行方に関連した俳句の例をまとめました。
行方を含む俳句例
立雨零行方郡に葵百茎/林桂
鳥雲にゑさし独の行方哉/其角
やよ虱這へ~春の行方ヘ/一茶
箱眼鏡私の行方漂える/秋尾敏
八月の煙の行方大文字/川崎展宏
扨永き日の行方や老の坂/炭太祇
七月の行方烏賊釣火は沖へ/原裕
帰る雁風船玉の行方哉/正岡子規
跡かくす師の行方や暮の秋/蕪村
煤軽く走る行方や雪表/高濱年尾
蛙鳴く風も行方郡かな/勝又一透
解夏草や僧の行方も無き嵐/由平
山おろし早苗を撫て行方哉/蕪村
口癖の吉野も春の行方かな/淡々
流れゆく墨の行方や光悦忌/石寒太
行方床し四方の明樽余波の花/鉄丸
料峭や風の行方の信濃川/遠藤政児
日月の行方の果の雁渡し/秋光泉児
枯葎叱れば行方隠すかも/五島治人
行方もつ鳥は過ぎゆく冬の靄/林翔
俳句例:21句目~
穀象の逃ぐる行方の薬瓶/小原俊一
萩の戸の馬の行方やけさの秋/春蛙
春風の行方を記す海図室/八木荘一
稻妻に水雷艇の行方かな/正岡子規
花屑の轍の行方太宰故地/成田千空
滝壷を離れし水の行方かな/鎌田亮
一陣の風の行方や白魚舟/西村風香
眺めやる野水の行方春浅し/たかし
白靴の来し方行方揃えけり/徳弘純
風花の行方に心遊ばせて/本岡歌子
静けさを深め雪降るわが行方/原裕
木母寺の灯に見る秋の行方哉/暁台
十二月風の行方へ人還る/遠藤とみじ
水鳥の行方追ひゐる鼻に風/高澤良一
氷上に風の行方の定まらず/保坂伸秋
吹きつどふ風の行方や大根引/小田司
流灯の行方の奥の行方かな/池上樵人
猪買いの老睾丸の行方かな/永田耕衣
夏草に風の行方の別れかな/横山衣子
珊瑚つむ船の行方や蜃気楼/松瀬青々
俳句例:41句目~
きく畑や花の行方は雲井まで/千代尼
けふ限りの春の行方や帆かけ船/許六
白雲の行方うつして秋の水/佐藤春夫
白露も末あら簔の行方かな/立花北枝
石仏を去りたる蝶の行方かな/徳弘純
秋暑し駅出て行方戸惑ふも/石塚友二
稲刈られ行方郡あらはなり/大井戸辿
なだれつつ宝木の行方裸押/媛井苔青
綿虫の風の行方を追ふ速さ/岡安仁義
翡翆の田川の行方里曲灼く/下村槐太
はせ違ふ氣車の行方や稻莚/正岡子規
娶らむや知らぬ行方の蝸牛/杉山岳陽
娶る夜の行方や雪も暗く降る/三谷昭
胸ボタンーつの行方神無月/中島斌雄
芙蓉咲く風の行方の観世音/桂樟蹊子
若竹の撓ひて風の行方追ふ/中井啓子
草なびく風の行方や島渡る/松岡健一
寒入日大師の鳩の舞ふ行方/高木晴子
落し水木曽三川の行方かな/加藤玄勝
落鮎と雲の行方と重なりぬ/川上綾子
俳句例:61句目~
蟻出でて川のごとくに行方もつ/房利
名月に飛び去る雲の行方哉/正岡子規
行方知れぬ百短冊や城雲忌/野村喜舟
少年の怒りの行方石榴は実に/高橋翔
一片の落花の行方薮青し/松本たかし
袖摺りて鼻の行方や福笑ひ/増田龍雨
花茨来し方をまた行方とす/深谷雄大
金色に竹落葉飛ぶ行方あり/舞原余史
雲風に行方任する涼しさよ/高澤良一
鰯雲こころの行方なき如し/清水基吉
伝書鳩行方もしらず豆の花/岡本松浜
鶏頭をはなれたる目の行方なし/楸邨
八月の行方や稲に波走り/米澤吾亦紅
八雲わけ大白鳥の行方かな/澤木欣一
引鴨の明日の行方に波やさし/ひふみ
掌に置きし顔の行方の沼氷/栗林千津
冬水の行方浅葱の扉なす空/安東次男
明月に飛び行く雲の行方哉/正岡子規
凡兆の行方しらずも露しぐれ/神崎忠
月明の冬の砂塵の行方かな/高柳重信
俳句例:81句目~
来し方も行方も知れず雪蛍/清水京子
来し方も行方も花の隅田川/大橋敦子
松籟の行方は知らず蟇交る/中川宋淵
形代の行方の水の真青なる/原田豊子
極寒の鳥ちりぢりの行方かな/上田操
水銀の行方も知れぬ春の宵/五島高資
えりを挿す漣の行方に雁の影/石原八束
あだし野の骨の行方や桃の花/吉田汀史
笛の尾の白装束の行方かな/八木三日女
高潮と流れ金魚の行方知れず/山口誓子
飛天舞ふ色なき風の行方かな/奥澤朋子
風花の風の行方を知らざりし/青山一誠
おく露は玉のやうなる小萩かな/行方妻
松虫や閨秀行方知れぬまま/粟津松彩子
雲取の雲の行方や合歓の花/伊丹さち子
隕石の行方たどれば春泥や/小長井和子
遣唐の船の行方やなめくぢら/吉田汀史
ちらばつて春禽風の行方かな/近藤一鴻
秋満つ寺蝶の行方に黒衣美女/西東三鬼
道おしえ消えて行方の暗転す/角田双柿