砂丘に関連した俳句の例をまとめました。
砂丘を含む俳句例
裘砂丘案内の女馬子/加藤三七子
一条の轍がつづく寒砂丘/島村正
大砂丘の裏側通る秋の暮/岸田稚
風花や砂丘に浅き靴の跡/森田操
点の人点々の人砂丘夏/石本登也
晩涼の砂丘一村こぼれ住む/有働亨
秋冷の砂丘を雨の堅め降る/上村占
鴨引くや風紋淡き幾砂丘/和田祥子
砂丘冬妻にひとりの乳児匂ふ/原裕
鳥肌を立つる砂丘や霙打つ/林逸茂
月見草砂丘に月を十階に/杉原昌子
寒の鳶天に砂丘に光無し/木村蕪城
夏赤き月を砂丘に嘆くなり/有働亨
鰯雲砂丘へ網を打ちし如/小川玉泉
夕雲雀関節が鳴り砂丘ゆく/岸田稚
朝曇一人砂丘の遊子たり/菊池育子
風薫る石狩砂丘一樹なし/高橋抱石
天高し足跡も無き大砂丘/古江重美
早春の巻貝殻は砂丘の耳/有馬朗人
末枯や砂丘に命零しつつ/河野美奇
俳句例:21句目~
東西に砂丘冷たき鰯曳/百合山羽公
海女葬る砂丘の南風夕なぎぬ/麦南
砂丘きて負籠の中の冬菜青し/澄雄
春の蟻砂丘にのこる風の紋/八木透
雪砂丘われ人間の姿して/津田清子
足埋まる浜坂砂丘冬の虹/柳田睦子
赤蜻蛉砂丘は音も影も消す/石原透
卒哭の身に秋風の砂丘あり/有働亨
盛上がる春潮迫る大砂丘/松田碧霞
南風落ちて力を抜きし大砂丘/岸田稚
足音をもたず朧の砂丘ゆく/羽部洞然
銀漢や砂丘砂散る未明音/鷲谷七菜子
土用波砂丘くれゆく洲を抱く/及川貞
雲居の日低く砂丘の雪厚き/森川暁水
靴底に砂丘は固し年暮るる/大野林火
風紋の夕づく砂丘月見草/小原菁々子
鰹船帰る砂丘も鼓動して/百合山羽公
鴉翔く砂丘濡色枯れに似る/吉野義子
梨の芯吐けば砂丘の海怒る/森川暁水
梨咲くと轍を重ね砂丘馬車/神尾季羊
俳句例:41句目~
汐踏の十八神輿砂丘より/町田しげき
寒の鳶一つ砂丘の歌碑一つ/木村蕪城
江ノ電の昔千鳥の翔ぶ砂丘/高澤良一
沙丘灼け長き兵列天に入る/片山桃史
浜昼顔砂丘へ一花一花寄る/兒玉南草
渡り鳥砂丘いよいよ現はれて/岸田稚
温むなき砂丘の泉砂を噴く/山口草堂
漁夫眠く暁軽快に砂丘の火/大井雅人
幻を啣へ砂丘の夏がらす/百合山羽公
潮騒や砂丘に触るゝ二日月/那須乙郎
炎天の八方砂丘なだれ合ふ/山口草堂
矢車の鳴りて砂丘の昼深し/吉田素直
砂丘こそ国引の綱さくら貝/河野頼人
恋ざめか砂丘のとんぼ横流れ/樋笠文
砂丘へ月力を溜めて走り出す/岸田稚
我歩むところ道なり砂丘冬/福田蓼汀
砂丘昏れ五月夜空を青が占む/岸田稚
砂丘沃ゆ西瓜の黝き蜑の昼/飯田蛇笏
砂丘薄暑空の香水瓶ころがる/有働亨
砂丘越え雁行に逢ふ浪の際/大野林火
俳句例:61句目~
旅人に砂丘の星と鳥の巣と/小林貴子
砂丘馬のうるみ眼や辣韮畑/畠中久枝
春しぐれ虹の松原砂丘越え/石原八束
一粒砂悴かみ移動する砂丘/黒岩有径
人間の匂ひ砂丘に腐れトマト/有働亨
砂時計めく炎天の砂丘かな/広渡詩乃
秋天や崩れ落ち来る砂丘壁/仙田洋子
秋立ちぬ砂丘に手突き指埋まり/林翔
秋風に乗りて砂丘の端に立つ/岸田稚
春風で砂丘の神の砂あそび/辻田克巳
空林に投網捨て積み寒砂丘/加藤耕子
昼の虫砂丘の底に鳴きゐたる/有働亨
昼顔や砂丘の果ての波の音/鈴木文野
糞少しして朝焼の砂丘に出づ/岸田稚
荒海と枯野を隔つ砂丘かな/松尾白汀
冷まじや砂丘に嵌る足二本/渡辺恭子
月のぼる砂丘風葬の虫けらよ/岸田稚
螢火や砂丘に闇のつばさ垂れ/有働亨
月荒く赫き砂丘も白かりき/森川暁水
有刺線砂丘の泉囲みけり/高繁泰治郎
俳句例:81句目~
初砂丘新しき砂海に延ぶ/百合山羽公
朝焼や砂丘下げゆく宿の下駄/有働亨
誰も来ぬ砂丘の陰のほたる草/樋笠文
貝塚や砂丘十里も雁のころ/桂樟蹊子
風紋が生きて居るなり寒砂丘/池谷/修
砂丘秋色あれは乳房ここは臍/鈴木鷹夫
青葉風らくだと共に砂丘行く/元林和子
砂丘ゆく秋晴の海見ゆるまで/松尾緑富
はまなすの砂丘の果を作る海/稲畑汀子
はまなすの砂丘左右に波三里/石原八束
砂丘ゆくパラソルの色海の色/藤崎久を
霙うつ夜見の砂丘の汽笛かな/加藤楸邨
暦びらき輝く砂丘あらはるる/海野廸子
ある挿話砂丘に伏せる二枚貝/伊藤敬子
いきいきと妻の素足や大砂丘/水原春郎
雲雀鳴く砂丘空気のびつしりと/岸田稚
月荒き砂丘は古邑うづむとや/森川暁水
うちつゞく砂丘辣韮畑かな/細田乃里子
雁渡し砂丘は生きて砂奔る/豊長みのる
雁渡し砂丘にこぼす黄粉菓子/田中水桜