薬に関連した俳句の例をまとめました。
薬を含む俳句例
山吹や目洗ひ薬花の露/安昌
薬屋の食後三回二枚舌/仁平勝
煙あげて皸薬貝の中/今村野蒜
左手の法則に塗る胼薬/日原傳
俎や鹿の音おろす薬くひ/風虎
道々の鶉きくらん薬とり/嵐竹
十五夜や母の薬の酒二合/木歩
鶯や薬を秤るものしづか/静塔
口をしや春の筍水薬/正岡子規
木にある薬の香鰯雲/木村蕪城
夏菊や薬とならん床の上/智月
重ねあり薬袋と種袋/植竹京子
心臓の薬の後に風邪薬/高澤良一
薬箪笥の薬匂へり小六月/松本旭
三寒四温食前に飲む薬/北島洋子
屠蘇の香や枕にうらむ薬紙/支考
薬煮る鍋の下よりきり~す/寅彦
ふくるるは薬袋と寒雀/南雲愁子
山深し薬に漏れて咲く桔梗/浪化
二日灸きかぬ薬を枕元/高田寒水
俳句例:21句目~
水虫にきく薬なし雲の峰/龍岡晋
薬のむさらでも霜の枕かな/芭蕉
抽斗の古き匂ひや胼薬/小杉余子
蝸牛生涯かけて飲む薬/斎藤道子
薬干す今を崩れて雲の峯/上村占
春曉や眼薬さぐる枕上/野村喜舟
心臓の薬に加へ風邪薬/高澤良一
紙風船母の匂ひの薬箱/山本陽子
冬籠薬袋を身ほとりに/高澤良一
冷麦茶薬の如く頂ける/高澤良一
出代や貝殻捨つる胼薬/水野柿園
初秋や軽き病に買ひ薬/高浜虚子
炎天や家に冷たき薬壺/松瀬青々
渋紙の薬袋や今朝の秋/寺田寅彦
涼風に薬をさがす旅鞄/飯田龍太
薬屋の蛇の日干の塊なす/小澤實
茄子漬時が薬と養生す/高澤良一
梅に雪薬たびけり京の人/中勘助
街川の薬臭かすか夏隣/永方裕子
同道に仙薬頒つ秋遍路/山縣輝夫
俳句例:41句目~
蚊食鳥薬効半ば信じけり/樋笠文
鴬に薬をしへん声の文/榎本其角
嗜むは草木の薬十三夜/後藤夜半
静脈に薬入りゆく鳥曇/中村里子
陽炎や薬の賣る廣小路/井上井月
短夜や眠り薬の二三片/野村喜舟
一枝は薬の瓶に梅の花/正岡子規
長生の薬尋ねよ春の山/尾崎紅葉
金銀の光涼しき薬かな/川端茅舎
金火箸焼きし父亡し胼薬/森淑子
大雨の薬の水の鯰かな/永田耕衣
薬鍋銚子にかえて肌寒し/諸九尼
秋立つや素湯香しき施薬院/蕪村
聟取りて夫婦老いけり薬ぐひ/蓼太
一月や母の薬に木の匂ひ/中林長生
明日分の薬はありて雪催/佐野笑子
春一番煎じ薬の土瓶鳴る/松村多美
植込みに天台烏薬鑑真忌/力石郷水
不整脈薬で押へ枯るゝ中/高澤良一
鼻に抜け目薬苦し麦の秋/細川加賀
俳句例:61句目~
五月雨に籠り薬を点検す/石井露月
春寒料峭曖昧宿の置き薬/星野石雀
京も終霜やけ薬貝に盛る/石橋秀野
春愁の薬もすこし嗜みて/後藤夜半
紙風船薬の匂ひ放ちけり/山内誠子
榊薬に波こそかゝれ川社/松瀬青々
無花果や薬を刻む縁の先/寺田寅彦
寒の入薬箱より母のメモ/宮田ヒロ
痣に利く薬便りや秋の風/内田百間
偕老のお薄も薬餌夜の雪/池田蝶子
藪入の流行目にさす薬哉/石井露月
昼蛙薬負けして白髪ふえ/石渡芳美
元日の暮れて日課の皹薬/榎本栄子
立春の森に毒の樹薬の木/大関靖博
入梅や富山の薬壁に掛け/野村喜舟
穀象の逃ぐる行方の薬瓶/小原俊一
稚子の寐て物とふや薬くひ/炭太祇
水薬の音せし首夏の抱鞄/宮武寒々
冬麗や薬餌に刻を順へて/荒井正隆
冷まじや一葉遺品に頭痛薬/館容子
俳句例:81句目~
薬種屋に好き匂ひする蚊遣哉/長秋
此病薬があらばふぐと汁/寺田寅彦
山伏に秘伝の薬冬に入る/矢頭峯子
暖かや薬壜残る魯迅故居/猪俣壽水
初秋や薬にうつる星の影/黒柳召波
薬指さり気なく見て夏氷/谷口桂子
歳晩の町ゆく胸の薬瓶/鷲谷七菜子
曙や薬を離さず梅ひらく/島谷征良
川越や薬問屋の嘉永雛/都丸美陽子
秋風や水薬をもる目分量/飯田蛇笏
病院の薬臭霧に層をなす/三好潤子
犀の角飾りて寒の薬種店/河野頼人
年を越す父の薬の枕辺に/岡本高明
十六夜や薬包舟の百余す/菊池志乃
すが漏や薬袋を梁に掛け/小島火山
厚着して燈台守の湿布薬/加藤憲曠
年用意医師は薬とり揃へ/築山能波
口中に残る薬臭雪もよい/岡田治子
心臓のお薬六粒露けしや/高澤良一
片富士の雪解や馬に強薬/前田普羅