香に関連した俳句の例をまとめました。
香を含む俳句例
山水やまだ初秋の香散/句空
非時香果が小包に/川崎展宏
常香も煙絶けり花の山/鉄九
凩も袋にひとつ葉抹香/昌夏
蓮の香を窓に運ぶや玉祭/乙由
炭斗に漆の香あり新婚/滝春一
梅が香や南吹く夜の肘枕/詰洲
独弁当香斗もらせ梢の花/調泉
蘭の香や蝶の翅に薫物す/芭蕉
稲の香や月改まる病心地/漱石
湖の香の一すぢ走り祭来る/裕
木にある薬の香鰯雲/木村蕪城
炉開や炭の香守る人の顔/霞夫
移り香に泰山木の花終る/原裕
初嵐香煙急に斜なり/寺田寅彦
綿香の函美しき冬の朝/上村占
巴里祭厠に残る女の香/岸田稚
引被る衣の香床し初時雨/支考
掛香の女男も昔かな/高浜虚子
香を踏て蘭に驚く山路哉/月居
俳句例:21句目~
御身拭袖の香急げ京土産/言水
柊の花一本の香かな/高野素十
仏壇の十日の菊の香かな/蝶夢
梅が香や客の鼻には浅黄椀/許六
白描の聖観音や瑞香/文挟夫佐恵
琴作る桐の香や春の雨/夏目漱石
冬隣母の香出づる麹花/影島智子
鼻先に埃くさき香女貞/高澤良一
香焚けば翳のぼりつめ涅槃像/裕
杉の香を胸に充して山始/角光雄
大桜散るとき墨の香を流す/原裕
香盤の煙も暑き庵かな/上島鬼貫
水の香の甦り湖解氷期/山田弘子
初不動門前町の鰻の香/片山桃弓
梅が香や朝々氷る花の陰/千代尼
香水の香の内側に安眠す/桂信子
梅が香やおもふ事なき朝朗/闌更
梅が香の誘ふ恵方や神参り/一音
臘八の香煙くぐり烏猫/渡辺鳴水
もるる香や蘭も覆の紙一重/太祇
俳句例:41句目~
桜東風香煙燻る蔵王堂/鳥居忠一
梅が香をくだく柳の梢かな/木導
海棠に反魂香の煙かな/正岡子規
男痩せ冬へ傾く香草園/寺井谷子
炎天に山風の香や吉野口/桂信子
潮の香の一すぢ走り祭来る/原裕
早咲の梅の香もあり納豆汁/黎鶏
宝舟御枕香ぞいや高き/黒柳召波
茶の花の香や冬枯の興聖寺/許六
花の香袈裟も衣も腸も/松岡青蘿
花の香を衣桁に懸つ衣がヘ/智月
屠蘇の香や枕にうらむ薬紙/支考
花の香や桜に風のさはる時/松花
花の香や桔梗に映る人通り/闌更
梅が香や奥物深き破れ簀戸/通達
綿香の灰やこぼれて松の花/蕪村
常節の鍋香ばしく集会所/森英子
池畔ゆき青萍の香にむせぶ/誓子
廃殿に薫風檜の香失せず/杉本寛
夏山や水のいろ香の鯉料理/原裕
俳句例:61句目~
羅にすけて尼僧の香袋/椎橋清翠
恐山日傘抹香臭くなり/高澤良一
葱切つて溌刺たる香悪の中/楸邨
手焙や香商うて二百年/飛岡光枝
蓬莱や一口香に潮の味/織田恭子
菊の香や奈良には古き佛達/芭蕉
菊の香やならには古き仏達/芭蕉
名水の御香の宮に初詣/上野緑峰
葱の香や傾城町の夕あらし/蝶夢
島原や葱の香もあり夜の雨/言水
木犀の香に染む雨の鴉哉/泉鏡花
蓮の香や水を離るゝ茎一寸/蕪村
天も香に酔る煮酒の煙かな/時扇
香を探る梅に蔵見る軒端哉/芭蕉
春日影音も香もなき鏡かな/越人
春雷や旅の褥に男の香/大橋敦子
蘭の香に老も若きも寐覚哉/白雄
香ぞ配る百ヶ寺参り花の札/調紅
春の昼聞香の耳紅潮す/小川軽舟
鬢付けの香も鮮しや天神祭/憲吉
俳句例:81句目~
三輪の天国香や二輪散る/正岡子規
降晴て杉の香高し蝉の声/加舎白雄
年籠る御題島の香焚きて/伊藤文女
初不動百円で買ふ香の束/布野想夕
夏梅の香や遠州の花の跡/中村史邦
白絣人の匂ひも潮の香も/高橋将夫
物の香の立つや厨の夏隣/巌谷小波
梅二月鳩居堂香たきこめて/樺山翠
むめが香や慮外ながらも旅労/園女
杉の香に新緑邃し楞厳寺/河野南畦
香嵐渓三千本の紅葉映ゆ/磯野充伯
香煙や一族まゐる藪の墓/飯田蛇笏
満月へ水仙の香の上りけり/小島健
香煙の蚊をも払ひぬ墓詣/皆吉爽雨
黙の庭花柊は香をこぼし/中岡利子
雪国に来て七草の芹の香よ/小島健
雨に香のよわらで哀れ花茨/五竹坊
卓燈に前栽の闇蚊やり香/飯田蛇笏
降る雪の中の香煙初大師/今川青風
初彫の樟の香高く人形師/大島民郎