酢に関連した俳句の例をまとめました。
酢を含む俳句例
相おもふ酢貝や祝ふ雛遊/幸女
酢に酢貝酒に礼あり睦月/言水
酢を嗜む雷干や宵の雨/塩原井月
笹酢や次の間赤き鏡掛/西宮陽子
重ぬるよ大石小石酢の圧/泉斜汀
三伏/姫君は酢で殺す/早瀬恵子
酢を運ぶ舟の往来冬鴎/高澤良一
痩梅や酢蔵のかけに二三輪/几董
沖は青酢嶋崎霞めひらめ舟/露言
燕や酢の看板を抜けて行く/也有
過て勾ふ酢屋の門辺や朧月/春坡
酢茎売来て賑やかや台所/谷野予志
えびす講酢売に袴着せにけり/芭蕉
からし酢にふるは涙か桜だい/宗因
芭蕉忌の酢漬の冷や近江蕪/森澄雄
八朔に酢のききすぎる膾かな/許六
酢茎剥く前垂同じ嫁姑/西村しげ子
胸深く財布しまひぬ酢茎売/森田峠
松茸の酢和へも月の匂ひかな/臥高
翌の事頭にちらと酢蓮根/高澤良一
俳句例:21句目~
百俵の塩の届きし酢茎宿/山川能舞
沖膾海上に酢の匂ふまで/野村喜舟
初秋や酢のきゝ過ぎし膳の物/篠原
酢で緊むる湖のや西行忌/長谷川櫂
北山の風に酢茎の樽洗ふ/中田幸子
北浦の海雲酢にせん夏の始/飴山實
酢で〆めて小さき茂かな/久保文子
減り行くや月と酢瓶と朝顔と/乙二
古郷や小鯛の酢の馴加減/竹村秋竹
笹漬の小鯛酢にせよ生身魂/飴山實
すげなきは酢の看板と冬の月/支考
鶯は飛んで酢瓶の匂ひ哉/正岡子規
によく酢のきく日なり山笑ふ/春庵
菖蒲酢もまじるや軒の梅の雨/貞徳
曇りぐせつきし北上酢茎漬/安福春水
酢海鼠や桂郎酒筆讃へつつ/福永耕二
ふさはしき三幅前垂酢茎売/高浜年尾
酢昆布を噛みて一八美しき/岸本尚毅
硬直の酢のもの海鼠勘弁な/高澤良一
酢は壜の形のままに盛夏過ぐ/糸大八
俳句例:41句目~
良寛の桑門の道酢漿草より/高澤良一
酢の匂ひ田へひろがれり春祭/磯部実
酢橘採る鋏のひびく札所道/丸川越司
青饅に酢の乏しはた恋遠し/大石悦子
酢に饐せて母の声聴く心太/石塚友二
山葵酢に肝をねらふや丸炙/高井几董
川風を寒み戸に寄る酢茎売/伊東月草
秋の日の三条下ル酢の匂い/小川千子
氷を酢に堅田の雨の宿りせん/飴山實
酢陶を水主あやまちそ沖膾/高井几董
店の端に小さく坐る酢茎売/面地豊子
酢に色のありて八十八夜寒/大澤保子
酢の中に小蟻一匹ゐる暑さ/植村/花
酢に晒す東京独活の白き肌/市川添子
冬瓜にききすぎし酢や小丼/飯田蛇笏
酢に噎せて母の聲聴く心太/石塚友二
惘然と飯に酢をふる男かな/赤尾兜子
酢なまこやふる里同じ話して/乾澄江
折々は酢になる菊の肴かな/松尾芭蕉
加賀人が酢の塩梅や霜の蟹/正岡子規
俳句例:61句目~
羊蹄の酢甕といふも黒薩摩/加古宗也
きらきらと螺鈿の雨や酢蛤/秋山幹生
酢茎圧す天秤高く又低く/宇野氷露子
酢瓶いくつ最昔八岐の大生海鼠/松意
酢瓶いくつ最昔矢岐の大生海鼠/松意
湖に今日を惜しめば諸子の酢/森澄雄
しら玉の飯に酢をうつ春祭/水谷晴光
酢がとれて蜜柑も年の名残かな/之道
名物の一つに酢橘阿波土産/宇山白雨
春光や薩摩黒酢の畠の壺/福谷美保子
喉ごしの酢牡蠣三陸波濤の灯/花貫寥
花に箸替えよ吉野の二日酢/浜田酒堂
虎杖の酢も涸るる秋五十年/三橋敏雄
蓋とりし酢甕の匂ふ油照り/清崎敏郎
素袍着た酢売り出でこよ花の春/召波
春立つや半田蔵町酢の香り/松田金次
鳥貝の酢飯固めに握りけり/早野和子
鮟鱇の肝を酢締めに節の忌/大塚友治
春風や酢にはぜかへる生いはし/蓼太
餅焼けて蕪酢づけは箸やすめ/及川貞
俳句例:81句目~
颱風や厨にみてる酢の匂ひ/吉野義子
春風や酢売りありく声の艶/井上井月
草の戸の酢徳利ふるや菊膾/黒柳召波
箸先に酢豆一粒づつ冷たし/長谷川櫂
花の雲酒の肴は酢でころす/瀧/春樹
折ふしは酢になる菊のさかなかな/芭蕉
早苗饗や酢の香吐出す換気扇/奥野勝司
春潮や海女の厨の酢の香して/大野林火
朝の茶に酢漬け茗荷を鬼貫忌/森田公司
朝露に酢の実の匂ふ座鋪かな/中村史邦
栖み馴れし鼬追はるる酢茎倉/羽田岳水
いつ見ても青き頭巾の酢賣哉/正岡子規
歯切よき加餐の酢蓮十三夜/猪俣千代子
残り火を暗きに捨つる酢茎売/井上弘美
筆置ける石あり酢茎桶ならぶ/皆吉爽雨
水音や樽を並べて酢茎売り/穂坂日出子
涼しさや酢にもよごれぬ沖膾/正岡子規
牡蠣の酢に和解の心曇るなり/石田波郷
この辺の家のたつきの酢茎桶/稲畑汀子
甘酢にも咽ぶ齢やところてん/板垣紫洋