霞むに関連した俳句の例をまとめました。
霞むを含む俳句例
遠霞知恩院の鐘霞むらし/白雄
蚕飼村抱き荒船山霞む/杉本寛
背水の煙突男霞みけり/仁平勝
破れ鐘も霞む類か鳰の海/言水
霞み行や二親待し小すげ笠/一茶
草霞み水に聲なき日ぐれ哉/蕪村
砲台の舳に霞む港かな/正岡子規
塞北や商人霞む馬の上/松瀬青々
夕暮ややうやう霞む町の鐘/吐月
たゞ霞む春の山あり遠眼鏡/虚子
吟遊や墓現われて人霞む/徳弘純
鐘霞む村を遥かに時計工/北光星
麦だけ青い蜜柑山霞む/北原白秋
霞む日や筑波小さき窓の中/子規
東山鐘霞む寺を竝べ置く/青木月斗
湖中まで霞むうつつの竹生島/草堂
海岸線長き和歌山県霞む/右城暮石
藪原や処もしらず鐘霞む/松瀬青々
時計塔霞みつつ針濃ゆく指す/青邨
前景に光源古神の杜霞む/香西照雄
俳句例:21句目~
夕暮や嵯峨をうしろに鐘霞む/子鳳
夕霞む水ひたひたと祖父の街/原裕
山寺や撞きそこなひの鐘霞む/蕪村
探梅や人目に霞むところまで/耕二
手拭に包める髪や霞む旅/野村喜舟
山住に山又山の霞むなり/松瀬青々
霞みゐる沖胴長の油槽船/塩川雄三
霞みけり漢秦もこの道来/筑紫磐井
日一日霞むや沖の嶋一つ/会津八一
朝餉遅しなか~霞む東山/渡邊水巴
島三つ巴に霞む浦もあり/鈴木花蓑
墨東や橋の彼方の橋霞み/館岡沙緻
山越えの仏ならねど鐘霞む/横山由
羚羊の天の踊場けさ霞む/岡田貞峰
人の死も今は遠くに海霞む/桂信子
羊飼夢を抱きて霞みけり/野村喜舟
霞む野に鶯笛を籟すかな/松瀬青々
伊勢講の船霞みたり常夜燈/堀古蝶
霞む日や人の面に波しぶき/岡本眸
霞む中月日もつとも霞みけり/林翔
俳句例:41句目~
霞むより眼鏡の奥の波の綺羅/原裕
何もせぬ一日霞み頭の中も/斎藤玄
荷を負ひて即ち霞み行きにけり/虚子
送電塔三つめ辺りより霞む/辻田克巳
逆に出る山間霞む木積かな/右城暮石
遠く居て帰らぬ馬や草霞む/会津八一
開墾や川上霞むほとゝぎす/小林康治
日本の霞める中に富士霞む/山口誓子
霊魂の群がり伏して石霞む/石原八束
霞むには青すぎて船動きだす/岡本眸
繭玉や霞むと見えて雪催ひ/増田龍雨
霞む中雪嶺の白あでやかに/相馬遷子
霞む日の夫婦一男一女連れ/広瀬直人
霞む日や巡礼親子二人なり/夏目漱石
むつくりと岨の枯木も霞みけり/杉風
霞む日や虻の眼底火の如し/内藤吐天
わが窓は観世音寺の鐘霞む/山口青邨
空霞み池の鯉またかすみたる/鈴木晶
霞む海電車一駅づつ停る/小野恵美子
鷹ゆけり秋霞みして嶽の雪/飯田蛇笏
俳句例:61句目~
霞む嶺々搾乳の刻牛も知る/中島斌男
一睡は一生花の霞みけり/大木あまり
久方の雪嶺見えて霞みけり/鈴木花蓑
二十で朽ち四十で霞む山遊び/竹中宏
今過ぎし馬入る家や草霞む/高田蝶衣
元日二日京のすみずみ霞みけり/蕪村
全身を現じて土の霞むかな/松瀬青々
白毫のごとき月山鐘霞む/磯貝碧蹄館
木木霞み遠光るもの鷺となりぬ/楸邨
初弁天むらさき霞む竹生島/和田祥子
初霞むとも老の目に幾山河/山口草堂
十国の一つ一つに霞みけり/正岡子規
千里眼年神霞む野に立てり/高澤良一
午からは頭も霞む夏期講座/高澤良一
南部富士近くて霞む花林檎/山口青邨
白地着て己れよりして霞むかな/苑子
去年に似てどこやら霞む年の内/鬼貫
松倒す音の遠くは霞みをり/杉山岳陽
喉過ぎて葛切霞む思ひかな/橋本榮治
畠中や伐られ残りの竹霞む/会津八一
俳句例:81句目~
天竺鐘楼あやふやに霞むかな/松澤昭
小豆島吉備と四國に霞み鳧/内田百間
雪ながら山もと霞む夕かな/宗祇法師
煤の沖暁光すでに霞むかな/小林康治
岩群の中や怒濤に霞む夫/加藤知世子
島二つ色異にして霞みけり/鈴木花蓑
帰るべき山霞みをり帰らむか/小澤實
弟と日暮れを立てば鐘霞む/柴崎七重
興亡の春ほのぼのと霞みけり/中勘助
念仏を蔵する山の霞みゐる/角川春樹
葱の花沖の沖まで霞みけり/松瀬青々
蕪村佛几董菩薩やかね霞む/会津八一
象潟や媼霞みて荒田打つ/加藤知世子
いくさとは赤錆霞む坐礁船/千代田葛彦
茶つみ歌東寺の塔は霞みけり/正岡子規
耶蘇島は海豚跳ぶ灘霞む沖/小原菁々子
群れ霞むヨツトに青年覚めてをり/原裕
しら鷺の舞ひ~霞む田の面哉/幸田露伴
それとなく霞む練習してゐたり/糸大八
晴るる日は霞む狐の名所かな/会津八一