楠に関連した俳句の例をまとめました。
楠を含む俳句例
其中に楠高し青嵐/正岡子規
楠や大枯藤を腕掛に/河野静雲
楠を一巡りせり初詣/河田青嵐
紙子着て樟柱にさはる音/銭し
眼前に楠の高さや更衣/森澄雄
短夜や楠殿の泣き男/会津八一
蘭夕狐のくれし奇楠をむ/蕪村
夢の蝉ならずこの楠かの榎/耕二
炎天の樟を越えつつ兜虫/鈴木元
献燈は丸亀汽船樟若葉/高澤良一
樟落葉首塚といふ石囲/高橋喜祐
楠若葉聖開山は筑紫人/河野静雲
松隆と樟隆々と十二月/高澤良一
楠が腹切るあとの梅のはな/曾良
大樟の風にあふられ初鴉/小島健
幹百年いま百日の樟若葉/花谷清
粟田御所回春楠の常緑/高澤良一
城山に明治の匂ふ樟若葉/原田昭
年歩む大樟の根の砧石/岸原清行
千年の楠に手を当つ初詣/園本穹子
俳句例:21句目~
千年の楠の大樹の金若葉/高橋悦男
楠若葉団地全棟全戸老ゆ/小川軽舟
寒凪や樟に日の裏日の表/長田群青
漆黒の樟は寒気を放ちけり/有働亨
子鴉の姿もやがて樟樹頭/高澤良一
囀や拳が混ざる飼葉楠/長谷川エミ
楠若葉脇観音に徹しをり/佐川広治
夜這星陰々として神の楠/川崎展宏
樟多き熊本城の若葉かな/京極杞陽
樟の芽明つてもう引越だ/北原白秋
樟の花八幡神社鎮めけり/高澤良一
農閑の仕事は何ぞ楠若葉/中村汀女
初彫の樟の香高く人形師/大島民郎
引継もいと簡単に楠の蝉/高澤良一
昭代の樟二千年蝉音降る/田中英子
撫子にかかる涙や楠の露/松尾芭蕉
一日の樟の落葉の恐しき/平田寒月
大雨が洗ふ札所の樟若葉/新田祐久
頼瑜忌や根来山上樟の秋/門屋大樹
大樟は神の依代淑気満つ/高橋沢子
俳句例:41句目~
春蝉の宿は日影に楠暗し/久米正雄
陸橋のらせん階段樟若葉/森田たえ
神の蛇楠千年の枝を張り/福島芙美
枝伝ひ寒禽弾む御所の楠/高澤良一
案内者の楠語る花見かな/正岡子規
新緑の樟よ椎よと打仰ぐ/高木晴子
農閑の仕事は何ぞ樟若葉/中村汀女
立冬の風揉み出す樟大樹/宮津昭彦
楠の冷八十八夜足袋をはく/森澄雄
西南の役見し大樹楠若葉/北澤瑞史
大樟に鴉きてゐる朝曇り/上野澄江
伐り倒す楠匂ひけりくれの春/闌更
色里に神鎮まりし楠若葉/富安風生
八百楠の囲める宮の初詣/高澤良一
わが庵の即ち楠の初明り/星野立子
楠若葉即非の大字吹き通す/志城柏
千年の樟息づける春落葉/神山果泉
蜂の来て知る楠の帰り花/依光陽子
犬楠の木は石より堅し旱星/古舘曹人
短夜の楠に沈める音ばかり/藤田湘子
俳句例:61句目~
神在す青葉の楠の畏けれ/小川濤美子
秋晴や女神を守る楠二本/大峯あきら
若葉して千年と言ふ楠大樹/柴原碧水
蚊柱や楠の幹にも立ならひ/正岡子規
街の鳥此処に憩へり楠新樹/高澤良一
造船の音をよろこび楠若葉/堀口星眠
鷽替の声が渦巻く楠の闇/岡部六弥太
余花有りとも楠死て太平記/山口素堂
冴返る墓前に吟じ小楠忌/宮川杵名男
千年の楠の洞穴したたれり/佐藤豊子
倒さるる樟百年の茂りかな/黒木崇美
千年の瘤にひこばえ樟若葉/河野頼人
大樟に凭れば年ゆく風の音/岸原清行
囀のやむとき楠の大樹あり/中尾吸江
城垣の石がせり出す楠若葉/清水弓月
壬生屯所今に残して楠若葉/塩川滋也
夕闇は楠より立てり義仲忌/奥坂まや
大樟の落葉降りつぐ桶狭間/角南英二
妹山の玉なす楠の若葉かな/前田普羅
大樟は田の神なりし鳥雲に/高橋千美
俳句例:81句目~
島かけて島津雨てふ樟若葉/永井龍男
手繩干す鵜匠の庭や樟若葉/園島十雨
日を浴びてさざめく樟や小正月/静二
月は十五夜入魂の樟となる/稲垣晩童
樟大樹山の寒暮が海に移り/長谷川双
樟山の中の茶山や咲き揃ふ/林原耒井
樟山の団々炎ゆる若葉かな/石塚友二
木枯や楠くぐりぬく濠の水/横光利一
樟悩舟どこまでゆけど洗面器/辻桃子
樟若葉樟一本のほとけかな/安東次男
楠に二筋われるかやりかな/正岡子規
満天の波羅蜜の世の樟若葉/鈴木太郎
楠の実の黒涙を踏む爆心地/三嶋隆英
玉虫舞ふ樫と樟との間にて/石田波郷
瘤嫌ふ樟と瘤好く冬けやき/高澤良一
行く春の大樟木を抱きに行く/土谷倫
鎮守府の官舎の樟の春落葉/高澤良一
楠の根を静かにぬらす時雨かな/蕪村
青あらし七百歳の樟の息/百合山羽公
鬱然たる樟の歳月葉を落す/川崎展宏