椀に関連した俳句の例をまとめました。
椀を含む俳句例
啄に似たる一椀晩夏光/原勲
元朝や先づ快き椀の音/晩翠
鮴汁の椀に天窓明りかな/柏禎
蜆汁父の大きな椀剥げて/林徹
健啖の椀に集目七日粥/佐田栲
八朔や犬の椀にも小豆飯/一茶
短日や夕にあらふ昼の椀/犀星
冬籠五六椀を人の数/高橋睦郎
白粥の一椀熱き桜の夜/白澤良子
漆椀はぢく雫や水温む/内田百間
塗椀の薄紙古りて報恩講/井上雪
汁椀に大蛤の一つかな/内藤鳴雪
雲海や一椀の水に嗽く/水谷晴光
朧夜や吉次を泊めし椀の音/成美
夜咄の牡蠣の雑炊秀衡椀/及川貞
大きめの会津汁椀新豆腐/斉藤仁
雨そほつ春の名残や茶一椀/几菫
雑煮椀秀衡塗を伝へけり/石川子
遠囃子椀に沈みし夏蕨/野澤節子
大椀の蓋とるまでや柿若葉/照子
俳句例:21句目~
蛤の一椀結婚記念日に/藤井智子
黒椀に白淡き色を添へ/山下孝子
秀衡塗金の一筋雑煮椀/松本澄江
白や椀の中にも角田川/正岡子規
椀を挽く才一切を鳥曇/古館曹人
白粥の花椀くまなし初日影/丈草
梅が香や客の鼻には浅黄椀/許六
一匙の雪一椀の離乳食/対馬康子
塗椀の内の肉色秋の暮/金子青銅
衰ふや一椀おもき小正月/石田波郷
親椀に零るる程や今年酒/井上井月
三椀の雑煮かゆるや長者ぶり/蕪村
三椀の雜煮喰ひぬ小傾城/正岡子規
三葉芹浮べて富めり輪島椀/有働亨
貝の砂椀に残れり法然忌/鈴木鷹夫
事務室に鏡開きの椀並ぶ/藤原照子
近江椀志賀の香うつせ桜のり/言水
雑煮祝ぐ秀衡椀の金まぶし/上村占
太箸を添へて一椀奉る/五十嵐象円
雛会式椀に椿を一花づつ/久保方子
俳句例:41句目~
雲取小屋朝一片の雑煮椀/渡辺立男
今日買んむぐらの宿の雑煮椀/淡々
顔見せや老い椀久が花衣/松瀬青々
風呂吹や飯粒沈む椀の底/会津八一
寛ぎて蔵王の夜の芋煮椀/井口公子
寺に受く一椀の粥山青し/岸原清行
鳶尾草や一椀に人衰へて/綾部仁喜
鴬よ酒百椀におよぶ日ぞ/加舎白雄
黒椀に岩の酒を廻し呑む/角川照子
新蕎麦やむぐらの宿の根来椀/蕪村
旧正の一椀の香陸奥の国/猪股洋子
海陸のもの一椀に若布和/東山/晃
松茸の皆移り香や椀茶碗/由井蝴蝶
初春や花麩を浮かす漆椀/松本笑子
柴漬に古椀ぶくりぶくりかな/一茶
椀中に豆腐崩れる冬景色/和田悟朗
椀家具のたらぬ住居や菊の花/李由
削節花のごとくに雑煮椀/高橋睦郎
椀種に花麩の浮ぶ七五三/佐藤麻緒
一椀に海の色あり鰤雑煮/務中昌己
俳句例:61句目~
一椀に涼賜はるや山の寺/室井良子
一椀に鎮まる茗荷山の音/鈴木鷹夫
一椀に齢の澄みぬ茗荷汁/鈴木鷹夫
民宿の椀の重さよ田螺汁/小路紫狹
水亭の一椀土用蜆かな/阿波野青畝
元日や日のさしうつる椀折敷/成美
水温む一寸法師の椀流れ/木田千女
涼しさや筧の下の椀茶碗/増田龍雨
国ぶりの威儀の大椀雑煮餅/及川貞
火の山の蓬の匂ふ雑煮椀/斎藤道子
國ぶりの威儀の大椀雑煮餅/及川貞
報恩講大椀に盛るむかご飯/堀文子
煮凝や喘鳴の子に朝の椀/安井昌子
白露や蓋とる椀の豆腐汁/西島麦南
塗椀に割つて重しよ寒卵/石川桂郎
空海の寺の朱塗の汁粉椀/山田春生
終戦日夕餉の椀に貝の砂/今村妙子
胸に置く粥一椀や秋の風/岩田昌寿
塗椀のぬくみを置けり加賀雑煮/雪
葛切を金椀にわが壮年や/永末恵子
俳句例:81句目~
塗椀の家に久しき雜煮哉/正岡子規
蛤をおさへて椀を傾けし/須原和男
蝶鳥や農の昼餉の椀赤し/木村蕪城
一椀の飯の掟や花菜漬/水原秋櫻子
衰ひや一椀おもき小正月/石田波郷
一椀を拝む夕餉や散紅葉/大庭紫逢
一椀にあまる冬鯉の胴廻り/栗生純夫
塗椀が都へのぼる雪を出て/川崎展宏
塗椀に卵と三日とろろかな/吉田木魂
薄月の鱈の真白や椀の中/松根東洋城
塗椀のくもりを拭ふ春の雪/長谷川櫂
塗椀の家に久しき雑煮かな/正岡子規
塗椀の重くて母の木の芽和ヘ/桂信子
蛤の椀あたゝかき磯の香よ/大神幸巴
夏座敷豆麩浮かせて会津椀/高澤良一
蛸市や饑人が持つ椀なども/松瀬青々
大椀に三河の浅蜊朝ぐもり/皆吉爽雨
大椀に鯛の一眼花づかれ/赤松ケイ子
悪口を山盛りにする竹の椀/大西泰世
大盛りの秀衡椀の菜飯かな/皆川盤水