鏡に関連した俳句の例をまとめました。
鏡を含む俳句例
氷けり鏡天井龍王界/調和
初鏡女も窈窕に/吉屋信子
神謀りゐる十月の水鏡/原裕
この若き心を映せ冬鏡/林翔
九十の顔かこれ初鏡/桂信子
凧鏡が浦ハ真ツ平/正岡子規
村中の鏡が光り春の泥/黛執
六十も女盛りや初鏡/矢野絢
夏兆す杉の吉野の水鏡/原裕
年棚や鏡に通ふ嫁が君/柳也
秋近き影を憐む鏡かな/士朗
豊年の鏡の欠や氷の様/立砂
梅や紅人の気の初鏡/上島鬼貫
凍空を端から開く朝鏡/桂信子
少年や鏡に鏡映し秋/矢島渚男
久方の光長閑し鏡研/幸田露伴
青鷺の八頭身を水鏡/高澤良一
鏡中にわが髯白し裘/島田五空
暁の梅に蓋とる鏡哉/松瀬青々
曲水に朱の小袿水鏡/須賀遊子
俳句例:21句目~
氷店の鏡に午後の波頭/桂信子
月明の遠山となる壁鏡/桂信子
楪葉や鏡の餅の粉雪ちる/全牛
口紅は赤い銃弾初鏡/前山松花
顔見世や鏡の中に父の顔/栢莚
日の桜額をさらせば額鏡/原裕
うの花や門を過行鏡とぎ/星布
新緑の山並鏡なせりけり/原裕
秋涼し木に上る水鏡/沢木欣一
彫像の奥に彫像秋鏡/対馬康子
喪の鏡雪に従妹ら大写し/原裕
梟の夢にも船の大鏡/夏石番矢
船室の鏡冬潮時々耀る/桂信子
鶯のまゆやなでけむ古鏡/園女
秋風を映す峠の道路鏡/大串章
萬緑の表面張力道路鏡/的野雄
南風は鏡の中にとなる/高篤三
養花天鏡一面遍路宿/黒田杏子
手袋が鏡の中で花を買う/渋谷道
洋服と鏡の間氷りけり/藤谷和子
俳句例:41句目~
初鏡とて大埃自若たり/宮坂静生
眉に立つ白毫剛し初鏡/富安風生
寒月を鏡にうつす狂女かな/闌更
文債や鏡の中に寒い顔/福士光生
泡盛は鏡色なり夜の秋/沢木欣一
涸れ残りたる水鏡暮れ残り/耕衣
宵闇に神灯映す鏡池/石鍋みさ代
一湾は鏡の如し盆の月/坂口夢塔
寒き馬よぎる夕べの鏡店/桂信子
春愁や鏡の中に己が顔/相羽宏紀
笛方の涼しき袖を水鏡/小原芳子
春雨や鏡に向ふ昼旅籠/井上井月
花筏とぎれて花を水鏡/岩田由美
空容れて旅の乙女の初鏡/大串章
河鹿鳴く宿の鏡に代りあひ/汀女
一生に鏡いく枚桐の花/朱間繭生
蛎むきや我には見えぬ水鏡/其角
月の鏡小春に見るや目正月/芭蕉
元旦へ夜が流れる大鏡/栗林千津
初鏡縮緬皺の見事なる/相良知子
俳句例:61句目~
誰がための秋天に置く水鏡/原裕
越前や鏡の中に桃の花/大屋達治
初鏡一畳で足る妻の城/土生重次
美しく少し歪みし初鏡/星野高士
青桐の實の霜枯れて水鏡/竹田節
枯れ細る蘆の鏡の水温む/たかし
春昼の鏡の中の鏡かな/足立幸信
人と牛霧の鏡に現れし/西山泊雲
朝の気の天は鏡や山桜/西山泊雲
冬木立奥は社の鏡かな/藤野古白
先達の氷に上る句を鏡/高澤良一
永日の店の中なる大鏡/永井龍男
初鏡右手衰えし左利き/山中蛍火
今朝秋や見入る鏡に親の顔/鬼城
寒菊に古鏡の塵を払ひけり/紫影
三伏や土間の暗きに壁鏡/有働亨
三才の片言きくや鏡草/長田昌子
輪飾や鏡中雪の降りしきる/龍雨
湖の古鏡曇りや若葉冷え/上村占
眼前に古鏡眼下に結氷湖/岡本眸
俳句例:81句目~
初鏡娘のあとに妻坐る/日野草城
晩年の少し離れて初鏡/広田美栄
水仙に鏡のごとき塗机/勝本昌子
八十のわが面相や初鏡/高岡智照
初鏡娘のあとに母坐る/日野草城
毛衣の試着鏡よ鏡よと/高澤良一
初鏡巡礼姿しかと決め/磯野充伯
冬深し道鏡塚に忘れ鍬/有馬朗人
柱の巾の初鏡拭ひけり/石川桂郎
夏風に夜の閃光掛け鏡/飯田蛇笏
初鏡形見の帯の似合ふ年/星野椿
初髪の合せ鏡を右左/中畠ふじ子
久方の光のどけし鏡研/幸田露伴
初鏡齢は確と数へまじ/梅田美智
海棠は鏡見せたき姿哉/正岡子規
下萌のこゝに佇み水鏡/高木晴子
口紅をもつて点晴初鏡/下村梅子
口紅を指先で溶く初鏡/中村恭子
唇をなめ消す紅や初鏡/杉田久女
変身の願望すこし初鏡/寺門良子