土間に関連した俳句の例をまとめました。
土間を含む俳句例
普請して土間通す水初鰹/原裕
三伏や土間の暗きに壁鏡/有働亨
土間移る夕日の重さ蓬餅/桂信子
雪女土間に雫の跡残す/荒井英子
配流の闇なほ土間に遅桜/古舘曹人
蛤を炭火に泣かす土間厨/影島智子
簾屋に簾幾条土間あかり/都筑智子
中秋や土間に掛けたる山刀/原石鼎
子雀や土間に塩ふく塩の蔵/神蔵器
仲秋や土間に掛けたる山刀/原石鼎
大臼の土間に居坐る芋嵐/加藤千秋
石鼎の薪暮しの露の土間/石田勝彦
八月の土間に水甕二つ並ぶ/穴井太
内明りする土間の土凩す/内田百間
新しき土足す土間や飾臼/古市枯声
土間闇の前で銀線祭の雨/香西照雄
鮟鱇の涎汚れの土間辷り/日向正雅
餅花や幾代を土間の砧石/倉田晴生
飛鳥鍛冶鞴祭の土間の幣/橋本鶏二
土間に人畳の上に羽抜鶏/岸本尚毅
俳句例:21句目~
涼風と土間の凸凹昔より/高木晴子
絵団扇や川風通ふ通し土間/風間和雄
紅の鞋手榴弾秋の土間に蠅/片山桃史
立冬やかまど雪隠通し土間/吉村久子
土間口で麦の光を落とす妻/藤野/武
七草の土間の奥より加賀言葉/井上雪
三月の土間に大きな山の靴/成田千空
窯火に映ゆ土間の皺豊年や/川村紫陽
土間口に夕枯野見ゆ桃色に/金子兜太
種俵揚げ来し雫土間濡らす/木全一枝
山国の暮春の家の土間暗し/京極杞陽
春駒や通し土間より日本海/赤塚五行
岩茸を鉱泉宿の土間に売る/皆川盤水
伊賀人の土間艶やかや梅擬/皆川盤水
土間暗く鰻に水を流しおく/森田智子
土間に筍不動産屋で百姓で/河合凱夫
通し土間裏口よりの紫蘇畑/岩佐こん
獅子舞の二つ反り打ち土間の中/温亭
新藁の匂ふ土間より母の声/佐藤母杖
広々と土間かたづけて飾臼/田中冬二
俳句例:41句目~
凌霄や油小路の通し土間/小川三補子
土間涼し臼底にある杵の痕/沢木欣一
燈明を肩に歳来る土間竈/長谷川素逝
枯菊に鏡の如く土間掃かれ/星野立子
初染の晒場となす土間広し/鷲野蘭生
初竃燃えて大土間波うてる/竹中草亭
黍がらや鶏あそぶ土間の隅/子規句集
通し土間奥を灯せる鮒鮓屋/田中英子
踏段が土間へすとんと狩の宿/見學玄
鯉を煮る土間に漂ふ雪解靄/櫻井菜緒
涼風や太宰生家の通し土間/島田ヤス
土間ぬけて遠山へ去る青田風/桂信子
咲く花を見下しの土間蓬餅/草間時彦
墨師らに小湯壺三つ露の土間/飴山實
諸道具や冬めく杣が土間の壁/原石鼎
飾臼悠然と土間占めており/千曲山人
嫁が君次郎長生家の通し土間/河野彩
露寒の土間の炉たいて渡舟守/林蓼雨
土間にあむ峯入わらぢ花曇/亀井糸游
藁仕事土間は終日日当りて/熊谷秋月
俳句例:61句目~
階段が土間へすとんと狩の宿/見学玄
長靴の狭めし土間や牡丹鍋/大東晶子
蓬餅土間を無くせし臼と杵/矢部甲子
長き土間抜けて母屋の春灯/秋山未踏
花野より風来る土間の黒かまど/時彦
残る虫芭蕉生家の通し土間/有馬籌子
土間に榾燃えて框に客一人/京極杞陽
落柿舎の土間を真昼の竈馬/山田みづえ
蓮如忌や土間の真中に臼と杵/前田清子
見つつ過ぐ土間の昼寝の蹠を/木村蕪城
いとど跳ぶ名主家敷の土間厨/福川悠子
土間を出て嬰の這ひ込む梅莚/佐藤古城
豊年や土間に転がるものあまた/古沼徹
通りぬけ土間でありけり初氷/綾部仁喜
この片蔭広き土間より一微風/香西照雄
道路より土間低うして種物屋/玉川鴦鳴
遠雷や土間に這ひ出し蟹の色/久米正雄
醪泡つぶやく土間の春めくも/吉田彌生
金ゆゑ不和土間へ西日が楔形/香西照雄
でこぼこの土間の親しさ蓬餅/八染藍子
俳句例:81句目~
錆鮎の瀬鳴り貫く通し土間/つじ加代子
土間広き宿場名残りの大夏炉/松場/薫
雪割りの鶴嘴その他土間せばむ/有働亨
土間暗く雪沓のみが真新らし/姫井苔青
飾臼据ゑて落ちつく通し土間/影島智子
馬虻の真一文字に通し土間/鳥居美智子
魂祭る土間の広さに母小さく/久米正雄
魔法瓶啼き櫛嗤ふ梅雨の土間/宮武寒々
土間通る風にかざなみ茎の水/田中驕星
地虫鳴く光太郎居の自炊土間/古市枯声
玉葱がるいるい土間の夕明り/飯島匂川
夜長炉に土間の柱や誰かある/飯田蛇笏
大土間に菊の挿し芽の鉢並ぶ/岡田日郎
五月雨や鶏の影ある土間の隅/富田木歩
人の来て寒の月光土間に入る/野澤節子
大土間は今もでこぼこ燕の巣/大森積翠
山眠る土間の生活も板につき/岩井恵子
冬日さす土間ぬち牛の孕み腹/木村蕪城
干瓢の滝なし干され土間暗し/八木絵馬
廃屋の土間を割りたる夏蓬/亀上三千代