覗くに関連した俳句の例をまとめました。
覗くを含む俳句例
寒雀盥落しを覗きけり/梧月
山吹や序に覗く隣あり/為拾
水有て家鴨の覗く萩の下/闌更
鞄手に金田覗く往診医/松浦釉
霙るるや鶏覗くとまり時/平交
花の幕兼好を覗く女あり/蕪村
犬が来て覗く厨の春の暮/誓子
老鶏の眼の覗く立葵/松本悦子
紅葉山洞窟覗き引き返す/栗原満
鶺鴒の庭籠を覗く流哉/加舎白雄
黒猫のさし覗きけり青簾/泉鏡花
吹殻の浮葉にかふる蓮見哉/蕪村
箸持ちて鵜籠を覗く宵月夜/朱廸
箱眼鏡覗く少年耳尖り/齋藤朗笛
声色や多情多恨の瓶覗き/仁平勝
船酔の鏡覗きぬ木下闇/宮武寒々
虫売の燭傾けて壺覗く/平川花月
油虫高熱地獄覗き去る/小林康治
鶯の谺す淵を覗きけり/鈴木花蓑
河骨の二もとさくや雨の中/蕪村
俳句例:21句目~
沙釣の籠を覗くや薬売/寺田寅彦
望遠鏡女が覗く秋果手に/三谷昭
七夕竹人の夕餉の覗かるる/欣一
朝寒の翡翠覗く池の面/石塚友二
秋の日や南円堂を覗きける/洒堂
青嵐落しに覗く化粧坂/石川桂郎
囀や籠からも雲をさし覗き/蝶夢
人幅に覗く炎天草田男忌/神蔵器
杣の子の侮り覗く茸籠/有本銘仙
紙包桃の莟が覗きをり/高澤良一
枯蔦や賣家覗く破れ門/正岡子規
蟋蟀が深き地中を覗き込む/誓子
初嵐師の病句帖覗き見に/岸田稚
狐罠覗く狐の顔をして/大立しづ
むしけらもさし覗け此初霞/暁台
葉隠れの熟柿を覗く鴉哉/寺田寅彦
死神の覗く鳥鍋囲むなり/清水基吉
草市を覗く子鹿や二月堂/香西信子
さし覗きたる方丈に鏡餅/岩田由美
苗床の機嫌を覗き父の朝/橋本佐智
俳句例:41句目~
艶やかな大栗覗く毬飾る/近藤朝子
永き日の男が覗き銃の店/出口善子
夏痩の内儀覗くや紺暖簾/高浜虚子
春浅き甕を覗きて天見ゆる/金子晉
舟虫の梁山泊を覗きけり/高澤良一
夕立を小坊主覗く櫺子かな/森鴎外
春著の子袂の中を覗きをる/上野泰
春遅し塀から覗く犬の鼻/谷口杉意
大年の顔の覗ける産湯かな/岸田稚
大疑堂覗く俗頭涼しけれ/高澤良一
笹鳴や青淵覗く危さに/馬場移公子
竹林を童子と覗く春夕ベ/西東三鬼
河童渕覗けば早し冬の水/関根絢子
空蝉の眼に覗き込まれたる/松本久
鶴の宿一人の膳を子が覗く/大串章
魂祭る門を覗くや物狂ひ/正岡子規
骨董屋あれば覗きて鰯雲/清水明子
木苺の花に触れじと谷覗く/森田峠
孑孑を覗く愚かな貌映る/齋藤朗笛
飛石も三ツ四ツ蓮のうき葉哉/蕪村
俳句例:61句目~
宿とりて山路の吹雪覗けり/炭太祇
吉兆の覗く大きな袋持つ/工藤泰子
密造酒懸草刈に来て覗く/萩原麦草
寒卵ありやと覗く鶏寄り来/上野泰
一山の僧に覗かる穴惑ひ/川澄祐勝
鞄より覗く傘の柄山笑ふ/鈴木鷹夫
椎若葉覗くどの家も女ゐて/森澄雄
秋天や覗けば暗き大藁家/松下金鹿
極月の蛇屋の壜の蛇覗く/高澤良一
寒雀銃眼覗くことをする/山田弘子
燕の巣覗きて菖蒲ふきにけり/篠原
青簾清女が老を覗きけり/石井露月
二三人陽中に覗く種物屋/赤尾恵似
水面の月槍の寶蔵院覗く/高澤良一
小暗しや桃売覗く簷の端/小林康治
礁壷覗き移りて海鼠突く/水見句丈
石風呂を祠の如く覗き秋/志村貴美
蜩や背戸から覗く婆の顔/正岡子規
青奥羽覗く翼下の雲の穴/横山房子
玄室を覗きて吾も枯野人/西村さち
俳句例:81句目~
文月や遺言講座覗きみて/斎藤織女
涼しさや逆さに覗く紫蘇畑/飴山實
蕣の淵を覗きし思ひかな/高澤良一
人顔を覗くや年の明けかかり/浪化
猿が来て覗く北窓塞ぎけり/柴浅茅
蓮の香や水をはなるゝ莖二寸/蕪村
仏桑花鴨場を覗く窓三つ/望月郁代
他界より覗く眼のあり夕桜/穴井太
雪の堂覗けば暗し僧一人/野村泊月
海鼠桶覗きて誰も無口たり/小島健
噴火口覗ける人に秋の蝶/毛利提河
崖端をひとりが覗けば花の山/野坡
俤やつくばひ覗くあきの水/森鴎外
偸盗が覗きかへすや露の玉/中田剛
柿買の裏門覗く屋敷かな/正岡子規
雨近き寺の海棠覗き過ぐ/高澤良一
陶房を覗きに来たる寒雀/椎橋清翠
閑かさを覗く雨夜の柳かな/炭太祇
里の子の乗物覗くすずみかな/万乎
猫柳水を覗けば老婆かな/池田倭文