櫛に関連した俳句の例をまとめました。
櫛を含む俳句例
短夜の櫛一枚や旅衣/汀女
唐櫛や風の跡見る柳陰/鉄九
鼈甲の櫛が一本囀れる/中田剛
鬣に櫛あて春の酣よ/宮坂静生
一点に寒燈の艶お六櫛/下田稔
笄も櫛も昔やちり椿/野澤羽紅女
大年の櫛笄を選びゐる/池田秀水
稍寒の鏡もなくに櫛る/夏目漱石
秋風の庇黒木屋櫛づくり/及川貞
寒天小屋棚に一枚男櫛/辻田克巳
白髪に櫛の素直や初昔/今野福子
炎昼やお六櫛磨ぐ馬の骨/森靖子
櫛作る水恋鳥の鳴く峡に/太田嗟
かうがいも櫛も昔やちり椿/羽紅
鬢付櫛和泉の大極結びけり/調和
露けさや母の匂の木曾の櫛/林翔
除草機を通す青田の青櫛目/羽公
夏痩や櫛笄を清らかに/野村喜舟
蜻蛉やこの頃芦は櫛り/小杉余子
櫛の歯をひく人足や花の宿/宗外
俳句例:21句目~
筺底に櫛笄や三十三才/三橋鷹女
結綿に花櫛に三社祭かな/野村喜舟
指櫛に嬰の髪梳く青葉風/水下寿代
指櫛に重たき髪や白木槿/澤村昭代
花柄の祖母の梳櫛一葉忌/葉良一彦
花櫛をOLが買ふ藤村忌/荒川梨邨
新しき櫛や油や梳き初め/高浜虚子
西国の粗櫛つかふ花曇り/柿本多映
三日月の櫛や忘れし雪女/佐藤紅緑
新米や妻に櫛買ふ小百姓/正岡子規
梳初や油光りの手馴櫛/高橋淡路女
短日の蔀戸あげて櫛造る/木村蕪城
櫛匣を膝に傀儡の髪手入/伊藤紀秋
日盛や漂流物の中に櫛/夏井いつき
人形の櫛するどくて夏の雨/渋谷道
櫛目なす冬日本郷菊坂町/西村和子
此夕べぬしなき櫛の露や照/炭太祇
残雪の櫛目乱さず裏浅間/倉科紫光
油垢しむ櫛筥に冬日かな/飯田蛇笏
ふところに一枚の櫛雪山へ/岡本眸
俳句例:41句目~
春愁や明治の母の飾り櫛/三谷道子
初髪や蒔絵の櫛の青海波/三原美加
油臭き男櫛あり霧の宿/殿村莵絲子
浮草や洗へば軽ろき恋の櫛/原月舟
燕来る囲炉裏の中の母の櫛/中拓夫
春水のそこひは見えず櫛沈め/鷹女
櫛拭いて秋海棠の花を見て/藤田湘子
あたら秘む櫛笄や己が春/高橋淡路女
夕蛙小さきものに旅の櫛/鈴木真砂女
木曾うらゝ宿の並びの櫛問屋/森田峠
黄楊櫛が光沢放つ秋子の忌/松宮柚二
水櫛の朝さはやかに厨ごと/西島麥南
梅は実に櫛一つなる朝仕度/中村汀女
お六櫛すこし斜めに十三夜/高島朝子
水に櫛沈め七夕ちかき空/神尾久美子
髪に櫛とほりよき朝夏燕/鈴木真砂女
寒流や養ふ鱒を櫛けづり/百合山羽公
櫛挽と木こりと話す日永哉/正岡子規
枯菊を焚く影に櫛落しけり/長谷川双
飼鳥に櫛怠らず枇杷の花/細木芒角星
俳句例:61句目~
青貝の櫛買うて出づ寒昴/文挾夫佐恵
櫛に水つけて髪梳く青山椒/鈴木節子
櫛のごとの骨あり木の葉髪/大熊輝一
花櫛のごとき杏の花くぐる/近藤一鴻
櫛材の夜干し貂の谷ひとつ/宮坂静生
紅の櫛ふところに阿波遍路/有馬朗人
櫛さして寝し幼子や星祭/佐野青陽人
櫛買ふや風こまやかな花芒/山口草堂
新涼や小櫛をのせし母の髪/岡田和子
水櫛に髪しなやかや花芙蓉/中村汀女
旅櫛の銀のよごれや紅薊/島村元句集
祖母の櫛我には弱し鳳仙花/依光陽子
祇園会や千の乙女の千の櫛/有馬朗人
明易の水櫛つかひ父の郷/平井さち子
一と夜さの旅の櫛は花の中/渡辺恭子
春うらら唐導犬の手入櫛/正岡ふみ子
万緑の風を梳きたる母の櫛/金田町子
盆の月妻が遺せし櫛めがね/今泉貞鳳
白菊に汚れし妹が櫛筐かな/西山泊雲
春昼の櫛に絡まるもの哀れ/鈴木鷹夫
俳句例:81句目~
人の世の櫛の落ちたる甘茶かな/有風
春昼の白紙にぬぐふ母の櫛/野澤節子
仲見世や櫛簪に春近し/長谷川かな女
春眠や抽斗一つ櫛ばかり/波多野爽波
初秋の泊るつもりの櫛や紙/鈴木鷹夫
春眠や枕ほとりの落し櫛/高橋淡路女
初霜に櫛目を正す朝の日箭/有馬籌子
櫛笥出て巌に掛かる藤の房/伊藤敬子
櫛買へば雛の酒とて饗しぬ/木村蕪城
暑に抗す櫛一片の身づくろひ/岡本眸
古妻や正月髪につげの櫛/高橋淡路女
白梅や螺鈿蒔絵の母の櫛/佐藤ます子
玉櫛笥秋の光を吸ひにけり/中島陽華
炎昼のきはみの櫛を洗ひけり/岡本眸
木の葉髪大きな櫛を前髪に/星野立子
あさましや櫛笥の中の蛇の衣/正岡子規
母の櫛使えば吹雪く海が見ゆ/大井恒行
母の櫛折りし記憶やかもじ草/越路雪子
水櫛の目の涼やかに姑おはす/大石悦子
水櫛はをとこもすなる沢桔梗/鈴木鷹夫