宙に関連した俳句の例をまとめました。
宙を含む俳句例
葉桜や一宙劃る仏の手/槐太
縦吊りの鉄骨の宙花曇り/森洋
蟇楸邨宙に還りけり/平井照敏
黄落の宙に欅の力瘤/宮津昭彦
雨蛙黒き仏の宙に鳴く/山口誓子
宙吊りの飾羽子板飾凧/清崎敏郎
節の豆宙に童の眼もをどる/林翔
梓弓弦月宙を寒うせり/和田悟朗
宙に混む紅梅の炎や年の暮/原裕
宙に一瞬水の塊楸邨忌/須川洋子
返り花宙に帰り花棺に/折笠美秋
三椏の蕾々の宙にあり/高澤良一
雨蛙明恵坐禅の宙に鳴く/右城暮石
水鳥の夢宙にある月明り/飯田龍太
冷し馬鋼のごとく宙とばす/岸田稚
宙に日を十一月の楢櫟/星野麦丘人
初蝶の宙へと昇る伽藍かな/石嶌岳
綿虫が飛ぶ石の宙竜安寺/勝井良雄
寒満月山脈低み宙に浮く/相馬遷子
枝伸べて桜は水の宙に在り/有働亨
俳句例:21句目~
竿灯は大きく宙を一泳ぎ/高澤良一
立つ僧の綿虫を宙釈名す/村越化石
囀りの森より宙へ観覧軍/矢島房利
石舞台に宙より流る円舞曲/妹尾健
宙をふむ人や青田の水車/正岡子規
燕の子宙六尺を泳ぎつく/相馬遷子
月光は凍りて宙に停れる/山口誓子
炭俵火となる焔宙に鳴る/内藤吐天
大魔術宙に人浮き年の暮/若木一朗
雷鳴や山川草木宙より来/和田悟朗
雲は飛び宙に皆跳ね袋掛/池上樵人
雲のぼる六月宙の深山蝉/飯田龍太
雪解谷顔なき仏宙に湧き/加藤秋邨
一つ火の宙に座れる寒さかな/原裕
大綿の宙のたしかさ石の上/岸田稚
炎天の山河を蔽ふ宙の濤/飯田蛇笏
鼻尖り杳かな宙を梅匂う/和田悟朗
あきつ湧き宙にとどまる地獄谷/欣一
獣屠り黙し去るまで宙とぶ蝉/三谷昭
白木蓮の滾りて銀の宙にあり/八村廣
俳句例:41句目~
白牡丹散る一瞬の熱き宙/長谷川秋子
白露の日神父の裳裾宙に泛き/桂信子
目を宙に標本擬ひの大蜥蜴/高澤良一
石工あり玄翁宙に風冴ゆる/飯田蛇笏
祝婚歌花散る宙の明るさに/小林康治
こたへなき雪山宙に労働歌/飯田蛇笏
宙に垂れ没日と秋の蜂の脚/加藤楸邨
秋の風富士の全貌宙にあり/飯田蛇笏
秋燕や宙に枝あるガラス吹/上野章子
秋蝶のはげしく宙に三つ巴/久本澄子
稲束を投げし宙より跳ぶ蝗/鷹野清子
糸とんぼ宙にして石進むなり/岸田稚
絵馬の馬宙にとどまる初詣/藤岡筑邨
羽ばたきて一尺宙に羽抜鶏/近藤一鴻
自転車を漕ぐ寒星の宙の中/相馬遷子
宙を舞ふ竹の落葉も旅愁かな/星野椿
花宙に散るや生涯不覚なり/小林康治
蓑虫や宙明るすぎ土暗すぎ/加藤楸邨
蜂のとびゆく塩田の宙鹹し/津田清子
ひと焔宙にとどまる畦火かな/岸田稚
俳句例:61句目~
宙吊りにわが手袋と鵠と/宇多喜代子
谺して宙真空の秋の井戸/河野多希女
象の鼻宙に秋陽を求めたり/奈良文夫
赤とんぼ宙にして石進むなり/岸田稚
宙跳んで白息揃ふ稚児の舞/橋本榮治
轟然と山枯れ宙に日は漂ふ/岡田日郎
猫とんで宙にとどまる雪解風/岸田稚
鈎呑んで宙に躍りし子持鯊/須並一衛
寒き宙支へ阿修羅の肘直角/横山房子
雪山を宙にひくめて年新た/飯田蛇笏
露けしや撞木の縄の宙とんで/桂信子
交み椋鳥宙で分れて雪ぐもり/岸田稚
人恋ふる刻を鰈の宙にあり/柿本多映
仏壇の宙に生きもの春の塵/鷹羽狩行
鞦韆の宙の空白薄着して/殿村莵絲子
寒木の宙かすむ日の紙芝居/下村槐太
低く来て宙に糞する秋の鳶/角川春樹
寒桜淡きいのちを宙に揺る/三宅一鳴
寒猫の宙よりこゑを落しけり/岸田稚
韋駄天に日輪はなほ雪の宙/丸山海道
俳句例:81句目~
魂を宙にとどめし昼寝かな/成瀬正俊
屋根替の竹を大きく宙に振り/森田峠
凍滝は巌にかかり宙に出づ/三木星童
鰯雲や船より牛を宙吊りに/三谷和子
剪定の宙に未来を描きつつ/橋田憲明
黒揚羽宙より降れる晋山式/高澤良一
吊橋や百歩の宙の秋の風/水原秋桜子
舞初の眼ざし宙を宙を追ふ/村上梅泉
投縄のごとくに宙にぬかご蔓/轡田進
揚ひばり海へ一瞬宙つかむ/銀林晴生
日あたりて綿虫の宙杉の宙/手塚美佐
囮鮎もろとも宙に光り跳ね/香山豊宏
日も月も宙にただよひ熊野灘/桂信子
学校に声満ち雪は宙に充ち/津田清子
枯野の中独楽宙とんで掌に戻る/三鬼
梅固し日輪宙に白く錆び/長谷川素逝
夏草や宙に我が顔淡く見ゆ/永田耕衣
椋鳥のしばらく宙に畦青む/堀口星眠
渓谷に蹤き来て猿と宙愛す/玉乃井明
満月の宙やきらめく春の霜/相馬遷子