噛むに関連した俳句の例をまとめました。
噛むを含む俳句例
齒豁に筆の氷を噛ム夜哉/蕪村
歯豁に筆の氷を噛む夜哉/蕪村
琴弾て老を噛ませよ夕涼/智月
羚羊の噛傷寒し岳樺/大立しづ
薺粥命の余白噛みしめて/高島静
葉桜にわが噛む音の欹つよ/子郷
春の兎吐息の音に草を噛む/林翔
赤米を噛めば来たりぬ日雷/原裕
青棗噛めば茫々たる味す/田中翠
雁や噛みしめてゐる飯の味/秩父
簟屈託の膝噛みにけり/大石悦子
花林糖噛み大寒の音立つる/原裕
切株が斧噛むでゐる油照/星水彦
あはび噛む灯暗し春の雪/会津八一
海鼠噛む汝や恋を失いて/西東三鬼
蕗の薹噛むや人の死西東/渡辺桂子
海鼠噛む遠き暮天の波を見て/龍太
森閑と日や山蟻に指噛まれ/朔多恭
筍の鍬傷土を噛んでをり/清崎敏郎
炭をひき俎を噛む鼠かな/森川暁水
俳句例:21句目~
菊を噛む菊の葉先の揃ひかな/辰下
朔風やわら一本を噛む兎/五味真穂
天牛の机を噛めり敗戦忌/白岩三郎
優雅なり冬の苺を丸噛り/鈴木栄子
夕皃の花噛ム猫や餘所ごゝろ/蕪村
通夜の梨さくさく噛んで人少な/占
玄海の砂噛む波も十二月/清水基吉
噛む音の山桃固し青嵐/大谷碧雲居
飲食も砂噛む思ひ風邪籠/大森積翠
冬怒濤噛む岩々に神在し/大橋敦子
手拭の端を噛みたる鰍かな/糸大八
水鉢や雀噛みあふ雪の竹/正岡子規
青棗噛むや片雲北にあり/加藤楸邨
ふたりが淋しく氷噛む音/鳴戸奈菜
新涼の船噛みに来る浪頭/野村喜舟
甲板に林檎を噛る女かな/高濱年尾
貧厨に葱噛む昼の鼠かな/尾崎紅葉
木苺の種噛む音愉しみて/飯島晴子
海と河噛み合ふ一点鰯雲/石塚友二
数の子を噛む恐竜の話して/笠/学
俳句例:41句目~
丸噛る女もよきか赤茄子/筑紫磐井
傾城の噛み砕きけり夏氷/正岡子規
篠懸の皮噛む虫や夕立雲/渡辺水巴
巌噛むは冬濤すべて三角波/三谷昭
たそがれの森に雪噛む寒鴉/有働亨
岩噛むは冬波すべて三角波/三谷昭
砂浜に落ちて砂噛む奴凧/高澤良一
水郷の川波が噛む葦の角/天野淑子
血に啼くや草噛む女時鳥/正岡子規
芭蕉忌や己が脚噛む寒鴉/沢木欣一
噛しだく反古のばさむ生火桶/智月
海鼠噛み運鈍根の根に執す/下田稔
晩鐘や鶫噛む音骨伝ひ/中戸川朝人
前山の襞が雲噛む花の雨/高井去私
初神楽獅子新しき柱噛む/佐藤柳史
流氷に流氷噛ませ一鴉発つ/源鬼彦
凌霄や杖に老噛む嫁が門/上島鬼貫
雪の朝独り干鮭を噛み得タリ/芭蕉
鼠出て豆噛むや鳥羽僧正忌/有馬朗人
ホッチキス紙を一噛寒波来る/後藤章
俳句例:61句目~
芒傷噛んでしばらく風の中/鈴木鷹夫
林檎噛む歯に青春をかゞやかす/麦南
黍噛んで芸は荒れゆく旅廻/平畑静塔
あさ寒の肉桂を噛む侘居かな/中勘助
肝油噛みし頃が初恋黄水仙/守屋明俊
聖歌隊解かれて処女柿噛る/津田清子
三色菫厚き一瓣少女噛み/能村登四郎
老鴬や藁噛ませある古農具/川崎慶子
鴨又翔つ飢ゑて氷噛む農家族/齋藤玄
鯛の目をほくと噛みたり沖霞/中拓夫
鬼城忌の金平牛蒡噛みにけり/原田喬
老婆の棗噛むとき山晴れて/菅原鬨也
うき事に妻を噛みけり蟋蟀/島道素石
羨しとも妻の柿噛み砕く音/高澤良一
二日灸閨に西施の臂を噛む/尾崎紅葉
飾米一粒噛んでみたりけり/上谷昌憲
干を亀の噛みをり月の暈/鳥居美智子
かつと噛む杖先秋の水の鯉/皆吉爽雨
五十猛の葛の花噛む女かな/夏石番矢
人を噛む鼠出でけり薄蒲團/正岡子規
俳句例:81句目~
風垣のくくり縄噛む放ち鶏/皆川盤水
風を噛む波のたてがみ冬銀河/秋尾敏
組み落ちて雀花噛むすみれかな/暁台
頬被口が何やら噛んでをり/鈴本鷹夫
紐噛んで牛車の牛も雛の中/関戸靖子
鞴祭の鞴の錆に注連噛ます/吉田鴻司
佃煮の蝗噛みしむ自前の歯/高澤良一
元結を噛みさす冬の女かな/飯田蛇笏
箸の先噛んで驚く良夜かな/鈴木鷹夫
兎唇に秋草噛んで恋うさぎ/鈴木栄子
筆噛んで寒紅の唇汚さざる/村林星汀
冬の犬あな恐しや噛み合へる/原石鼎
霜の畑に表札が降る干鱈噛む/前田弘
雪月花噛む蹴る鳥小突く蝶/攝津幸彦
冬三日月屋台車に石噛ます/黒沢一太
身は老ぬ指噛まれたるきり~す/来山
冬耕や石を噛みたる鍬の音/山添斗汐
冷麦や氷噛む歯の老になほ/亀井糸游
数の子を噛み壮年の心ばへ/山口青邨
雪噛んで旅も十日の時刻表/椎橋清翠