壁に関連した俳句の例をまとめました。
壁を含む俳句例
餅花や灯立てて壁の影/其角
寒菊や赤土壁の鷹の糞/史邦
壁の蔦隣は鰯たく香哉/成美
大霜や壁に乾ける馬の沓/石鼎
月明の遠山となる壁鏡/桂信子
鞴の火壁を伝へり秋の雨/虚子
残虐な壁の残骸花茨/関森勝夫
中庭に筍壁に墨竹図/大島民郎
薄壁の手近に探れ梅の花/浪化
電線の影炎昼の盲壁/北野民夫
教堂に純白の壁原爆忌/飴山實
倉敷は柳新樹の壁白き/山本郎
板壁や親の世からの古暦/一茶
板壁の手斧作りの黍嵐/有働亨
野馬や壁土いさす水の上/里東
凌霄花の花に黒めん鎧壁/史庭
北風へ壁も膨らむ楽の渦/林翔
古壁にまた一年や初暦/平赤絵
名月や壁に酒のむ影法師/半綾
赤蕪を吊る粗壁に荒莚/角川春樹
俳句例:21句目~
日影もる壁に動くや冬の蝿/闌更
暖房や絨氈赤く壁は金/京極杞陽
旅の夜や厠の壁に青蛙/河辺柚里
颱風や守宮は常の壁を守り/篠原
人在らで人の臭ひの冬の壁/林翔
芭蕉忌や壁に掛たる文の切/吟江
貧乏の壁に枕や水中り/森川暁水
松影も氷りついたり壁の月/一茶
夜通しに壁塗あげる蚊遣哉/几董
板壁の木の丸殿や蚯蚓鳴く/蝸茗
しら壁や若葉のひまの薄曇/葉圃
天に口壁に耳あり時鳥/尾崎紅葉
鶏頭の影地に倒れ壁に立つ/林徹
朧夜や水の音する壁の中/中田剛
荒壁に霊通る隙隙間風/加藤水万
蜻蛉や村なつかしき壁の色/蕪村
行く年や壁に恥ぢたる覚書/其角
大声や御慶申すと壁隣/川村烏黒
妻いねて壁も柱も月の中/飴山實
三伏や土間の暗きに壁鏡/有働亨
俳句例:41句目~
児消えぬ奥は山茶花崩れ壁/言水
達磨忌を壁のなごりや蟋蟀/嵐山
葛茂る舟板壁に釘の穴/村井正彦
落書の壁のつづきの烏瓜/長田等
雛まつる壁裏昼の物音す/桂信子
十二月八日靴音消ゆる壁/寺井治
線香や壁にうつして聖霊棚/沾葉
南壁に雷火一瞬峙ちし/桑田青虎
絨毯は新調壁炉機嫌よし/河本和
経蔵の壁に空蝉白峰寺/一宮半月
粗壁を貫く筧紙を漉く/谷口雲崖
夜となれば神秘の眇灯る壁/篠原
身に添てさび行壁や冬籠/炭太祇
命名の半紙が壁に青嵐/藺草慶子
埋み火や壁には客の影法師/芭蕉
春霞奥壁仰ぎ師を弔ふ/岡田日郎
埋火や壁には客の影ぼふし/芭蕉
蔦かれて壁に音する嵐かな/軒秋
小春日や宝物殿の白き壁/上村占
秋蝶の腸無きを壁に刺す/島村元
俳句例:61句目~
燈台の厚壁のぼる黒揚羽/下田稔
福藁や壁白うして外厠/荒井正隆
短日の壁にもたせて帚あり/旭川
百千鳥朱壁の龍の蟠る/福田蓼汀
揚雲雀大空に壁幻想す/小川軽舟
生壁のにほひや残る春の雨/許六
武隈の松みせ申せ遅桜/草壁挙白
戸隠の壁ぬけて来し岩清水/原裕
壁張るや古新聞に冬籠/寺田寅彦
煤けたる壁ほのぐらし紙雛/雪芝
新年の壁に吊るせり草箒/穴井太
活けし梅一枝強く壁に触る/誓子
決勝の壁と峯雲峙てり/高澤良一
壁黒み影向したる星佛/尾崎紅葉
水道の口壁にあり金鉢/京極杞陽
蛍飛ぶ闇に壁なす天城山/高橋悦男
蚊帳にある頭の影が壁に影す/篠原
坐す影の壁に大きく冬隣/田中英子
便追を仰げば火口壁近し/目黒十一
霜降の壁ぎはにして鎧櫃/阪本謙二
俳句例:81句目~
冬の夜や槌音返す壁聳ゆ/高田蝶衣
薄氷や壁に眼球解剖図/松浦いづみ
大年や貼り煩へる壁と紙/野村喜舟
月光のほのかなる壁屋根支ふ/篠原
傘傾け冷夏孤りの火口壁/古舘曹人
一枚の壁傾きて北風低く/河野南畦
一陣の落花が壁に当る音/岸本尚毅
霜がれや壁のうしろは越後山/一茶
婚衣裳苗代寒の壁にあり/土屋未知
舟板をもて三伏の壁鎧ふ/阪本謙二
雪虫の登攀直に雪の壁/宮崎とき女
なほ壁に外套疲れし姿なす/岸田稚
なまこ壁繕ってある冬構/高橋悦男
なま壁や秋をわするる蔦紅葉/言水
三月の壁に戯る水の影/佐藤美恵子
荒壁に黴の華殖ゆ十三夜/近藤一鴻
雨漏るや燭して壁に蝸牛/会津八一
蔵壁の外はこの世の冬茜/山縣樵二
元結屋の大壁造り樫若葉/須賀遊子
月を待つ柱に凭れ壁に倚り/上野泰