息に関連した俳句の例をまとめました。
息を含む俳句例
千人が花の息吹の労働祭
玉椿八十八の母の息/桂信子
蜩や金箱荷ふ人の息/正岡子規
人を吐く息を習はむ冬籠/千那
緑陰に風反転し豹の息/桂信子
山塊の荒息と霧押し昇る/林翔
箔打の息顫へゐる夕霙/加藤汀
生永し息長蝉が息をつぐ/澄雄
朝より夕べ息づく水の秋/原裕
三宝に鯉の息づく神迎/角淳子
初詣薄荷の息が隣から/井上宗雄
雪嶺を西に鞴の太き息/成田千空
闘牛の荒息肺の鞴より/品川鈴子
杉山は息を殺して雪催/土屋秀穂
裏山に来て父の息凧の息/石寒太
草木の吐く息つよし朝曇/中丸涼
草に落ち緑の息を雨蛙/関沢咲子
深息をして八月の峠かな/中里結
今そ上野女中のため息花曇/実定
息吸ひたき川端茅舎冬麗/中田剛
俳句例:21句目~
夕焼けて息づく海がはなつ/沢聰
羊群の息かも虹の月寒/石塚友二
冬薊猟狗は息を調ふる/内藤吐天
羅に女の息のかよふらく/上村占
芋室に息穴一つ囀れり/毛塚静枝
紙苞の鯉の荒息春彼岸/藤岡筑邨
夏草の息吹きに色に負け籠る/占
一灯へ人の息寄る峡の冬/桂信子
紙漉の槽に匠の息太し/大川輝子
鶯にほうと息する山路かな/嵐雪
堤行く歩行荷の息や油照り/沾涼
夏湖に染まり息づく乳母車/原裕
夕千鳥縹渺とわが息澄めり/林火
息つめて女と磨く望遠鏡/三谷昭
傾城の息酒くさし夕桜/正岡子規
少年の息のかかりし初氷/岸田稚
息細く枯楢林抜けかかる/岸田稚
夏草の丈に夫婦の息沈む/桂信子
秋の声生は深息もて畢る/岸田稚
鳰鳥の息のながさよ櫨紅葉/誓子
俳句例:41句目~
寒昴父母の息感じをり/老川敏彦
坑千尺雷管の火に息弾む/三谷昭
風の息樅の息聞き春隣/村越化石
歌留多読む息づき若き兄の妻/占
天水に息つぐ猫の恋心/水田正秀
息かかるところに翳烏瓜/石寒太
霙るるや野兎藪に息ひそめ/沢聰
夏草に加担し畳息をせる/佃悦夫
息杖に石の火を見る枯野哉/蕪村
浮寝鳥海風は息ながきかな/耕二
わが息のわが身に通ひ渡り鳥/龍太
春の闇息づくものを八方に/園一勢
遁れきてわが息流す冬芒/藤田湘子
凍滝に微醺の息を慎めり/鈴木鷹夫
瞼閉じ荒き息する雀の子/宮田祥子
道遠し子の葦笛の息長し/成田千空
重信忌暑きに籠り息を吐く/高橋龍
鍋蓋やわが四十の息荒し/五島エミ
溜息の後の息吸ふ萩青し/鈴木鷹夫
闘牛の吐く息荒し花野菊/高井北杜
俳句例:61句目~
人影や息を殺せる藪虱/相生垣瓜人
春の闇息づくごとき翁面/藤沢潮子
雁のゆくとき熱き息感ず/佐野美智
息長き百姓の声蕨萌ゆ/米沢吾亦紅
人間の息のあつまる初詣/本宮哲郎
雪嶺のため息聴ゆ大落暉/伊達甲女
凍鶴や空の青さは息とめて/源鬼彦
雷鳥の声に一団息凝らす/斎藤寿仙
深息をして紅梅の真下なり/北崎武
深息や大綿を辺に漂はす/加藤楸邨
青蜥蜴息を殺した華である/佃悦夫
深息し自ら冬を近づけぬ/村越化石
百の袋に百の息詰め袋掛/根岸苔雨
頬を摶つ寒さを湖の息しづか/原裕
折鶴に息を通はす春の雪/櫻内玲子
息長き蝉ごゑを籠め墓の穴/岸田稚
風船の中に女の息をおく/後藤立夫
夕蝉の息やはらかし越のくに/照子
夏蝶の息整へて飛立てり/伊藤静子
餅搗の息をどりをり桑畑/中澤康人
俳句例:81句目~
癌の妻深き息継ぎ三日越ゆ/斎藤玄
吐く息の仏くもらす春の昼/成井侃
馬の息人の息市の暑さ哉/正岡子規
余震なお闇に息づく寒卵/伊藤節子
生臭き息を憚る涅槃絵図/浜渦美好
きざはしに浮根息づく除夜篝/原裕
馬の息市冴返るあした哉/正岡子規
馬糞に息つく秋の胡蝶哉/正岡子規
骨壺にわが息通ふ春の霜/細田寿郎
鳥笛は息のなきがら春隣/長谷川櫂
桜鯛庖丁にある息ぐもり/今瀬剛一
偕老の傘の息づく夕牡丹/北島春美
鴬にほうと息する朝かな/服部嵐雪
傍らに犬の息あり草刈れる/中田剛
鶯にほうと息する朝かな/服部嵐雪
息ながき男のこゑや能始/伊藤道明
麦秋の野に人見ぬは息ぐるし/暮石
浮寝鳥海風は息長きかな/福永耕二
枯尾花息やすやすと過ぎにけり/稚
息自く訪うて雑寝の歌枕/萩原麦草