靴に関連した俳句の例をまとめました。
靴を含む俳句例
逢引の春泥靴先に少し/角光雄
破靴や延命菊に雫せる/齋藤玄
新緑の雨古靴と古鞄/小出秋光
春雷や男が磨く女の靴/不死男
落葉まひ靴磨より紙幣とぶ/爽雨
緑蔭にゐて靴磨あぶれたり/鷹女
茎立や泥靴乾く薪の上/石塚友二
十二月八日靴音消ゆる壁/寺井治
夏果の白靴濁る漂白感/小堤香珠
買初のメモ靴墨と神曲と/飛旅子
悴みて少年人の靴磨く/岸風三楼
慈悲心鳥靴一足の籠堂/矢田幾久
霜柱踏めば軍靴の音すなり/篠原
恐山巡りの白靴戞々と/高澤良一
緑蔭の大きな下の靴磨き/上野泰
春泥に船長の靴新しき/岡田耕治
新涼の靴音を待つ石畳/西村和子
春泥の靴ぬぎ拝む延暦寺/関多美
真昼間の中也の友の短靴よ/林桂
男より女の度胸靴白し/西村和子
俳句例:21句目~
山滴る靴音軽き朝かな/中村輝峰
新盆や空耳なれど靴の音/秦夕美
岳人の大靴太脛卓の下/平畑静塔
白靴や手鏡を出す峠口/増子/京
厚底の靴に鉄漿蜻蛉かな/西田孝
毎日の靴を小脇に鳥曇/富安風生
古靴を磨く縁先囀りぬ/金井苑衣
風花や砂丘に浅き靴の跡/森田操
靴音の暑さ呆けの穹の花/松澤昭
紋白蝶ほどの汚れの白靴に/耕二
靴白し一寸先の闇知らず/岡本眸
堂前に靴の累々御命講/高澤良一
靴の右左違へて目借時/寺岡捷子
時鳥靴音高き人もきく/細見綾子
夜長妻栗色の靴買へと言ふ/欣一
幼子の靴を増やして三が日/篠原
白靴の汚れ通ひの看取妻/鈴木子
春近し雪にて拭ふ靴の泥/沢木欣一
文学の果の白靴並べ干す/飯田龍太
新しき白靴しかと始発駅/田上久枝
俳句例:41句目~
船を待つ身空に靴が鳴門海/仁平勝
臘八会村人よりも多き靴/丸山海道
学習塾花屑付けし靴並ぶ/春山道代
春泥の靴溢れをり珠算塾/塩田晴江
兄弟の年貢納やゴムの靴/相島虚吼
白靴に信濃古径の土少し/加藤耕子
白靴に場の睡蓮夕焼けぬ/飯田蛇笏
其角忌やこの橋詰も靴磨き/菅裸馬
春泥の靴憚らず来りけり/坊城中子
美術展近づく靴のなかに釘/皆吉司
白靴に明月院の泥すこし/大屋達治
白靴に照る洋上の広い道/杉野一博
冬浅き靴の埃を払ひけり/川崎展宏
立冬や靴音一人急ぎくる/高橋幸代
冴返る花壇の端に靴のあと/岡本眸
空蝉の結婚式の靴がない/攝津幸彦
凍瀧に靴の十指に力あり/大石悦子
秋風に二人の靴をほす巌/横山白虹
白靴の先突堤の端に出す/池田秀水
確と来し巌冬へ靴揃へ置く/朔多恭
俳句例:61句目~
春泥に新しき靴たじろがず/戸川晟
白靴の平均点の子供達/横山香代子
白靴の旅に赤道通過証/小河きよ子
白靴の来し方行方揃えけり/徳弘純
寒月や氷ふみわる靴の音/正岡子規
大靴の男がひとり連翹忌/小原啄葉
赤靴の女が立てる社会鍋/鈴村寿満
看護婦の布靴急ぐ花の昼/西村和子
旅の飲食靴ごと炉火に温まり/清子
初秋の土ふむ靴のうす埃/杉田久女
ひぐらしの駅に駅夫の靴の音/昭彦
玄関の狭しと靴や年始客/高村寿山
白靴の軽きに峠二つ越え/西浦幸男
赤ん坊にゴム靴にほふ父帰宅/篠原
春昼や細くぬがれて女靴/永井龍男
新しき靴は疲れて墓詣/青葉三角草
一列に片かげにをり靴磨き/上野泰
白靴は今底抜けの遊びやう/大越晶
白靴まで少女全容鏡に満つ/大串章
山靴に踏めど崩れず霜柱/岡田日郎
俳句例:81句目~
白靴の歩みそろひし修道女/田島十
日傘立て老靴磨自愛せよ/山本歩禅
卒業の大靴ずかと青荒地/西東三鬼
玄関に山靴干され梅匂ふ/山田千代
父の靴全てを並べ星月夜/櫂未知子
新藁の能登雪靴の赤き糸/沢木欣一
七輪に炭火熾して靴磨き/添野光子
三ケ日喜怒哀楽の靴並び/室山花子
炎天の現実女靴みがき/石橋辰之助
流行の靴に疲れぬ秋の風/朝倉和江
誰も皆靴冷たくて始発駅/櫂未知子
青峠むかし軍靴と鶏の足/栗林千津
白靴や鍾乳洞を出るところ/森田峠
歳晩の足とどまらず靴磨/山本歩禅
旅涼し燈下繚乱のペルシャ靴/林翔
黒靴を黒に磨いて万愚節/梅本豹太
鰯雲喪の家に靴混沌と/小檜山繁子
高靴の泥付け戻り蛍狩/高崎紀美枝
馬蹄跡に置く靴先や山開/香西照雄
啓蟄や試し履きして旅の靴/林民子