夜空に関連した俳句の例をまとめました。
夜空を含む俳句例
稲を干す村の夜空の鱗雲/中拓夫
洗ひ髪夜空の如く美しや/上野泰
鳥渡る夜空の音を肴とす/飴山實
銀鼠色の夜空も春隣り/飯田龍太
赤々と夜空縮みて虫送り/中西舗土
夏めくや水なす夜空帆なす雲/林翔
宝石商冬の夜空を持ち帰る/六角耕
灰色の夜空の下の雪の山/高木晴子
冬桜夜空に枝の仔細あり/小川修平
冬花火秩父の夜空匂ふごと/杉本寛
蓮如忌の一枚夜空疾風なす/森澄雄
胸板に夜空近づく祭の村/大井雅人
夜空より大きな灰や年の市/桂信子
寒参夜空の青さ沁むばかり/岡本眸
雨雲の夜空となりつ富士詣/岸田稚
お水取済みし夜空に星秀づ/高澤良一
羽音なほ夜空に残し蚊喰鳥/稲畑汀子
紺暗く夜空は簾ふちどりぬ/石田波郷
大藪の揺るゝ夜空や花の雨/渡辺水巴
柿の木の夜空をあるく祭笛/桜井博道
俳句例:21句目～
木犀の香に光年の夜空あり/工藤義夫
梅雨の夜空へ工場の熱の煙/津田清子
小説の冒頭夜空晶子の忌/神尾久美子
砂丘昏れ五月夜空を青が占む/岸田稚
白鳥の別れ夜空に雪嶺泛く/石原舟月
深まりて夕空夜空お雛さま/金子皆子
夜空澄み霜害過ぎし星湛ふ/相馬遷子
兜虫放ち夜空の張り知れり/村越化石
枝豆や夜空に近く座りをり/金子秀子
大欅芽吹かむ気配夜空より/相馬遷子
夷講信濃の夜空山ばかり/加藤知世子
流燈の浮みし紺の夜空かな/細川加賀
氷像の竜は夜空に昇り立つ/菊田琴秋
花会式夜空に塔は忘れられ/丸山哲郎
花過ぎし篝平野家夜空濃き/渡邊水巴
菊の露夜空朝空うつくしく/西島麥南
七月の夜空の潔さ群青忌/渡邊千枝子
葛の花夜空ほとほと滴れり/加藤楸邨
踊る掌を夜空へ返し風の盆/池田秀水
遠き日の見ゆる夜空や雪祭/本庄志帆
俳句例:41句目～
遠風か夜空に満つる秋の声/阿部次郎
八朔の夜空は山の匂ひせり/皆川盤水
酪農に雁ゆく夜空曇りけり/西島麦南
冬帽を脱ぐや蒼茫たる夜空/加藤楸邨
冬星座夜空果てなき多面体/尾崎堅一
鉱炉の火夜空を焦す祭かな/田村了咲
雪壁の炎ゆる夜空ぞ鴨帰る/堀口星眠
風荒き夜空に雁の帰るかな/高木晴子
高原の夜空は高し流れ星/赤木タモツ
黄梅や夜空あかるき雨の音/石飛如翠
滾々と雪ふる夜空紅きざす/成田千空
噴水の音のたしかな夜空かな/下村福
四万六千日なる大き夜空あり/岸田稚
桐咲くと夜空も蒼さ失はず/斎藤空華
火の島の夜空焦せる神の旅/梶原宇良
漆黒の山が夜空に文覚忌/鷲谷七菜子
夜空にも人住む街のラムネ玉/中里結
紅梅の夜空がそこに多喜二の忌/原田喬
空鞭のひびき夜空に橇を駆る/水見寿男
しんしんと月の夜空へ柿若葉/中村汀女
俳句例:61句目～
なにはづの夜空はあかき外寝かな/篠原
疲れ鵜に水面を均らす夜空かな/渋谷道
牡蠣船の上に橋あり夜空あり/中川蓬莱
桐一葉電柱きはやかに夜空/波多野爽波
水中花夜空すみずみまで夜空/吉田輝二
燈籠の絵にも廻れる夜空あり/後藤夜半
枯れをはる夜空の銀杏神還る/皆吉爽雨
火祭の夜空に富士の大いさよ/伊藤柏翠
打ち晴れし神田祭の夜空かな/高浜虚子
日本の夜空きれいに星祭り/成瀬正とし
桃色の夜空を誰のいかのぼり/柿本多映
火を焚いて夜空にありし鯉幟/進藤一考
五月夜空叉光敵機を放たざる/林原耒井
雁のきのふけふなる夜空かな/細川加賀
山桜青き夜空をちりゐたる/石橋辰之助
冬の星屍室の夜空ふけにけり/飯田蛇笏
残雪も夜空にしろし梨の花/水原秋桜子
凩の吹き初め奈良の夜空見ゆ/右城暮石
星合の夜空へ普賢岳還りけり/小西藤満
春祭り夜空を低くうばひたり/金田咲子
俳句例:81句目～
南蛮の花綴りあふ夜空かな/八木林之助
聲幾重帰雁に夜空ありにけり/依田明倫
堂押祭果てし夜空の雪嶺かな/本宮哲郎
東京を蟲鳴きかこむ夜空低く/内田百間
夜鷹鳴き雪渓のみの夜空あり/太田蓁樹
夜空よりどすんと雷や花菖蒲/岸本尚毅
檸檬買ふ夜空の青さ春なりし/館岡沙緻
月鉾にひと雨くれし夜空かな/細川加賀
虫送り夜空が山を降りてくる/板谷芳浄
更けながら夜空は青し虫送り/清水基吉
大風の夜空きらめき銀河見ず/原田種茅
通り魔が鴉にのりて夜空ゆく/横山白虹
夜空染め遠火事消ゆる猫の恋/宮武寒々
檣燈を夏の夜空にすすめつつ/山口誓子
望は翌夜空にたたむ雲の冷え/飯田蛇笏
鉦太鼓炎となり夜空焦すまで/勝村茂美
子等やいま雁の夜空の星の中/西島麦南
春雪をちらりと見せし夜空かな/岸田稚
雨きらきら鬼灯市の夜空かな/北澤瑞史
雨乞の注連も動かぬ夜空かな/内藤鳴雪
