語るに関連した俳句の例をまとめました。
語るを含む俳句例
従弟どち月に語るや魂祭/白雄
君語る杞陽桜の物語/山田弘子
くすり喰人に語るな鹿ヶ谷/蕪村
漕ぎつれて語る小船や海長閑/抱
退出を更に暖炉に語るかな/悟空
燈籠や愁を語る酒の上/松瀬青々
それぞれの私が語る心太/秋尾敏
親と子の浮世を語る榾の影/暁台
八十の彼岸聾となりてゐし/麦草
憂ことを海月に語る海鼠哉/召波
漏る雨を人と語るや春の宵/太祇
又語る夫の遺影に鉦叩/稲畑汀子
口軽く病を語る百日紅/相馬遷子
唐扇や當年を語る鬚男/会津八一
聞くも花語るも花の盛かな/豊山
素人の平家を語る寒哉/正岡子規
韓信の漂母と語る蚊遣哉/寺田寅彦
雪催明るく語る不治の友/片山栄三
雛酒や汐干を語る国家老/高井几董
長き夜の寝覚め語るや父と母/召波
俳句例:21句目~
釣堀や隠居と語る夏木立/滝井孝作
山中に銀河を語る大銀河/中島斌雄
一休の髑髏と語る日永哉/寺田寅彦
郷土史を語る北窓開かれし/松浦釉
語る夜のつき~しさよ桐火桶/白雄
朽縁や芒の月に語る人/島村元句集
訥々と農改革を炉に語る/坂口瑶子
案内者の楠語る花見かな/正岡子規
御生涯五分で語る花御堂/林みち子
夜寒よと語るか指が指に触れ/林翔
恋人と書院に語る雪解かな/泉鏡花
休暇語る汗の生徒ら燦爛たり/林翔
恋猫と語る女は憎むべし/西東三鬼
杜若語るも旅のひとつ哉/松尾芭蕉
恋語るもあるべし春の海/佐藤春夫
夜寒よと語るか指に指が触れ/林翔
愛語る黒人いわし雲の襞/対馬康子
螢火や女人の語る平家琵琶/石井保
秋の暮物打語る人もなし/角田竹冷
初便り一子を語るつまびろか/汀女
俳句例:41句目~
杣暮し語る蝮の傷みせて/宮中千秋
殺人を語る女の鼻梁かな/九堂夜想
抱關と撃柝と語る夜寒哉/寺田寅彦
病人と靜かに語る師走哉/正岡子規
反戦を語る翁は汗拭かず/徳久太一
昼顔や釣師と語る葭干潟/石塚友二
玉蘭と大雅と語る梅の花/夏目漱石
歳月を語る露けき窟の彩/稲畑汀子
初秋や梢に語る松つくり/正岡子規
花舞うや若人語ること多く/磯直道
声秘めて語る星空花柘榴/石塚友二
鯖雲や大神風のこと語る/河野静雲
細見綾子井上雪を語る冬/黒田杏子
浪曲の夏めき語る蓄音機/筑紫磐井
髪結に持病を語る火鉢哉/会津八一
種伏せの遅速語るや小百姓/伊藤観
妻を語る秋栗色の大きな眼/成田千空
小格子や遊女と語る春の宵/正岡子規
山羊髭の人類学者春を語る/高澤良一
弾き終へし楽士と語る氷水/岩瀬木蘭
俳句例:61句目~
恋訥と語る教師や花袋の忌/高野邦夫
手焙りや一夜で語る半生記/服部芳子
摂待はひまで身の上語る也/松瀬青々
日が語る花街生活海を背に/飯田蛇笏
せがまれて語る青春鳥雲に/仲村青彦
春愁を語るに足らず村の人/高田蝶衣
朝顔の嫗と語る零余子かな/尾崎紅葉
鷹匠のマイクで語る鷹のこと/本井英
梅雨の墓心に語ること多し/高木晴子
はらからのつきせぬ心語る秋/原石鼎
梟や愛を語るにこともなげ/二村典子
ふらここで分子生物学語る/石王立冬
よべ春の月の細きを語る窓/稲畑汀子
水仙に偲び煖炉に語るべく/山田弘子
水替へて金に語る老いし父/吉永紅一
水鼻に旅順を語る老女かな/正岡子規
温め酒還らぬ人を語る夜は/村山道子
父の忌の春星遠く語るらく/中島斌雄
生きること神父が語る花林檎/源鬼彦
人偲ぶとは語ること夏木立/大井雅人
俳句例:81句目~
今は昔地震を語る火鉢かな/佐藤紅緑
生垣の上より語る小春かな/夏目漱石
禅僧と禅庵に語る柚味噌哉/寺田寅彦
秋の夜や学業語る親の前/河東碧梧桐
僕が主人公の童話を語る冬薔薇/林桂
元日や何やら語る鶴四五羽/正岡子規
竹婦人ある夜窃に語る人/岩谷山梔子
置き薬入れ替へ語る風の盆/田中英子
老子虚無を海鼠と語るの棚/寺田寅彦
腹這ひて語るも旅の蒲団かな/鞍悦子
加湿器に何を語るや古代雛/奥村京子
舞踏の人薔薇花前に語る哉/尾崎紅葉
境涯は語るべくあり河鹿宿/井上哲王
虫賣の虫賣と語る嵯峨の道/正岡子規
夏百日謡ふは語る獨かな/松根東洋城
行秋や人生語ることもまた/稲畑汀子
逝く春の病者と語る熔岩頭/萩原麦草
野の宮の別れ語るや小百姓/松瀬青々
夢語る子の清浄の白き息/つじ加代子
頭巾着て平家を語る法師哉/正岡子規