月日に関連した俳句の例をまとめました。
月日を含む俳句例
晩年の月日聳える青簾/桂信子
初空は月日の外の明りかな/道彦
楪や父の月日の荒砥石/工藤富貴
奥付の月日驚く花明り/都筑智子
初箒妻の月日の始まりぬ/庵達雄
花桐と土蔵の月日友の家/桂信子
至福の月日紅蓮白蓮/九鬼あきゑ
黒塗りの箸の月日に青嵐/桂信子
綿虫の漂ふ月日風鶴忌/小林康治
焼米や月日指折る草枕/籾山柑子
島総松凡の月日の迅速に/原たま
夕焼の柱を離れ月日たつ/徳弘純
兄弟と離れし月日柏餅/大原蓉子
光淋に始まる月日初暦/河合澄子
流木の月日消えゆく磯焚火/林翔
大淀や水の光も小六月/日野草城
露草や巡る月日を疑はず/上条法子
露も黒き屋根石月日沈めたり/林翔
銀漢や月日と共に人遠く/福田泊水
針持たぬ月日の長し針供養/高島静
俳句例:21句目~
下萌の先の月日に歩みだす/黒川宏
中庭に刻みし月日返り花/山岸治子
茅の輪とれ神の月日も亦迅し/柏翠
霞む中月日もつとも霞みけり/林翔
後の月日付変更線を越ゆ/伊藤敬子
月日経し師弟の礼や冬椿/小林康治
柊の花の匂ひを月日過ぐ/野澤節子
籠枕老妓にありし月日かな/井上雪
山僧に遅き月日や鶏頭花/飯田蛇笏
笋に手触れ月日は光なれ/中島斌男
木槿たる証拠の花よ月日長し/耕衣
新蕎麦や月日の回る水車/小川一路
窪みたる硯の月日洗ひけり/森緑葉
何喰うて三光鳥は月日星/川崎展宏
美しき月日はじまる初暦/稲畑汀子
晩学の月日を惜み秋惜み/鈴木玉斗
石臼で過ぎし月日を茎の石/飴山實
百日紅心まづしき月日かな/秦豊吉
初暦月日の数字匂わしめ/永野孫柳
月日なき鯉に散りつぐ桜蘂/桂信子
俳句例:41句目~
山門の内の月日の松の花/清崎敏郎
妻にのみ月日つもるや炭頭/齋藤玄
末枯や四十路に急ぐわが月日/林翔
水草生ふ驚くばかり月日過ぐ/立子
年経れば月日短し初鏡/神山登美子
髑髏磨く砂漠の月日かな/津田清子
廃校に唄ふ鵤や月日星/水木なまこ
七十路の月日逃げゆく冬桜/野口夏桐
月日過ぎ易く空蝉の爪に泥/高澤良一
乾鮭の鱗も枯れて月日かな/日野草城
五年とは半端な月日鳥雲に/鈴木鷹夫
朝顔に月日かたむく稿脱し/野澤節子
朴に花もたらす月日更衣/大岳水一路
杏のいろ湯のいろ月日感想/阿部完市
うぐひすや月日覚える親の側/炭太祇
人はいさ殻ぞめでたき月日貝/中勘助
桃の花垂れ込んでくる月日かな/晴子
楪の何に別るる月日かな/山田みづえ
母と経し月日長かり枇杷の花/樋笠文
水盤の月日古りゆく石一つ/高橋柿花
俳句例:61句目~
波音に鉄道草の月日あり/高野ムツオ
佗助の花の底ひの月日かな/角川照子
余生とは寄り添う月日置炬燵/木村清
波音の丸くかへりぬ月日貝/百瀬美津
産土を出でたる月日閑古鳥/馬場廣巳
優曇華の花再びの月日かな/明石茂子
先客の来てゐる家の夏の月/日美清史
産小屋の月日を返す時雨傘/古舘曹人
男鹿啼く旅の終りの月日亭/高木晴子
定斎屋刻み歩きの月日かな/高浜虚子
これからは余徳月日や薬喰/村山古郷
相似たる月日に庭の萩と椅子/桂信子
眼差にともる月日や飾売/望月たかし
破蓮の惨たる月日つづくかな/神保作
紅葉掃く蔀の中の月日かな/籾山柑子
縞柄も粋に浅蜊の月日かな/高澤良一
封をして忘れる月日梅酒壜/鈴木鷹夫
胸を圧す塩瀬の帯や月日貝/藤田直子
月日の彩を享けたる月日貝/辻田克巳
若竹や廻る月日に朽つる臼/西山泊雲
俳句例:81句目~
山荘の月日籐椅子にも月日/稲畑汀子
落葉焚病を楯の月日寂び/馬場移公子
蕨長け山の月日は脚速し/米澤吾亦紅
藍甕の藍の月日の天の川/九鬼あきゑ
のどかさや早き月日を忘れたる/太祗
初釜に招かれ月日動き出す/山田弘子
はるかなる月日語りて初桜/稲畑汀子
動くたび月日遠のく青蜥蜴/脇本星浪
平成の月日はじまる初薬師/城戸緑楼
読まず書かぬ月日俄に夏祭/野澤節子
誰がために生くる月日ぞ鉦叩/桂信子
ふた本の榎しぐるる月日かな/岸田稚
口しめて男の月日冬の鯉/永田耕一郎
忙しき月日となりぬ秋袷/高橋淡路女
吊鐘のなかの月日も柿の秋/飯田龍太
息災の月日の暦果てんとす/辻本青塔
過ごし来し月日の端に梅の白/桂信子
長閑さや早き月日を忘れたる/炭太祇
隠栖のつましき月日暦果つ/田中紫紅
鮒鮓をねかす月日の波の音/高見岳子