時計に関連した俳句の例をまとめました。
時計を含む俳句例
掛時計胴震ひせり薬喰/小澤實
星合や長生殿の水時計/松瀬青々
鐘霞む村を遥かに時計工/北光星
柏餅家に明治の掛時計/辻田克巳
夏鹿の森の刻々銀時計/攝津幸彦
凛々と目覚時計寒波来/日野草城
大学の時計が灯る樫の花/辻桃子
夏館古き時計を疑はず/岩田由美
七夕や長生殿の水時計/松瀬青々
鵜舟待つ橋の袂に時計店/川崎展宏
年の夜の時計鳴りをり壁一重/凡洋
早春の暁紅の中時計打つ/石田波郷
色鳥のこゑ落すべし香時計/岸田稚
花葛や時計の多き淀の家/宮坂静生
蚊雷やなかば時計の刻む音/森鴎外
買初や念願叶ふペア時計/山田節子
鐘塔へ日氷の緒綱歌時計/桂樟蹊子
山国の夜番の上に星時計/鷹羽狩行
初櫻腕白くして時計せり/和田悟朗
公園の狂つた時計日短/今井千鶴子
俳句例:21句目~
雪雲を愛す時計の大振子/対馬康子
初鶉時計の六つもうたせけり/史邦
時計から人形が出て降誕祭/館容子
橡餅や一軒宿の時計古り/貝原弘子
牡丹雪時計一秒づつ動く/世古諏訪
冬木空大きくきざむ時計あり/篠原
冬木空時計のかほの白堊あり/篠原
母が巻く目醒時計蛾の羽音/草田男
山笑ふ時計三十分おくれ/藤岡筑邨
帳綴や古き音なる掛時計/阿片瓢郎
太柱に狂ひし時計猪の宿/福嶋延子
朝顔の家それぞれの時計音/中拓夫
炎昼のダリの時計を裏返す/永島唯男
初夏や腕に時計のない日曜/菖蒲あや
尚動く亡き子の時計万緑裡/楢崎六花
初夢の駅の時計の進まざる/藤田湘子
お遍路は時計回りに霊山寺/高澤良一
翻り燕は時計見て行けり/松田千世子
村中の時計のゆるむ牡丹雪/秋本敦子
緑蔭の人もをらぬに香時計/田中裕明
俳句例:41句目~
きらり~時計玉振る黴の宿/河野静雲
水底で時計が揺れる冬の朝/対馬康子
時計工顔上げ雨が雪となる/中村明子
初漁の船の時計を正しけり/田邉富子
立春の暁の時計鳴りにけり/前田普羅
秋風の駅の時計とわが時計/中村汀女
そぞろ寒終着駅の掛時計/結城日出子
掛け時計冬波荒るゝ船中に/右城暮石
囀に古城の塔の時計かな/池内友次郎
秋雨や村人駅の時計見に/大橋櫻坡子
七宝の時計も置かれ枯木宿/原コウ子
秋燕駅の時計を子に読ます/横山房子
時計外せば丸腰に似て薄暑/鈴木栄子
秋灯に大きな振子時計かな/山田弘子
時計見る秒斯く刻み冬来る/高浜虚子
下冷えや夜光時計の針青く/田中冬二
永き日の柱に時計籠に鳥/片山由美子
永き日の時計を直す隣かな/会津八一
秋晴の水底にあり時計店/高野ムツオ
国中の時計の音がして夕立/対馬康子
俳句例:61句目~
亡き父の時計を腕に大試験/福家市子
短日の人織る巷時計鳴る/柴田白葉女
新涼の母国に時計合せけり/有馬朗人
正確に生前死後の父の時計/伊丹公子
冷房の時計時計の時おなじ/西東三鬼
水時計さつき滴る水なりき/小池文子
片蔭の家の時計を覗きけり/橋本鶏二
僧は留守梨の鼎座に時計刻む/草田男
煤払駅に掛かりし時計から/中西夕紀
梟の眼うごく時計の夜長かな/龍岡晋
チクタクと時計短き夜を急ぐ/谷活東
時計なき宿暮せはし蝉の声/尾崎紅葉
柔らかい時計のゆくえ日雷/米花紺子
楪や亡夫の時計子の腕に/石田あき子
春宵や駅の時計の五分経ち/中村汀女
半夏生正午の時計打ち終る/松葉幼星
女正月電話の中に時計鳴る/中村明子
朝過ぎゆく小さき時計秋日の中/綾子
春近し時計の下で眠るかな/細見綾子
家中の時計が鳴るよ寝正月/伊達甲女
俳句例:81句目~
舶来の時計が欲しき実朝忌/攝津幸彦
葡萄棚露ぼた~と時計鳴る/久米正雄
蔵座敷五尺時計の音涼し/白澤よし子
藍染める終始春寒時計の音/山本洋子
蝉の胸時計の内部覗くごと/高澤良一
角海老の時計數へる夜長哉/正岡子規
警報下秋灯に寄せ時計巻く/中村汀女
梟や振り子時計の少なくなり/皆吉司
起きるまで動く時計と猫柳/和知喜八
野分してやがて旅籠の時計かな/達治
鍵財布時計手袋職を退く/元吉竹瓶子
喪の家の数秒遅れ鳴る時計/西口昌伸
陽炎と共に時計の中をゆく/加藤楸邨
雪女郎古き時計が夜を刻み/大津希水
餅花の奥の音なる時計かな/高田瓜鯖
餅花や煤けし時計緩く鳴る/田中西崖
鬼城忌や柱古びし掛時計/斎藤優二郎
鳥かへる風雨の夜の時計かな/原田喬
鳥籠に鳥無く時計煮えている/徳弘純
鳴りのよき明治の時計水羊羹/菅裸馬