耳に関連した俳句の例をまとめました。
耳を含む俳句例
郭公夢か現か耳穿鑿/濯耳
水仙や兎の耳も旭影/荘丹
年行くや耳掻光る硯箱/普羅
船頭の耳の遠さよ桃の花/支考
鶯や左の耳は馬の鈴/正岡子規
郭公耳摺払ふ峠かな/上島鬼貫
兜虫耳が翼の少年期/伊藤敬子
耳聡く眼鋭き冬の鹿/植田弘子
秋風に耳の垢とれ渡し守/去来
不性猫きゝ耳立て又眠る/一茶
とし四十蜩の声耳にたつ/白雄
おく耳に声の数など子規/露山
一番に耳より年ぞ酉の声/望一
遠耳の空の出産豚二頭/梶真久
道一つ耳は二つの虫時雨/林翔
掘割や藪鶯を両の耳/正岡子規
降音や耳もすふ成梅の雨/芭蕉
耳底にゐて懸命の鉦叩/斎藤玄
初雷や耳を蔽ふ文使/高浜虚子
右の耳左の耳の蚋払ふ/東原芦風
俳句例:21句目~
馬の耳すぼめて寒し梨の花/支考
牧牛の幼き耳に蝿生れ/山口白甫
頭巾から耳取出すや夜の音/野坡
立春や月の兎は耳立てゝ/星野椿
耳あまた欲し八方に囀れり/林翔
幼な顔残りて耳順更衣/本田豊子
鐘に耳少し動かし孕鹿/松田吉憲
耳あつき掠奪婚や遠蛙/大屋達治
春の昼聞香の耳紅潮す/小川軽舟
瓢箪の老美しく耳遠し/古舘曹人
旅人の耳に秋声光悦寺/高木晴子
簪の耳掻ほどの草の花/高濱虚子
指狐耳立て直す春障子/加藤耕子
蝉声に老杉は耳順ふよ/辻田克巳
花野にて耳に緋房は羊の仔/林翔
冬草や耳たぶ汚れなき青春/爽波
聾耳や病を楯の夏百日/石川桂郎
耳順とは桜吹雪の桜守/柿畑文生
耳遠き婆が合点や瓜の馬/岸田稚
天に口壁に耳あり時鳥/尾崎紅葉
俳句例:41句目~
手を洗ひ耳洗ひ硯洗ひけり/柏禎
囀に耳の大きな道祖神/山田弘子
耳海岸ここ番外地桜貝/馬場駿吉
牛の鼻に耳ひとしかれ子規/可躍
如月や好文亭の耳門/八木林之介
凩や耳の中なる石の粒/三橋敏雄
囀や耳の奥には水の国/斉藤夏風
耳成と香具山の間餅配/山本洋子
耳の底に水鶏なく也冬の雨/露川
稲扱機耳成山へ埃吐き/西村和子
秋風に別々動く猫の耳/福田蓼汀
囀を捉へ仔牛の耳動く/栗山妙子
秋蝉や如来の耳の薄明り/伊藤翠
四海波のきゝ耳明の春/服部嵐雪
耳底は胸底いつも鉦叩/鷹羽狩行
兄ぶりの孫耳さとき小雷/及川貞
梟や聞耳立つる三千騎/正岡子規
箱眼鏡覗く少年耳尖り/齋藤朗笛
鶯の声には近し老の耳/正岡子規
鶏の何きゝ耳や虻の昼/西山泊雲
俳句例:61句目~
梟や耳覚めてゐる旅枕/堀井和子
片方の耳を動かし山笑ふ/笹木弘
鳴禽に耳を傾け年の内/森ゆきお
松風に耳欹つる春の鹿/清原枴童
惜春や耳の形の噴火口/京極杞陽
学帽を耳に支へて入学す/上野泰
朝顔に皿まで喰らう耳男/仁平勝
潮を聴く耳春色の疾風なか/原裕
耳しひの男つやめく葦の花/原裕
秋涼し耳塚原の通り雨/飯田蛇笏
短夜や駅路の鈴の耳につく/芭蕉
清拭やかの鶯を耳の辺に/齋藤玄
伏す鹿の耳怠らず紅葉山/小島健
晩餐に豚の耳削ぐ五月祭/石嶌岳
晩鐘の耳失ふやけふの月/千代尼
耳に声しらべ直すや律の蝉/露玉
耳さとき籠の鶉に木の葉舞ふ/占
時鳥右の耳より左より/正岡子規
春蘭や耳にかよふは竹の雨/草城
秋空し木くらげの耳沢の暮/言求
俳句例:81句目~
春浅き耳洗ふとき音聴こゆ/林桂
春昼の子兎抱かる耳伏せて/沢聰
病よき昼は耳燃え春隣/皆吉爽雨
春一番黒猫縁に耳立てゝ/正風子
筆箱の中に耳掻年の宿/四ツ谷龍
滝音の耳を離れし昼の酒/小島健
茶の花に兎の耳のさはるかな/暁台
草笛に聞耳たてし牧の牛/大橋敦子
落花せん耳もおどろく風の音/すて
竜天に昇りて耳の穴痒し/辻田克巳
薄氷や耳の尖れる石狐/柴田白葉女
竜の玉水琴窟に耳すます/上野英子
老猫の耳透く暑さ兆しけり/及川貞
老僧の耳が動きぬ三光鳥/板谷芳浄
虎落笛胎児は耳の形して/森田智子
水音は耳に障らず春眠す/茨木和生
螢の夜先生のこゑ耳もとに/岸田稚
襟巻や畜類に似て人の耳/西島麦南
観念の耳の底なり秋の聲/正岡子規
耳もとに太陽の私語苺摘む/堀内薫