パン/麺麭に関連した俳句の例をまとめました。
パン/麺麭を含む俳句例
一塊のパン荒々し初日影/原和子
秋風や麺麭の袋の巴里の地図/敦
雀らにパン屑頒つ喪正月/中村明子
パン食を嫌う一徹時計草/山本美枝
パン種の匂へる厨朝の鵙/山田弘子
立春の佛蘭西麺麭の虚かな/小澤實
雪催パン種たたき叩きつけ/深谷芳枝
パン抱へ女礼者の帰路急ぐ/小室藍香
長きパンに短き袋巴里祭/吉田つよし
白熊が食パンを喰ふ食事時/瀧井孝作
弁当のパンがわきゐて咳さぞふ/篠原
喀血のあとパンを食ふ泪して/弓削鴻
燕来るパンの匂ひの朝の駅/池田祥子
囀や一片のパン焼けば足り/遠藤梧逸
パン林檎指輪衣肉なみだ顔/和知喜八
パン袋掌に冬鵙とはたと会ふ/原田喬
寮母きて夜業織娘にパン配る/鈴木学
パンの耳雀に撒きて受難節/江崎成則
パンをさく島山青き朝焼に/岸風三楼
麦の秋朝のパン昼の飯焦し/鷹羽狩行
俳句例:21句目~
棗咲き村に一軒パン焼く店/田中英子
餡パンの臍のたしかや冬麗/宮坂静生
麺麭抱えゆく本牧の日短か/高澤良一
夏きざす素行不良のパン焼器/中里良
食パンの頑固な四角開戦日/葦岑和子
食パンの七日目黴の創世記/大嶋康弘
風邪の床出て老犬にパン頒つ/角淳子
涼新たパンに眠りし烏賊の墨/二村典子
水洟の神は餡パンかぶりつく/三村正次
パン種を打つ音寮の若葉雨/鳥居おさむ
湯気籠るパンの玻璃棚母恋し/香西照雄
サルビアの焔に雨や麺麭作り/堀口星眠
橡咲くや夜学生へのパン売場/田中灯京
白鳥に届かぬパンや鴨迅し/若木ふじを
冬虹や窯より出して麺麭の音/柚木紀子
夜学生麺麭買ふ大き闇負ひて/森本柿郷
パン箱にパンの艶あり鑵焚火/香西照雄
楽の裏冬の楽屋にパンひとつ/宮津昭彦
新涼や朝の麺麭積み玻璃曇る/宮坂静生
隙間風パン焼く香り運びくる/田中雅子
俳句例:41句目~
終戦日ミルクに浸すパンの耳/崎間恒夫
蛞蝓に塩ふるパン種膨らんで/柿本多映
裏方へあんパン届く聖誕劇/坂本真理子
西日とパン焼いて産後の女達/対馬康子
熱風の樹に倚り白き麺麭を食む/三谷昭
パン買ひに三味線草の近道を/細見綾子
鏡餅据へしパン屋のレジスター/小梅順
開戦日厨にパンを焼く匂ひ/吉田八重子
阪神忌笊に干さるるパンの耳/木下節子
桜草棒パン呉れたは竹中郁/伊丹三樹彦
枯山や枯山なしてパン並ぶ/金箱戈止夫
陽も沖も一月朝のパン匂ふ/神尾久美子
雪の夜のパン売る雪の囮めき/斉藤夏風
朝刊とパンとコーヒー風五月/浅野右橘
雪解靄パン屋に広き駐車場/菊池ふね子
雷走りパンの片側くらくせり/岡田史乃
非常時用乾パン棚に春立ちぬ/池田澄子
霜抽く葦麺麭の骰野に伏して/成田千空
黄麦を通る手籠にパン満たし/野澤節子
食パンにはさむ夕焼色のもの/対馬康子
俳句例:61句目~
朝のパンほどよく焦げて初嵐/富安風生
パン購ふは八重歯の少年朝桜/加藤水万
餌台に餡パンのあり愛鳥日/斉藤志津子
餡パンのへそ歪なる銀座かな/攝津幸彦
麺麭家族祭農家にはさまれて/右城暮石
麺麭摂るや夏めく卓の花蔬菜/飯田蛇笏
春暁のパンをちぎるも一人旅/山本歩禅
拘りのパンの焦げ目やパリー祭/関礼子
強霜に驚きパンを焦がしたり/津田清子
パン食の胃である坂の加速感/川端麟太
パン黴びて朝の欠食いさぎよし/金子潮
北狐パンくはへしが振り返る/長谷川櫂
山荘にパン焼く匂ひ辰雄の忌/森田君子
やはらかきパン抱へ来る初嵐/内藤吐天
サルビアの焔に雨やパン作り/堀口星眠
山燕遠くは飛ばずパンうまし/林原耒井
子が残すパンの耳食べ桃水忌/神谷わさ
如是我聞パンの匂いの十二月/石崎素秋
天使祭棒パンと棒胸に抱き/沼尻巳津子
パンごと裂ける黒人の指花石榴/竹中宏
俳句例:81句目~
パンちぎる一口大の秋思かな/対馬康子
外は北風パン種のぬくみけり/如月真菜
パンのやうに匂ふ少女ら蛇苺/富田直治
パンの匂いの村で弟嫁もらう/阿部完市
夏海の匂ひ真白き朝のパン/平井さち子
五月雨の竹の緑や朝のパン/大谷碧雲居
人夫のパン部厚し春の雨上る/岩田昌寿
パン分つ看護婦の胸春日満つ/岩田昌寿
冬の雨パンつけて傘返しけり/室生犀星
千切るパン艀をなでる夜の息/赤尾兜子
パン焼く香溢る青山薄暑かな/恩田秀子
冬虹や窯より出してパンの音/柚木紀子
初午の笛太鼓パン焦がしたり/石川桂郎
うららかに朝の麺麭など焦しゐむ/安住敦
パン種を秘して老舖や巴里祭/下村ひろし
パン積んで陳列棚くもらす朝櫻/中島斌男
春の星さちうすき日の麺麭を焼く/三谷昭
昼寝の手掴みし麺麭を離さざる/加藤秋邨
森の奥パンの実青く焼かれおり/金子兜太
歴程や月を焦がしし朝の麺麭/田川飛旅子