祖母に関連した俳句の例をまとめました。
祖母を含む俳句例
祖母山も傾山も夕立かな/青邨
芒馳す彼方祖母山傾山/高澤良一
祖母山も傾山も小六月/黒田杏子
遠景に縄綯いし祖母水運ぶ/伊藤和
宇宙図鑑祖母が夢中に夏休/西村操
褪せはてし写真の祖母や蛍籠/楸邨
花柄の祖母の梳櫛一葉忌/葉良一彦
河骨の花に母ゐて祖母遠し/石寒太
丁子かく祖母が布子や初霰/中勘助
祖母八十二歳にて逝く/吉岡禅寺洞
祖母の忌の雛に日溜り蕗の下/飴山實
祖母の縫ひたまひし袴弓始/井阪月子
過ぎ易き祖母の喪の中初菫/野澤節子
衣被祖母のおやつの塩加減/関口/里
祖母の櫛我には弱し鳳仙花/依光陽子
聖樹に燈最も篤信祖母ぎみは/及川貞
母よりは祖母の匂ひの篭枕/島田恒夫
祖母を立木のごとく支へ冬/橋本榮治
笑みかしぐ傾山や大祖母に/河野静雲
タバスコと祖母新しき関係/神山姫余
俳句例:21句目~
祖母谷の小屋の自慢の茸汁/町野好子
祖母恋し正月の海帆掛船/中村草田男
七夕や父口ずさむ祖母の唄/星野立子
春筍祖母の里より賜はりぬ/草間時彦
祖母山の夕明りして麦の秋/秋篠光広
祖母の世の松風今も墓洗ふ/福田蓼汀
来年へ祖母の預かる捕虫網/山縣/勝
大雪の大甕の祖母の甘酒よ/阿保恭子
祖母を恋ふ匂ひ袋の古代裂/梅本悦子
祖母をたのみの子等が厚衾/松村蒼石
狐啼くと祖母の噺の終りけり/福田蓼汀
田螺這ふ祖母は終生農婦にて/斎藤由美
桜餅祖母逝きし日の空のいろ/藤岡筑邨
白菊や祖母の代塩でもの潔めき/草田男
嫌ひな方の祖母に抱かれ墓参り/今井聖
祖母あらず坐るほかなき冬畳/倉橋羊村
祖母として雛遊びの一日あり/山田弘子
祖母となる女の一生花木槿/高橋淡路女
祖母と子の言葉を紡ぐ青葉蔭/橋本榮治
祖母のもの遠き昔の歌がるた/高木晴子
俳句例:41句目~
びいる飲む明治の祖母の女性論/佐藤建
祖母のゐて和食好む子若牛蒡/大橋敦子
祖母の声もともにたたんで秋扇/桂信子
わが減らす祖母の宝の梅酒瓶/福永耕二
ヒヤシンス紫は祖母眠る色/入口久弥女
祖母の忌やきらきら裾に蜆蝶/赤尾兜子
祖母の忌や朝炊めしに花菜漬/森川暁水
祖母の陰百年経てば百日紅/高野ムツオ
恍惚と火事みる祖母の素足なり/皆吉司
祖母も打たるるままや天瓜粉/白岩三郎
亡き祖母に電話の来たる星祭/河村静香
祖母逝くや畳の縁がすこし浮き/仁平勝
紋白蝶お歯黒美しき祖母憶ふ/松尾次子
亡き祖母の面影梅雨の納戸神/堀口星眠
伊予人の誰もが祖母似夜の秋/小泉洋一
把手大き祖母の箪笥や午祭/古賀まり子
傾山と祖母山と連なり冬の雲/後藤緒峰
文盲の祖母は振子とともに哭く/仁平勝
色変へぬ松祖母谿を遮れる/水原秋櫻子
冬青空祖母が煙りに風になる/松本恭子
俳句例:61句目~
花拒み言葉を拒み祖母の咳く/橋本榮治
初点前祖母の帯地の出し袱紗/吉川与音
初笑たしなめつゝも祖母笑ふ/星野立子
花芭蕉母の電話の祖母のこと/対馬康子
蒸かし飯祖母の匂と思ひたる/辻美奈子
初薬師祖母に買ひたる一位箸/安田建司
初詣少年祖母によりそわず/宇野三千女
北窓を開く嘗ての祖母の部屋/草間時彦
卒業の祝ひ袋に祖母と書く/川上須美恵
古時計こたつの祖母の皺刻む/遠藤寛子
薄墨の祖母と木槿の道に遭ふ/有住洋子
蝦夷菊の花咲く頃は祖母恋し/良藤き代
靴下をはいて寝る祖母春よ来い/関裕子
国の祖母浮世の花を見納めに/鈴木花蓑
梅干せば一つ一つの祖母の顔/平井照敏
母たりし祖母の忌日や花菜漬/森川暁水
母方の祖母より知らず麦こがし/岡本眸
炉を開く祖母の伝への清め塩/遊佐英慧
亡き祖母の草履小さし春の土/古賀まり子
手毬つく布哇生れの祖母と孫/保田白帆子
俳句例:81句目~
大戦のかの日日を坐し白き祖母/三橋敏雄
木綿着し祖母をうしろに卒業す/長谷川双
大祖母やひとりで酒を温むる/中田みづほ
炭火吹く祖母美しい日暮かな/森下草城子
だれよりも祖母似と言はれ菊膾/小林篤子
煮凝や歯のなき祖母のおかめ顔/藤森小枝
てのひらに少し栗鳴る祖母の音/中村梶子
小春日の針箱祖母の匂ひみつ/古賀まり子
山国の祖母竹輪一本食べました/松本勇二
松茸の湿り香祖母は茶の襟せし/野沢節子
ポポー食ひ仏の祖母のまた小言/平井照敏
桐箱の祖母の世よりの歌かるた/大橋敦子
祖母山の裾のコスモス高かばい/高澤良一
九十九の祖母と語るや春立つ夜/河野静雲
亡き祖母に買ふ初午の酒少し/古賀まり子
祖母よりの鏡台みがく近松忌/鷲谷七菜子
干柿や祖母の財布の重みもて/殿村菟絲子
祖父祖母も寝しこの宿や順の峰/飯田蛇笏
冬晴や阿蘇の噴煙祖母を越え/野見山朱鳥
冬苺祖母訪はぬ悔かさねつつ/天田牽牛子