齒に関連した俳句の例をまとめました。
齒を含む俳句例
齒豁に筆の氷を噛ム夜哉/蕪村
浅漬の歯に透通る男かな/蓼太
歯豁に筆の氷を噛む夜哉/蕪村
塩鯛の歯ぐきも寒しの店/芭蕉
夏霞鋸山の歯のこぼれ/佐藤紅緑
刀豆や親王樣の齒の力/正岡子規
砂糖こそ歯ぬけ親仁の氷様/言水
名月に三平殿の齒糞哉/正岡子規
一葉や楊枝の雫歯抜け医者/洞雨
月の舟鋸山の齒の上に/正岡子規
鯉池の底に鯉の歯夏旺ん/辻桃子
花冷や浅蜊歯軋る真闇/石塚友二
白雲や女の歯がすみ冬の月/立独
御山主の歯塚句集の謀/高木晴子
齒固や鼠もためす鏡餅/正岡子規
歯豁に筆の氷を噛む夜かな/蕪村
塩の歯にはさかふや秋の暮/荷兮
衰や歯に喰あてし海苔の砂/芭蕉
打首の童唇皓歯新小豆/香西照雄
美しき栗鼠の歯形や一つ栗/普羅
俳句例:21句目~
結ぶより早歯にひびく泉哉/芭蕉
声かれて猿の歯白し峰の月/其角
狛犬の金歯赫々木下闇/河野静雲
干の歯の美しや漱石忌/秋元不死男
葉桜や頃日朴歯得がたかり/齋藤玄
明家や門松の齒拔面白き/正岡子規
花冷えや糸は歯で切る小縫物/民夫
初笑ひ米粒程の歯がふたつ/林佳苗
腹の中へ歯はぬけけらし種瓢/蕪村
老の歯の一本強し薬食/阿波野青畝
涎して歯がためなせる童かな/如泉
初詣白歯よろしき矢大臣/松藤夏山
節の日や入歯に当てし貝の玉/几董
海棠のうつぶくや歯の痛む時/越人
衰へは歯より始まる冷奴/高橋悦男
皓歯には及ばぬ錆や秋の鮎/岩村蓬
沼や凍てて歯に滲む大根煮/志城柏
馬もまた歯より衰ふ雪へ雪/上村占
数の子や歯の兵の生残り/川崎展宏
搗栗や歯のなきは無き家の春/無徳
俳句例:41句目~
青梅を咬む歯に玉の響哉/浦四三子
歯同や鼠は何を食む今宵/尾崎紅葉
鉛筆に残りし歯形卒業す/古屋/元
口中に白き歯のあり冬の暮/岡本眸
女房は金の入歯や深見草/正岡子規
鶯や下駄の歯につく小田の土/凡兆
寒潮や塩もて磨く男の歯/中村契子
村の娘の由緒正しき糸切歯/穴井太
落鮎の皓歯炎の中に見ゆ/鈴木鷹夫
六月の乙女の白き糸切歯/今泉貞鳳
こま~と白き歯並や桜鯛/川端茅舎
行年の齲歯の虫が生きてをり/麦草
虚子庵の敷石の隙滑歯筧/高澤良一
乾鮭の歯や柊の白き花/岡本癖三酔
藁砧歯のなき顔で笑ひけり/上村占
雪焼の男いきなり歯で笑う/源鬼彦
凩や神馬の齒くきあらは也/正岡子規
一口に歯かたゆゝしき西瓜哉/森鴎外
老が齒や海雲すゝりて冬籠/正岡子規
岩をかむ人の白歯や秋の風/飯田蛇笏
俳句例:61句目~
数の子に命久しき歯音かな/尾崎紅葉
新葡萄皓歯も同じ乙女達/百合山羽公
世に失せし歯の数数や桜餅/三橋敏雄
満開が暗しくらしと糸切歯/布施徳子
炎天下歯ぢからといふ力失せ/斎藤玄
焼鳥の歯の美しや漱石忌/秋元不死男
百姓が走る寒さの歯黄色く/中山純子
百姓の金歯光るや秋の暮/猿橋統流子
海酸漿かんで商ふ糸切歯/金子扇踊子
短日の薬臭の歯にとる夕餉/山田弘子
仮の歯に沁む名水や百千鳥/小林順子
累々と莟むを歯にぞ花菜漬/皆吉爽雨
佃煮の蝗噛みしむ自前の歯/高澤良一
齢きて白歯失せゆく雛かな/寺田京子
歯がために二人の翁喰ひにけり/鬼貫
縫初や亡き母に似る糸切歯/近藤一鴻
春一番奥の歯に蓄む貝の芯/巌谷小波
老友の歯が抜けし口夏祭/百合山羽公
聲かれて猿の歯白し峰の月/宝井其角
草芳し皓歯に力おのづから/大石悦子
俳句例:81句目~
松前漬先づ人参の歯当りよ/高澤良一
衰ひや歯に喰ひあてし海苔の砂/芭蕉
貧農の歯が無い口も年の暮/飯田蛇笏
水蜜桃かたき歯応へ衆也椽/石塚友二
冬草やがくんと弱し歯も酒も/上林裕
母の日や白糸を切る糸切歯/下鉢清子
冷やかな器に沈む入歯かな/福田清人
冷麦の箸を歯で割く泳ぎきて/中拓夫
冷麦や氷噛む歯の老になほ/亀井糸游
の僕の歯痕を憶えておいで/江里昭彦
針供養皓と使はぬ糸切歯/百合山羽公
針祭る男にもある糸切歯/小野田洋々
母いまも歯で糸切つて柚子の家/湘子
歯刷子も三人家族夏至の雨/鈴木鷹夫
歯刷子で示す会稽山おぼろ/川崎展宏
銀行員に早春の馬唾充つ歯/金子兜太
阿波淡路皓歯の渦や松の蕊/橋本夢道
雪焼けの男いきなり歯で笑う/源鬼彦
ほつくりぬけた歯で年とつた/山頭火
霜柱の皓歯や校歌くり返す/奈良文夫