椅子に関連した俳句の例をまとめました。
椅子を含む俳句例
霞草父親学級椅子浅し/細川加賀
老画伯邸皮椅子に籠枕/鈴木鷹夫
葉桜の万の囁き夜の椅子/森大暁
花曇鉄の灰皿固き椅子/香西照雄
春深く山の農夫は椅子繕ふ/有働亨
只寒し白き御帳黒き椅子/寺田寅彦
春潮に対し一亭椅子二脚/岸風三楼
わが椅子のバネの健在大旦/西谷孝
十月の椅子の一脚神隠し/丸山嵐人
半世紀分の空冷え仮の椅子/渋谷道
椅子固き汽車に遠出の蜆売/下田稔
晩夏光駅長の椅子新しき/黒川允子
卒業生退場青き椅子の波/中尾杏子
囀や傾く椅子に座りたる/山下澄子
椅子により心の景の枯柳/富安風生
甲板の椅子百脚や夏は来ぬ/塙幸子
未来図や枯芝に置く椅子二脚/林翔
枯芝や庭の小椅子に黒鶫/三好達治
鳥帰るなり整然と椅子机/石田郷子
校庭に一脚の椅子秋の暮/藤岡筑邨
俳句例:21句目~
試験期や枯芝に椅子一つ残し/中拓夫
山吹や滝に向つて椅子床几/西山泊雲
裘椅子にあづけしモデルかな/樫村英
春浅し椅子や机や髪くすぶる/穴井太
椅子一つ毀れてゐたる蕨餅/鈴木鷹夫
蝶二つ忽ち別れ椅子残る/殿村莵絲子
藤椅子に二十世紀の音軋む/吉年虹二
幻燈会林間学校椅子を貸す/山口誓子
すがれ葦塩田跡の恋の椅子/加藤房子
花疲れ芦辺踊の椅子に在り/伊東祐翠
冷房の椅子より細き脛二つ/田中朗々
廻轉椅子くるり~と除夜ふくる/篠原
切株は天与の椅子よ鳥の恋/永井敦子
切株は老年の椅子遠紅葉/伊丹三樹彦
はつ秋の湖の光へ椅子廻す/亀田宏子
緑陰の椅子の乱るるままに去る/直人
晩年や骨の音して籐の椅子/山下良三
緑蔭の椅子に安穏老貴族/成瀬正とし
椅子一つあらば緑蔭いかによき/沢聰
やや寒の椅子と机の間かな/綾部仁喜
俳句例:41句目~
卒業式先輩の椅子持ち帰る/松田明子
約婚のふたりも椅子に小望月/及川貞
晩餐図椅子一つあけ冬深し/有馬朗人
粛として講書始の椅子一つ/有馬朗人
笹鳴や古総太き客間椅子/島村元句集
窓際に対話の椅子と鰯雲/町田しげき
春うらら透明人間坐る椅子/武田和郎
空が少し近き理髪店の椅子/守谷茂泰
秋風や帚木隠れ椅子置けば/下村槐太
秋虹へ椅子一斉に廻しけり/奈良文夫
園丁の冬の仕事の椅子造り/西村和子
折りたたむ椅子の重たき花曇/飯島愛
蜩や椅子の片脚浮いてをり/高澤良一
砂ながれ砂に埋まる廻転椅子/穴井太
短日や逆さ重ねに会議椅子/池田秀水
雪あはく画廊に硬き椅子置かれ/誓子
夏迎へ匂ひの園の一人椅子/村越化石
椅子回し見る少年に夜の雪/対馬康子
俗権得て白装の椅子雪の梅/香西照雄
雨の鵙朝餉は沖を見る椅子に/及川貞
俳句例:61句目~
夕風や風船売のたたみ椅子/石川桂郎
机みな椅子乗せて伏せ冬休/古川閑山
机椅子鉄色をしてかじかめり/飴山實
揺椅子に妻軽くなる小望月/西谷/孝
一本の桜吹雪へ母の椅子/山崎千枝子
煖房や株主集ふ椅子を置く/山口誓子
一脚の椅子は木晩に桜桃忌/古舘曹人
大テント招魂祭の椅子並ぶ/小路紫峡
七夕や一猫坐る理髪椅子/磯貝碧蹄館
大晦日父がつぶやく椅子の上/原田喬
揺椅子に母のまぼろし秋桜/山田弘子
椅子一つ蜩の声聞いてをり/長谷川櫂
椅子一つ縁側に置き秋の雨/京極杞陽
潮騒に陶の椅子あり春深し/鈴木鷹夫
運動会昔も今も椅子並ぶ/横山佳世子
水仙やはたらく者の椅子浅き/金子潮
婚約のふたりも椅子に小望月/及川貞
水仙の香へと診察椅子回す/大槻右城
新緑の中鼎談の椅子置かれ/池田秀水
鵙狂い坐り心地の悪い椅子/寺井谷子
俳句例:81句目~
椅子固し聖夜を遅れきし我に/森田峠
食堂の椅子みな逆さ冬の月/伊草節江
人遠し立冬の椅子軋ませて/都甲龍生
買初や母に佳き椅子贈らんと/轡田進
日脚伸ぶ診療室の椅子辺り/上田茂治
椅子涼し九十五歳の仮眠中/片岡宏文
秋深き波郷の椅子に坐りけり/長谷川櫂
椅子にゐて王者のこころ鰯雲/石原舟月
椅子に猫丸く寝てゐる小豆粥/遠藤梧逸
椅子に舁れ夏山上る異人かな/正岡子規
椅子の数死の数葉月来りけり/永鳥靖子
夏草の波かと寄する椅子一つ/中島和昭
椅子の絵の下に椅子あり夏館/千田百里
椅子の脚砂におちつき避暑家族/桂信子
夕凪の椅子引き上げる椅子の塔/竹中宏
夕桜死んだものらに椅子並べ/久保純夫
椅子ひとつあらば緑蔭いかによき/沢聰
夜は墓の青さで部長課長の椅子/堀葦男
椅子一つ抛り込んだる春焚火/川崎展宏
椅子倒れまなこばかりの藪の中/穴井太