兵に関連した俳句の例をまとめました。
兵を含む俳句例
遠浅に兵船や夏の月/蕪村
哨兵の後姿を稲光/寺田寅彦
棒稲架の兵めきし平泉/高野朝
雑草は城の雑兵雷に/古舘曹人
兵馬俑軍団無言春寒し/磯直道
金糶る兵顔の男どち/高澤良一
夏草や兵どもが夢のあと/芭蕉
大兵の廿チあまりや更衣/蕪村
座右の書兵火免れ読始/山口青邨
月かけて砦築くや兵等/黒柳召波
きてもみよ甚兵が羽織花衣/芭蕉
兵の頃偲ぶ外泊春の風/仲安俊雄
凩や練兵場の砂けむり/寺田寅彦
雑兵の如く飯食ふ冬泉/皆川白陀
宝石鋪出づ駐兵に雪雫/宮武寒々
駐兵と瓶の蝮と交歓す/宮武寒々
桜前線追手の兵の皆若き/仁平勝
布袋草氾濫国境兵歩く/松山足羽
寄鍋や兵の話に尽くる齢/杉本寛
一管の笛を携へ除隊兵/松村蒼石
俳句例:21句目~
夏祭戊辰の役の兵揃ふ/荒井英子
埼玉の畑打つ昔近衛兵/川崎展宏
兵燹に杉は残りて山桜/正岡子規
夏蓬河原へ続く兵舎跡/宮坂静生
花換の祭の中の渡満兵/本田一杉
仏桑花兵の骨いま星の砂/白鳥峻
紀元節神孫兵をみそなはす/雪人
朝霧や兵船に太鼓鳴る/羅蘇山人
大夏木斎き永禄兵燹碑/西本一都
傷兵の義肢が跼める荒莚/三谷昭
兵馬俑六千の黙冷じや/三宅美樹
天冥く傷兵草を見ず歩く/三谷昭
わが馬を埋むと兵ら枯野掘る/素逝
鎮臺に兵と櫻の満つる翳/筑紫磐井
哨兵に誰何せられぬ稲光/寺田寅彦
団栗や階級彫られ兵の墓/竹下流彩
新兵の靴引するや春の塵/尾崎紅葉
兵児歌の雨雲呼ぶや傘篝/米谷静二
国府跡蝗に兵の貌みたり/櫻井菜緒
足利の兵が新田に降參し/正岡子規
俳句例:41句目~
銃剣の州兵屯す出水町/保田白帆子
観兵の御儀の予行秋草原/石塚友二
冬木みな屯田兵の型で立つ/源鬼彦
兵服も綿入れ北緯四十度/品川鈴子
夏の海水兵ひとり紛失す/渡辺白泉
一兵もなき極月の城の奥/西村逸朗
帰還兵被る雨や百合長けぬ/齋藤玄
春昼の第一病棟兵舎めく/大沢玲子
春の夢草むらにまだ狙撃兵/皆吉司
夏草や兵舎の跡は空堀に/大宮良夫
数の子や歯の兵の生残り/川崎展宏
草餅や大兵君が搗きし沢/亀井糸游
鳥曇とはの乾きに兵馬俑/菅田静歩
風涼し細格子より農兵節/長田良輔
人を恋ひ屯田兵は行進す/攝津幸彦
霜枯の練兵場や町はづれ/寺田寅彦
雪風や砲担く兵ぞ砲担けり/齋藤玄
兵燹を逃れて山の月の庵/高浜虚子
羊煮て兵を労ふ霜夜かな/黒柳召波
敦盛塚より雑兵の蟻の列/前山松花
俳句例:61句目~
鋼より昏れ一兵の鯣かな/攝津幸彦
雑踏に風見失う狙撃兵/岸本マチ子
簪屋に球磨の兵をり戎講/宮武寒々
兵舎跡太梁低く蜈蚣棲む/宮坂静生
傷兵に喜捨す二月の戎橋/宮武寒々
大兵の廿チあまりや更衣/與謝蕪村
兵船の笛吹きやみぬ朧月/正岡子規
秋風や追撃兵は疲れたり/片山桃史
兵の死に砂一握を奉る/宇多喜代子
小豆粥迫撃砲兵たりし夫/児玉悦子
碑に兵の名ばかり葱坊主/西本一都
兵の赤黄枯野遠別糞し行く/齋藤玄
兵の遺影鰯に黒き七つ星/村山安子
大学に兵舎残れり冬の鵙/丹羽登代
畑打つや屯田兵の裔いまも/東天紅
海蒼くしぐれ敗戦兵還る/石原舟月
僧籍の征兵泊めぬ菊の秋/宮武寒々
汐干狩少年兵は還らざり/甚上澤美
陽の翳るたびに蜩兵の墓/川崎展宏
長短の兵の痩身秋風裡/鈴木六林男
俳句例:81句目~
兵の幾人かくす萱一本/宇多喜代子
迂回兵の出没柿の暮色かな/久米正雄
兵稚く苺つぶせり霧霽れよ/沢木欣一
連絡兵雉下げて来る分哨地/椎橋清翠
還り来し兵にその夜は秋祭/本多草明
鈴蘭の卓を外人兵が占む/殿村莵絲子
長屋夏大砲をうつ兵出たり/細谷源二
兵送る旗に茎上ぐ花蓮/長谷川かな女
かの日より敗兵たりき夏蓬/木山白洋
かまつかや油塗れの整備兵/皆川白陀
きてもみよ甚兵が羽織花衣/松尾芭蕉
閉づるなき眼冷まじ兵馬俑/山田弘子
雑兵のいろに蓑虫関が原/北見さとる
雪上やわづかにねむる兵の褐/齋藤玄
ただ寒い川が傷兵の眼に奔る/三谷昭
雪山を背に立つ国境歩哨兵/深田久彌
兵馬俑並びて寒き叫びあり/石原八束
霾や立ちあがりくる兵馬俑/上阪幸恵
兵馬俑八千起たす寒の雷/久保千鶴子
風鈴の短兵急に鳴ることよ/行方克己