苔に関連した俳句の例をまとめました。
苔を含む俳句例
此奥に聖おはしぬ苔の花/暁台
苔の露十三塚の螢かな/泉鏡花
夕河鹿閉門の音苔寺に/及川貞
山中の巨石の季節苔寒し/林翔
苔くぼに銀の水玉福寿草/静雲
笹鳴や法然院の苔庇/桑田青虎
秋光や甍の苔も黄金なす/風生
静さや梅の苔吸ふ秋の蜂/野坡
青苔や膝の上まで春の虹/一茶
初簾苔美しき頃に吊る/森田峠
湿苔の花の鬱々母匂ふ/石寒太
草餅に我苔衣うつれかし/蕪村
山寺や縁の下なる苔清水/几董
尼寺の苔の中より秋桜/上野泰
掃苔や十三代は盲なる/安積素顔
松籟や生害石に苔の花/荒川優子
苔を敷き往生極楽院涼し/轡田進
苔をうつ雨や深山の秋の声/宗祇
杉苔に万両溺れ寂光土/富安風生
さり~と苔ふむ冬の月夜哉/士朗
俳句例:21句目~
億年の大石眠る苔の花/升井春子
後撓ひ下る石道苔の花/石塚友二
城塁に下積みの石苔の花/山口速
溜江やむらさき色の水の苔/巴流
苔厚き水掛不動年歩む/岩崎照子
掃苔の三人の子の皆女/高野素十
一斉に大掃苔の寂光土/川端茅舎
静かさや梅の苔吸ふ秋の蜂/野坡
畏くも苔蒸す斎に大祓/高澤良一
青苔の冷え山中に口おごり/原裕
夕河鹿門閉ざす音苔寺に/及川貞
苔寺の森青蛙雨を呼ぶ/中村富子
山院や朱楹青苔交る鳥/尾崎迷堂
鬼灯の花苔の花昼の酒/黒田杏子
青苔に樫の落葉や裏表/菅井青村
行水や我立杣の苔の水/尾崎迷堂
律院の苔の光や春の雨/正岡子規
蚤ひろふ猿の胡座や苔の花/蓼太
苔あをし更に影置く若楓/秋櫻子
西行も翁も飲みし苔清水/小山陽子
俳句例:41句目~
苔の青さ木の影を置く/栗林一石路
苔清水底砂にして青松葉/正岡子規
蛇穴に入る苔寺の供養塔/長沼史子
何代の燈籠の苔か雪の下/正岡子規
檜みな苔裾曳くや百千鳥/香西照雄
身に沁むや苔衣被て石仏/吉野義子
春光を片手掬ひに苔清水/高瀬哲夫
倒木の苔厚くして霧時雨/阪東静子
光悦垣苔厚くして萩のこり/及川貞
丈六のそびら音して苔清水/飴山實
身延線掃苔の火が山に見ゆ/上村占
苔青く冬の泉の底うごく/川崎展宏
苔ふかく幾世落ちつぐ落椿/秋櫻子
父の貌知らず掃苔四十年/森田薊村
掃苔や遠き先祖は別の寺/高木峡川
掃苔や近道とりて母来る/野村泊月
苔乾ぶ巌掴み翔つ四十雀/石塚友二
冬青々苔庵の露地苔に満ち/及川貞
冬青き苔の小庭や藪柑子/巌谷小波
掃苔や相かへり見て兄弟/高濱年尾
俳句例:61句目~
洞窟の流人の星なり光り苔/堺信子
掃苔や明治移民の無縁墓/貝原秋峯
千早振苔のはえたる神鰻/上島鬼貫
千貫のつるぎ埋めけり苔の露/去来
古家や苔蒸す石を鮓の圧/正岡子規
古庭や水打つ夕苔くさき/正岡子規
苔の花門に車の跡もなし/正岡子規
苔青し更に影置く若楓/水原秋桜子
掃苔や一村餓死の供養塚/田崎英治
掃苔やお天道さまと山嫗/宮坂静生
啓蟄や煙草が抉る舌の苔/石塚友二
掃苔の桶も帚も沙羅の雨/木田一杉
苔咲いて鹿垣走る能古島/林十九楼
苔咲きて幻住庵趾椎の雨/飯田蛇笏
掃苔の埃あげたる箒かな/西島麦南
行春や風渡り居る苔の石/中島月笠
お降りや清盛塚の苔青し/上埜チエ
大旱の掃苔水を惜むなく/亀井糸游
苔の花手押し車の並ぶ院/山田睦世
躍る水鎮もる水に苔涼し/吉年虹二
俳句例:81句目~
苔多き梅の老木や二三輪/正岡子規
神燈の笠の広さに苔の花/是永李乃
姨捨は更待月後苔ぼとけ/古沢太穂
石獣の口中苔の花ざかり/加藤憲曠
石垣にいまも銃眼苔の花/中村圭作
苔庭の夜あさき雨に金玉/飯田蛇笏
苔すつと咲いて人間雷砲/大石雄鬼
雪中に獲し苔色の生かす/右城暮石
石の上に苔青う松の落葉かな/黙仏
屋上に苔咲く無欠勤永し/庄中健吉
苔寺や吹立つ風に秋の雨/京極杞陽
湖に臨む旌忠門や苔の花/野村泊月
苔寺の苔の漸く彼岸かな/尾崎迷堂
祗王寺の苔畳照り竜の玉/田中水桜
朝涼し苔の面のささら立ち/岸田稚
檜皮葺して櫓門苔の花/外久保南城
我と汝青木の花と苔の花/岩田由美
御廟所の葵の紋に苔の花/和田郁子
苔に花咲かせ永代供養石/北野民夫
杉苔を埋め尽せし散紅葉/高木桂史