餅に関連した俳句の例をまとめました。
餅を含む俳句例
餅雪を白糸となす柳哉/芭蕉
餅焼いて新しき年裏返す/原裕
凍餅吊す両端何の笊/松尾一恵
耿耿と餅沈める甕の底/小澤實
餅買うや寒月光の街の幅/三谷昭
雪肌の艶に膨み焼くる餅/上村占
末枯や馬も餅くふ宇都の山/其角
餅白う鏡台祝ふお末かな/伊藤観
忽ちに餅のなる木は柳かな/萬翁
長生に徳あり姥がすわり餅/園女
紅白の餅の柱やお命講/高濱虚子
焼餅の窓のけぶりや梅紅葉/成美
荒海や粥の湯気吹く餅間/飴山實
腹あしき僧も餅食へ城南祭/蕪村
高坏に赤福餅や守武忌/橋本對楠
耕人も来て上棟の餅拾ふ/篠田悦子
餅焙り一病息災冥利かな/高澤良一
餅切るや又霰来し外の音/西山泊雲
餅入れて粥を煮る日や松納/碧梧桐
餅の黴削りてもなほ水す/近藤一鴻
俳句例:21句目~
彼岸入とて萩の餅波郷氏も/及川貞
餅の杵海潮の紺流れつぐ/友岡子郷
餅の杵洗へば山に雪降りぬ/大串章
餅のこな楪につき目出度けれ/虚子
餅に黴青年世辞に抵抗す/宮坂静生
夜の餅海暗澹と窓を攻め/金子兜太
窯神の餅引く山の嫁が君/岸川松韻
雪国にこの空の青餅の肌/成田千空
雪に信ぜん腹医すとふ神の餅/林翔
掻餅を並べる役を賜りぬ/倉橋尚子
餅蜜柑吹革まつりやつかみ取/下風
誰が聟ぞ歯朶に餅負ふ丑の年/芭蕉
罅餅の片面焼けて家遠し/香西照雄
西陣の機場始めや餅白し/中村烏堂
紅白の餅大いなり大師祭/喜多栄子
薬喰全うせむと餅も煮る/皆吉爽雨
葩餅長子の嫁となる人や/大石悦子
餅臼の罅の一筋地に届く/綾部仁喜
供へ餅大禍時の野末の井/坂井三輪
日本の白さと形餅を焼く/嶋田一歩
俳句例:41句目~
窯神の餅隠したり嫁が君/浅見光子
餅腹の汚さゆるせ二日酒/石川桂郎
茂吉忌の豆餅狐色に焼け/富田直治
學ぶ子や餅黴削ぐは女親/石塚友二
片店はさして餅売野分かな/炭太祇
臼洗餅や牛にも夜食草/中戸川朝人
柱餅唐貿易の長者かな/田中田士英
月と花餅と酒との都かな/水田正秀
耳餅を透す火色や年歩む/永井龍男
門番に餅を賜ふや三ヶ日/正岡子規
有明の月吹き落せ餅の臼/中村史邦
上品に弟は餅焼いてをり/櫂未知子
餅米を洗ふ三代同じ井に/大熊輝一
世の花や餅の盛の人の声/上島鬼貫
両棒餅食うべ囀囲みなる/橋本榮治
掻餅に新聞を読む火燵かな/寺田寅彦
餅網と花を購ひ来し夜の幸/菖蒲あや
餅腹に昼過ぎの空展けたる/高澤良一
餅腹の声が日ざらし佃島/諸角せつ子
餅腹の重きを据ゑて墨をする/杉本零
俳句例:61句目~
餅腹を暫し伸ばして狢の湯/高澤良一
うらがれや馬も餅くふ宇都の山/其角
餅膨れつつ美しき虚空かな/永田耕衣
餅芒この宵月の子規忌かな/富田木歩
駅路の菖蒲葺くらん姥ケ餅/尾崎迷堂
お仏事の餅に色塗る老夫婦/河野静雲
お供餅の上の橙いつも危し/山口青邨
鹿消えて鹿の斑色の餅ならぶ/渋谷道
昔あり今ありて餅白くあり/村越化石
晩年や雪採れば餅近づきぬ/永田耕衣
かき餅や姉を母とし二階住/岸風三樓
黄粉餅喰ふたる顔の撫掃除/高澤良一
かき餅を焼いて出しけり花曇/原月舟
夷講に大福餅もまゐりけり/高浜虚子
黴の為誤られたる餅の如/相生垣瓜人
更けて焼く餅の匂や松の内/日野草城
最澄の山餅啣へたる犬に逢ふ/森澄雄
枝撓め烏の去れば餅ふくる/石川桂郎
梅が香や綴に餅の喰ひ残し/広瀬惟然
梵天の餅紅白よ雪に売る/宮野斗巳造
俳句例:81句目~
海に出づ彼岸の餅を平らげて/中拓夫
火を焚きつ終大師の餅摂待/井上楽丈
炭の香や花葩餅の紅ほのと/木村ふく
子は宝憶良のごとく餅を焼く/楠節子
焼けし餅駒と進めて網の上/鈴木栄子
煩へば餅をも喰はず桃の花/松尾芭蕉
寒巌に乗る腹中の餅溶けて/西東三鬼
つき立の餅に赤子や年の暮/服部嵐雪
寒苦鳥明日餅つかふとぞ鳴けり/其角
療養の餅を小切りに三十年/村越化石
一枚の餅のごとくに雪残る/川端茅舎
寮生の呉れし餅焼く舎監室/中井苔花
ひゞ走る流感一家のうすき餅/穴井太
突如膨れ出す金網の隅の餅/内藤吐天
山光る餅の白さも幾夜経て/飯田龍太
耳遠き婆の餅買ふ彼岸かな/白岩三郎
見せばやな餅の長櫃歯朶入れて/才麿
角菱の餅にありとも桃の花/上島鬼貫
山帰来餅不揃ひの葉の二枚/大橋敦子
霰餅炒る炎の強き二月尽/金久美智子