電車に関連した俳句の例をまとめました。
電車を含む俳句例
夏帽子膝に抱きて電車人/篠原
秋灯一輌電車の筑前路/早川典子
萍や古き電車の走りぬけ/穴井太
春眠に大和魂なき電車/安田直子
朝涼の一番電車花の荷と/茂里正治
生国を電車で通る月光裡/池田澄子
万葉の恋の蓬野電車ゆく/三嶋隆英
青嵐電車の音と家に来る/山口誓子
川渡る電車に春の光満つ/後澤啼鳥
三崎より戻る電車の秋灯/高澤良一
電車行くそばに祭の町すこし/虚子
骨固き肩肘頑と花見電車/右城暮石
一輌の電車浮き来る花菜中/松本旭
一両の電車見送る花吹雪/今中京都
電車音ひびく子規庵霜柱/岡村葉子
長崎はちんちん電車花曇/細川加賀
電車待つ必ず盆の僧まじり/森田峠
拝めば電車曲りぬ額の花/林原耒井
二駅の電車に眠し放哉忌/石川桂郎
減速の電車影ひく雪解川/岩下幸子
俳句例:21句目~
足尾線二輛電車に茸売る/山本敦子
匂袋老女涼しく電車降り/館岡沙緻
焼跡を一番電車通りそむ/清崎敏郎
原爆忌腕鈴なりの電車過ぐ/隈治人
日脚伸ぶ電車の中を人歩き/神蔵器
炎昼の電車重たく橋渡る/杉山青風
夏山の麓電車の来てかへす/倉田青
朝寒の膝に日当る電車かな/柴田宵曲
電車降り盆僧衣紋正しけり/夏目英子
とろとろと一両電車麦の秋/萩/尚子
寒月下灯の濁りたる電車行く/草田男
電車徐行大津祭の山車の脇/大野鵠士
横揺れの電車と帰る春の雁/西村公鳳
電車いままつしぐらなり桐の花/立子
一年生電車の中を歩きをり/秋山未踏
強霜の飛騨の一番電車かな/木川夕鳥
都鳥汚れし電車橋渡る/長谷川浪々子
お花畑おとぎ電車に男乗る/遠藤匡子
遠雷や父の電車は絵の中に/柴崎昭雄
乗初の電車今年も芦屋行/粟津松彩子
俳句例:41句目~
遠き空の電車音沸く墓平ら/和田悟朗
軋み着く浜の電車や磯開き/守谷順子
炎天の墓を電車が迅く過ぐ/細見綾子
馬鈴薯の花も電車も夕日中/愛澤豊嗣
風の電車は花野発花野行き/今瀬剛一
踊り子と終の電車の十二月/清水基吉
働きに行く人ばかりの電車/尾崎放哉
牛すねて電車止めをる牛祭/太田穂酔
大寒の電車無数の耳が乗る/高橋央尚
冬服の一人残して電車発つ/伍賀稚子
海の辺を電車一輛涼しけれ/澤村昭代
大蔵省電車によぎり勘定日/細谷源二
秋晴や電車に吼えて牧の牛/土屋秀穂
十月の電車忘れし帽子のる/相沢静思
蓮池の向うを通る電車かな/野村泊月
天道蟲宵の電車の明るくて/田中裕明
反対の電車に乗れば夏の海/岡田史乃
霞む海電車一駅づつ停る/小野恵美子
菜の花にまぎれ一輌電車過ぐ/林千代
台風や電車が電車待つ夕べ/中鉢益生
俳句例:61句目~
白雨閉じ電車の中の同胞よ/香西照雄
橋わたる電車光りて寒明けぬ/梅田男
花疲泣く子の電車また動く/中村汀女
この町の電車をかしや山開/山口誓子
花冷の百貨店より電車出づ/館岡沙緻
春昼の廊下のごとき電車かな/仁平勝
電車より首出しゆくや星祭/相馬遷子
夏の風邪禁煙席の電車待つ/梅沢信作
この電車の右側が好き花芒/安田なほ
朝の電車に少年の羽漂着す/大西健司
枯野電車に茹で卵むく中学生/飴山實
すぐ裏を電車の通る初薬師/山下竹揺
芋の露まろび一番電車かな/遠田澄子
竹煮草電車大きく曲り来る/細川加賀
鳥雲に止まる円周上の電車/齊藤夏風
花びらの吹き入る電車多摩郡/及川貞
炎昼の街に電車の軋みけり/森下美津子
町の端に地下出づ電車寒夕焼/大橋敦子
畔火進む帰省の電車遅ければ/香西照雄
発つ前の電車の鼓動青ぶだう/望月紫晃
俳句例:81句目~
盆の夜の電車に駅が流れ着く/仲村青彦
礼拝を終へし電車に初山河/田川飛旅子
いねし子に電車ひゞくや魂祭/渡辺水巴
いわし雲電車はづみて橋を越す/杉本寛
秋の灯の一つが流れ来て電車/江川虹村
秋晴の湖ぞひ道と電車みち/鈴鹿野風呂
窓の景子になく暑き地下電車/大橋敦子
花冷のわが運ばるゝ電車かな/星野立子
さみだるる心電車をやり過す/中村汀女
花吹雪灯を擾し着く電車かな/久米正雄
たまさかの電車が時計蜜柑山/世古諏訪
草萌になほ廃墟なる電車待つ/原田種茅
なぜ滲む涙/電車という密室/岡崎淳子
なつかしや雪の電車の近衛兵/飯田蛇笏
葉桜の頃の電車は突つ走る/波多野爽波
虹の方電車ずぶ濡れ来りけり/岡田貞峰
蛇行して揺るる電車や十二月/山下典子
蛇行する女のままで春電車/ひらの浪子
スキイヤー膝に電車の振動を/藤後左右
行く春の電車は音を忘れけり/間瀬一象