筆に関連した俳句の例をまとめました。
筆を含む俳句例
書初や七十歳筆摂州住/宗因
海一句金短冊に筆始/有働亨
ちび筆に俳諧うとし春の風邪
楪に筆こころみん裏表/浪化
江南の梅の翁や筆始/仲岡楽南
筆多き硯の箱や冬籠/正岡子規
ましろなる筆の命毛初硯/風生
筆立の筆一本も初景色/神蔵器
歯豁に筆の氷を噛む夜哉/蕪村
有馬筆水と睦めば遠霞/塘柊風
筆の海墨に声有り千鳥石/口慰
筆始虚子秋桜子山頭火/酒井武
筆太き蓮如名号日雷/山本洋子
金屏や賢き妹が筆始/会津八一
曲水や盃の舟筆の棹/正岡子規
良寛を学びて遠し筆始/中火臣
立札や法三章の筆始/正岡子規
片時雨塵外孤標筆一本/加藤郁乎
大小の筆の穂白し初硯/中川久子
手に適ふ太筆太字書始/阪本謙二
俳句例:21句目~
大津絵の筆のはじめは何仏/芭蕉
礼帳や筆初めなる我が名慚づ/牛
牡丹や軸の楼閣細筆に/尾崎迷堂
橿原の宮の記帳が筆始/滝本顔女
寒紅の筆の命毛短くも/奈良鹿郎
筆匠の鑿返し研ぐ朝桜/井口秀二
泥舟に富士の筆太飾米/向山隆峰
居籠や屏風の裾の筆硯/清原枴童
筆の林つくろひ物や雲の峯/調泉
書初や筆勢勁き福一字/青木愛子
夕立や筆そゝぐべき潦/井上井月
家古び筆立にある秋扇/清水鵲木
夕立や紅筆溝を流れ行/正岡子規
海山や都の筆に雲見草/上島鬼貫
黄梅の弾ねる風下筆洗ふ/菅裸馬
麦秋やどこも能筆札所妻/木村勇
面相筆の細さ杉菜の風/北原白秋
雁のへだてぞ佳けれ筆硯/齋藤玄
渾身に使ふ大筆書初め/池田年成
満々と黒き海あり筆始/正田稲洋
俳句例:41句目~
たま祭る料理帳有筆の跡/炭太祇
日を以て數ふる筆の夏書哉/蕪村
筆のもの忌日ながらや虫払/召波
横書に心の小窓筆始/後藤比奈夫
初硯知足常楽筆太に/村地八千穂
初硯筆に朱墨を染ませけり/龍男
初空に心の筆で夢と描き/西村恵
十丈の蓮開くや筆の尖/正岡子規
筆すてぬ松こそよけれ初硯/蓼太
菊枯て筆塚淋し寺の庭/正岡子規
誠の字太く大きく筆始/鈴木照雄
合性の筆は一本白椿/伊丹三樹彦
名月や筆の言葉の引廻はし/園女
筆塚に挨拶ほどの風花す/森高子
和を以て貴しと筆始めけり/青畝
聖徳を頌する文や筆始/正岡子規
夜永さに筆とるや旅の覚書/几董
坂町や狸の筆を買初す/井桁白陶
筆始め坐り直せば墨匂ふ/板津/堯
筆太に臘八接心告知せる/赤木利子
俳句例:61句目~
筆墨の濃き晴れさそふ梅の花/原裕
筆土割り小学生の浄き脚/大野林火
ゆづり葉や口にふくみて筆始/其角
筆取て千艸の花におくるゝな/闌更
生涯の水巴直弟子筆始/小川原嘘師
わんぱくや先づ掌に筆はじめ/一茶
弘法は何と書きしぞ筆始/正岡子規
筆勢の余りて切れし大文字/岡本眸
心こめて筆試みることしかな/白雄
沈丁の風に吊すや洗ひ筆/大石悦子
筆一本洗ひ八十八夜かな/関戸靖子
一の字に己の見えて筆始/田淵宏子
七夕の恋の願いは筆太に/石川定子
筆まめの吉宗様へ御中元/小橋久仁
丈山の渇筆黴びず学甫堂/富田潮児
三寒の四温兆しぬ筆買ひに/及川貞
三月の筆のつかさや白袷/飯田蛇笏
浄机百筆硯も百炉は一つ/山口峰玉
扇面の波を鎮めて筆はじめ/杉良介
海の子の海の一字の筆始/野上飛雲
俳句例:81句目~
弘法の投筆かなに大文字/正岡子規
筆耕や一穂の灯に暑き宵/飯田蛇笏
筆耕の机の塵や日脚伸ぶ/野崎方道
月雪に集てかなし筆の物/高井几董
筆立の筆の長短日脚伸ぶ/丸山比呂
雪置きて山高く見ゆ筆始/秋山幹生
雨水くむ筆の林に鳳の雛/上島鬼貫
雛をさめ炬燵の上の筆硯/木村蕪城
禿筆を塚に築きて梅の花/正岡子規
涅槃雪玄奘も筆休めけむ/有馬朗人
筆の尖一塵嫌ふ寒夜なり/荒井正隆
添へ文の能筆にして蒸鰈/都筑智子
筆の先双つにわれて秋初/中嶋秀子
文鎮を置けば鎮まり筆始/倉田紘文
筆硯や病にかてぬ初便り/石川桂郎
健筆や老先生の年賀状/宗像夕野火
筆硯や新草離離と垣の内/下村槐太
長安の古墨匂ひぬ筆始/渡部抱朴子
元旦の日記を筆の初かな/会津八一
先生の筆見飽きたり冬籠/子規句集