地虫に関連した俳句の例をまとめました。
地虫を含む俳句例
荒城に日は高くあり地虫出づ/林徹
空港の全面鋪装地虫出づ/塩川雄三
鳩よりも雀賢し地虫出づ/高木晴子
飯櫃に温き飯あり地虫出づ/桂信子
一巌の見えざる力地虫鳴く/北光星
近松の墓少し濡れ地虫這ふ/赤尾恵以
菊園の晴れ厨房に地虫鳴く/松村蒼石
奈良の鬼京都の鬼に地虫出づ/桂信子
太陽に黒点地虫穴を出づ/岡本まち子
草千里馬の糞より地虫出づ/井手嘯月
地虫出て靴の踵の急に減り/池田秀水
背嚢の黒きを負うて地虫出づ/糸大八
地虫鳴く細道行けば里灯り/小川武記
着る物のほとほと疲れ地虫出づ/林翔
啓蟄の蟻が早引く地虫かな/高浜虚子
地虫穴出るといふ日の街歩く/澤ゑい
百姓の一言返事地虫出づ/米沢吾亦紅
地虫出づ寺に全山案内図/梶山千鶴子
地虫貌出す古代の微笑漂わせ/三谷昭
甕棺の火の色地虫穴を出づ/中田禎子
俳句例:21句目~
某日の昼の底より地虫出づ/深水幸子
地虫鳴き減反集会声つまり/大熊輝一
枯枝影動かずにあり地虫出づ/上野泰
掘り出せし地虫刻々色変る/右城暮石
金策に妻出づ地虫穴を出づ/清水基吉
忙しき人の筆まめ地虫出づ/橋本榮治
下闇や地虫ながらの蝉の声/服部嵐雪
都方よりと聞は諸国の地蟲出ん/羅江
地虫出て日に反転し反転し/小林牧羊
遠ざかる光年の果地虫の夜/三橋敏雄
二百三高地虫の音啻ならず/藤浦昭代
経蔵は白の一色地虫鳴く/佐々木いつき
綿々と阿漕つぶやく鳴く地虫/羽部洞然
老け急ぐ勿れ地虫も穴を出づ/小林康治
耳裏に風こそばゆき地虫出づ/福永耕二
地虫出づ一夜の通夜の薄明に/宮坂静生
きびきびと解剖学者地虫出づ/黒田杏子
豚声の水に揃ふと地虫出づ/大木あまり
地虫出づ仏心仏語湧かしむる/吉田未灰
這ひ出でて分別臭き地虫かな/行方克巳
俳句例:41句目~
地虫出づ天地明るくなる程に/高木晴子
地虫出づ嬰の手足の深くびれ/白井爽風
地虫出づ日の山の音海の音/大峯あきら
遺したくなき物の数地虫出づ/宮地英子
雨の玉土にころがり地虫出づ/橋本鶏二
面こすり地虫出でけり大柳生/渡辺恭子
麗日にあくまで深き地蟲の穴/内藤吐天
黒松の貫禄地虫ぞろぞろ出づ/藤田湘子
地虫出て天日これに近づきぬ/下村非文
地虫出て自分が見えぬ日のありぬ/東都
地虫出て釈迦の横臥や行者越/古館曹人
地虫啼く外は野分の月夜なり/臼田亜浪
地虫鳴く光太郎居の自炊土間/古市枯声
地虫鳴く声を能面じつと聞く/品川鈴子
地虫鳴く外は野分の月夜かな/臼田亞浪
一笑の塚の湿りや地虫出づ/伊藤美音子
地虫鳴く枕ひとつの夜の底に/奥村麻衣
苗床の地虫を箆ではねにけり/高浜虚子
地虫鳴く高千穂野ゆく夕月に/白川朝帆
地蟲出て釈迦の横臥や行者越/古舘曹人
俳句例:61句目~
何も彼も眩しき大地地虫出づ/井口雪嶺
塊に地蟲はまろぶことありて/高浜年尾
停電の夜にて地虫なきいでつ/山口誓子
偸安や罪負ふごとく地蟲出づ/小林康治
兄弟や地虫の穴にうづくまり/西山泊雲
墓原に出たる地蟲同志かな/波多野爽波
半日の休暇をとれば地虫出づ/黒田杏子
厄の年尋常に地蟲出でにけり/田中裕明
奥鬼怒の奥の隠し湯地虫出づ/萩原季葉
呆けても腹の虫鳴く地虫鳴く/後藤綾子
姿見に子の濃き手形地虫出づ/田口里子
寺町の端に住み馴れ地虫出づ/吉田絹子
少年のかさぶた痒く地虫出づ/岩崎健一
帝陵に上らん地虫出でにけり/中瀬喜陽
床土のなれ遅き日の地虫羽虫/喜谷六花
庭下駄に犬の歯型や地虫出づ/高城圭子
愛鷹は雲の溜り場地虫出づ/菊池日呂志
日の暮の青天井に地虫なく/百合山羽公
日輪をゑがきし空や地虫出づ/橋本鶏二
昨日出し地虫も共に悲しめり/池田秀水
俳句例:81句目~
東山はればれとあり地虫出づ/日野草城
桃山の屏風めぐらし地虫出づ/山口青邨
楽鳴らす壁画百仏地虫出づ/岡部六弥太
槐に地虫はまろぶことありて/高濱年尾
混濁の世に罷り出づ地虫かな/中野拓也
渓音も朝は朗らか地虫出づ/今井千鶴子
父葬りたる土よりも地虫出づ/橋本一水
百仏に穴を出あそぶ地虫かな/河野静雲
箸ほどの地虫の穴に冥さあり/前山松花
地虫いづわが一生も末見えて/百合山羽公
あり貌に跳ねる地蟲や牡丹の芽/渡邊水巴
芝焼くやどこかで地虫鳴く声す/河野南畦
地虫出て風土記の丘に紛れけり/前山松花
追ひ腹の墓とは淋し地虫鳴く/市橋聖城子
峯づくる夜雲明るく地虫鳴く/金尾梅の門
地蟲出ですぐ戦ひのすがたなり/玉城一香
こんなにも淋しい景色地虫出づ/田中裕明
地虫の窓覗く巨大な影となり/八木三日女
杖先のおちいるところ地虫出づ/井沢正江
竿竹屋来るたび特売地虫出づ/椙本千代子