犬(一般)に関連した俳句の例をまとめました。
犬(一般)を含む俳句例
短夜や浪うち際の捨篝/蕪村
店の甘鯛どれも泣面に/上村占
家の犬庭駆け廻り冬籠/上野泰
夜興引や犬心得て山の道/子規
草枕犬も時雨るか夜の声/芭蕉
八朔や犬の椀にも小豆飯/一茶
夜興引く盗人犬や龍田山/其角
舟慕ふ淀野の犬や枯尾花/几董
犬槙に風のあつまる小正月/肇
犬が来て覗く厨の春の暮/誓子
浮世かな犬は長ぼえ郭公/西調
初霞鶏犬の声遠近に/笹川臨風
地蔵会の犬舌鳴らす潦/岸田稚
小便やおのが枝折の犬桜/西和
冬木切り倒しぬ犬は尾を垂れて
猟人の痩躯長身その犬も/比奈夫
晩秋や両掌に挟む犬の貌/瀧春一
晩秋や両掌に挾む犬の貌/滝春一
狩小屋の夜明也けり犬の鈴/一茶
葉桜や深夜犬ども睦しく/不死男
俳句例:21句目~
流氷の亡びの光に湾の犬/齋藤玄
春の日を頒ち三十三露佛/上村占
霜の朝休耕田に犬走る/野畑節子
令嬢の犬緑蔭に便催す/茨木和生
曼珠沙華捨犬の脚休まずに/原裕
枯野来し人を喜び牧の犬/佐藤艸
商人を吼る犬ありもゝの花/蕪村
嚏して犬通りけり麦埃/内藤吐天
犬捕りの口笛巧し葱坊主/河村昇
春一番人犬鴉田に出でぬ/秋澤猛
犬吠の濤に真向きの氷店/森田峠
團結の歌ごゑ汗の拳振り/上村占
花楓烈風にして犬あるく/日原傳
墓原に育ちし犬や春隣/増田龍雨
犬にうつ石の扨なし冬の月/太祇
ひたと犬の鳴町過て踊かな/蕪村
老犬も吾も涙目花粉症/天沼良江
麻薬嗅ぐ犬ゐて暑き国境/堀恭子
夢かれて初秋犬の遠音かな/西吟
大江戸や犬もありつく初鰹/一茶
俳句例:41句目~
東京湾だるま船上犬交る/辻桃子
大雷やそれきり見えず盲犬/鬼城
元日の犬の憂鬱硝子越し/桂信子
春深し机の下に犬のゐて/小澤實
元旦の一匹分の犬の餌/桑原三郎
縞目なす森の朝日や狩の犬/時彦
家の鶏隣の犬や鳳仙花/尾崎迷堂
犬吼て家に人なし蔦紅葉/千代女
入口に老犬眠る行者宿/右城暮石
鐘楼に犬出て鰯引きはじむ/計次
秋耕の人に蹤く犬白と黒/杉本寛
佛法と啼き僧とは稀の聲/上村占
行水の童を慕ひまぐれ犬/瀧春一
巨き犬牽ける少女も夕霞/瀧春一
春雷や島には島の犬走り/三谷昭
初凪や犬吠岬を畑の下/小杉余子
犬細し女も細し枯木中/高野素十
春風や犬の寝聳るわたし舟/一茶
高架駅僧犬と居り鰯雲/宮武寒々
昼吠ゆる犬や菜種の花の奥/蓼太
俳句例:61句目~
狛犬に犬を預けて盆踊/平上昌子
座敷犬赤き舌出し菊の寺/辻桃子
登校の箱橇曳かせ牧の犬/原柯城
裘着て犬くさき蟹工女/三戸杜秋
焚火人を犬嗅ぎ廻り~/清原枴童
戸に犬の寐がへる音や冬籠/蕪村
甘藍の畑に犬の顔高し/岸本尚毅
冬河原暮るる犬捕り車いて/三谷昭
水飯や一猫一犬二子夫妻/石塚友二
冬の田も遊べり鶏と犬を容れ/狩行
旱雲犬の舐めたる皿光る/原子公平
灼け鉄路犬方角を失ひて/右城暮石
春の宵高層ビルに迷い犬/伊藤真理
春の月海ある方へ犬走る/山口誓子
犬にある身の上話日短か/本橋美和
犬馳けし足跡雪の銀砂灘/右城暮石
人も蟻も雀も犬も原爆忌/藤松遊子
犬呼ぶに口笛かすれ小春山/原石鼎
赤犬が居り春帽とならむ/細見綾子
犬飛躍空中で少年と契り/和田悟朗
俳句例:81句目~
春寒やぶつかり歩く盲犬/村上鬼城
雪の原犬沈没し躍り出づ/川端茅舎
犬二匹丸洗ひして暑気払/都筑智子
炎天に犬身振ひの骨の音/沢木欣一
犬連れて稲見に出れば露の玉/鬼貫
犬連れて往診筍流しかな/堀口星眠
春暖炉名画の女犬を抱く/富安風生
春月の海ある方へ犬走る/山口誓子
出初式警察犬も加はりて/田中延幸
雑煮祝ぐ秀衡椀の金まぶし/上村占
炉火赤し犬わが膝に頸をのせ/蓼汀
春煖爐名畫の女犬を抱く/富安風生
冬山の犬返しより犬帰る/山口誓子
汚れ犬白尾がゆたか枯芒/香西照雄
出征ぞ子供ら犬は歓べり/三橋敏雄
葉の音に犬吼えかかる嵐かな/園女
銀行の前に犬居り納税期/加藤石雲
すれちがふ犬と男と柩橇/黒田杏子
木犀の香や純白の犬二疋/高野素十
犬にのみ許す心や秋時雨/草間時彦