鰯雲/いわし雲に関連した俳句の例をまとめました。
鰯雲/いわし雲を含む俳句例
秋風は鯨がちらす鰯雲/一雪
百畳の寺千畳の鰯雲/吉内健
山川に洗ふ仏具や鰯雲/舟月
海国に光をさめし鰯雲/原裕
鰯雲鯛も鮑も籠りけり/北枝
鰯雲少年独り球を蹴り/浦濤聲
筆名のほかは別の世鰯雲/龍太
密教の山中鰯雲密に/近藤一鴻
神域を海まで拡げ鰯雲/長田等
鰯雲小学校を一周す/三村凪彦
鰯雲療養祭と呼ぶ祭/村越化石
朝刊は秋田新報鰯雲/中岡毅雄
ささ波の淡海音なし鰯雲/草堂
木にある薬の香鰯雲/木村蕪城
鰯雲化野の墓隙間なし/艸眉子
廃山の町や全き鰯雲/大橋敦子
鰯雲生涯いつも一人旅/安原葉
熔岩原を一網打尽鰯雲/滝佳杖
伊勢近し尾花が上の鰯雲/巴人
湖の空ある限り鰯雲/戸田静子
俳句例:21句目~
鰯雲立塞ぎけんふねの道/嘯山
花売に神嘗祭の鰯雲/石原舟月
夫に似し姿遠退き鰯雲/三宅鈴子
窓拭が来てペンを擱く鰯雲/蓼汀
死顔は人の輪の中鰯雲/古舘曹人
高架駅僧犬と居り鰯雲/宮武寒々
教室は教師の砦いわし雲/樋笠文
鰯雲鯛も飽も寵りけり/立花北枝
鰯雲青年われに歩を合はせ/林翔
電線の無き電柱と鰯雲/京極杞陽
鰯雲わが青春の万華鏡/鷹羽狩行
母の聲背後に若し鰯雲/相馬遷子
水が押す水の勢ひ鰯雲/今瀬剛一
鰯雲老いを知らざる天の艶/林翔
鰯雲終着駅は起点なる/西村和子
荊冠に透く広島の鰯雲/奈良文夫
都さす貨車が連なり鰯雲/桂信子
色鉛筆一本買ひに鰯雲/松山足羽
鰯雲石棺におく石の蓋/今瀬剛一
三高の錆びし鉄門鰯雲/老川敏彦
俳句例:41句目~
鰯雲畑打つ女顔見せず/加藤耕子
鰯雲幾山川の夢の跡/新谷ひろし
函館も故郷の一つ鰯雲/西本一都
分身の眼鏡磨けば鰯雲/河津玲子
切岸の巍々と迫りて鰯雲/林紀子
鰯雲桶屋は桶の中にゐる/龍岡晋
うす~と今日仰がれつ鰯雲/風生
島の崖一つ紅さす鰯雲/久米正雄
大阪の隅にて仰ぐ鰯雲/品川鈴子
鰯雲天に愛語を聴くごとし/吐天
疲れしと思ふ心に鰯雲/高濱年尾
鰯雲后の御輦葉山出し/飯田蛇笏
鰯雲この一族の大移動/茨木和生
鰯雲山海関に着きにけり/日原傳
鰯雲松の下枝に海見ゆる/上村占
自転車の妻に驚く鰯雲/斉藤夏風
縄で括る蛸壺の首鰯雲/西村公鳳
天覆ふ鰯雲あり放心す/山口誓子
なほ上に鰯雲ある空路かな/年尾
親は親子は子の山羊に鰯雲/森閑
俳句例:61句目~
鶏売の来て山中に鰯雲/村越化石
樺太の岬は蒼ざめ鰯雲/久米正雄
鰯雲一子を託し転勤す/近藤一鴻
炭二三俵納屋にあり鰯雲/飯田龍太
日本を去りし画家あり鰯雲/森田峠
熊笹に濁流の跡いわし雲/矢島渚男
鰯雲けふの日附の友の文/木村蕪城
鰯雲こゝろの波の末消えて/秋櫻子
鰯雲ずれ大空の誤植なす/都筑智子
鰯雲いが栗の束手に荒き/渡邊水巴
鰯雲はたらく人を地に撒ける/耕二
駅を出て旅の終りし鰯雲/岩田公次
風紋を見し目に仰ぐ鰯雲/稲畑汀子
電工の登り切つたる鰯雲/西東三鬼
鰯雲ゐざりつゝ色定りし/大沢繁女
鰯雲一対一は逃れ得ず/河野多希女
いわし雲人はどこでも土平す/三鬼
鰯雲不老不死薬並べおり/山田北夫
鰯雲二人で佇てば別れめく/岡本眸
野も笛を失ひつつや鰯雲/熊谷愛子
俳句例:81句目~
鰯雲人に告ぐべきことならず/楸邨
鰯雲人を死なせてしまひけり/完市
いわし雲城の石垣猫下り来/森澄雄
鰯雲動くよ塔を見てあれば/波津女
鰯雲吾子に継ぐべきものは何/林火
鰯雲喪の家に靴混沌と/小檜山繁子
いわし雲大謀網へ進みたり/下田稔
鰯雲墓碑は善行のみ刻む/内藤吐天
鰯雲大団円にあるごとし/松山足羽
鰯雲大王岬へ漕ぎ出んか/橋本鶏二
返球の濡れてゐたりし鰯雲/今井聖
鰯雲好きで一生教師する/辻田克巳
鰯雲島に寄港の日本丸/岡本八重子
いわし雲村人谿を愛し老ゆ/有働亨
農薬の中の劇薬いわし雲/原田青児
鰯雲巣箱に暗き穴ひとつ/飯田龍太
いわし雲猫の尻尾は導火線/皆吉司
鰯雲左右ことなる塔二つ/有馬朗人
鰯雲戸隠山はやや鬼相/中村草田男
鰯雲折鶴千羽の羽音かも/桜井博道