るる鴛鴦の思羽根/座間友子