灸に関連した俳句の例をまとめました。
灸を含む俳句例
武士の寒き肌や大灸/前田普羅
寅背中とてけふも灸せず/山店
痩馬のあはれ灸や小六月/鬼城
み仏の前に肌ぬぐ二日灸/藤掛
風の子や裸で逃げる寒灸/一茶
仏恩に熱き涙や二日灸/小杉余子
何病の其筋々や二日灸/矢野奇遇
二日灸きかぬ薬を枕元/高田寒水
灸の点干ぬ間も寒し春の風/許六
抽斗の和同開珎二日灸/長谷川双
先人も惜みし命二日灸/高濱虚子
わが肩に上る煙や寒灸/下田実花
腹に背に灸あと痒し若楓/悌二郎
待となき二日灸の来りけり/大夢
本堂を待合室に二日灸/茨木和生
初灸翁も据ゑし足三里/小山陽子
紅梅に灸掛け干す垣根かな/琶扣
思ひ出でぬ二日灸を恋の種/言水
草餅のこゝは灸の名所哉/正岡子規
お念仏申し耐へゐる寒灸/杉森干柿
俳句例:21句目~
かくれ家や猫にすゑる二日灸/一茶
入院を少し延して土用灸/金盛素秋
出女を相手や旅の二日灸/正岡子規
背中より毒の煙や二日灸/高浜虚子
日当れる障子のうちや二日灸/篠原
老足に足袋美しや二日灸/後藤夜半
十郎や五郎も共に二日灸/正岡子規
善根に灸居てやる彼岸かな/炭太祇
恋衣抱きしめけり二日灸/滝川愚仏
笈磨れの尊き肩や二日灸/飯田蛇笏
秋祭果て木曽馬の足に灸/垂見菊江
土用灸真赤な雀飛びちがふ/菅裸馬
恋人の肌覗きけり二日灸/川合仙子
大叔母は崋山の妻や土用灸/辻桃子
少壮老い易く二日灸かな/高田蝶衣
一瀑に潮風まとふ土用灸/古舘曹人
一瞬の心の張りや一ツ灸/飛鳥雅子
大津絵の風神嗤ふ二日灸/羽田岳水
中国は五台に学び土用灸/有馬朗人
山寺の日がな賑ひ二日灸/八木昌子
俳句例:41句目~
猶遠き行脚の足や二日灸/大谷句仏
女房の我慢の眉や二日灸/日野草城
われと子と命尊し二日灸/前田普羅
灸点をぬるや二月の筆初/正岡子規
夜桜へ悪徳灸師と錠前師/攝津幸彦
声高に灸のはなし入彼岸/土田桂子
灸のない背中流すや夏はらへ/蕪村
灸から命のけむり鳥渡る/天川晨索
神鳴の灸する絵も扇かな/中村史邦
わが齢支へし脚に寒灸/白石天留翁
鍼灸の外で鶯啼いてをり/鈴木鷹夫
灸してなきしも我ぞ魂祭/中村史邦
邯鄲の枕かゝへて二日灸/松瀬青々
行商の旅の前夜の二日灸/天野菊枝
葉桜となり貼紙に寺の灸/広瀬光彦
渋鮎を灸り過たる山家哉/高井几董
関守の灸点はやる梅の花/小林一茶
あかがりをいざ灸せばや苅干火/惟然
夫留守の部屋匂はせて寒灸/大内迪子
寒灸のここが地獄の入口か/木田千女
俳句例:61句目~
寒灸の肩を互に老いゆくか/舞原余史
寒灸や痩身に火を点じたり/村山古郷
かな~や母よりのぼる灸の煙/飴山實
寒灸よりどころなき瞳をつむる/雨丈
寒灸小さな背中曲げて待つ/熊谷芳洲
しっかりと抱へる膝や寒灸/奥田草秋
寒灸師山家に来り泊りけり/前田普羅
すゑ残る一つに熱し二日灸/佐藤紅緑
寺詣りせし夜の更けて寒灸/大野信子
桜紅葉拾ひ妹が名灸り出す/田中水桜
料峭や灸ればちぢむ一夜干/新庄八重
なよ竹の雪折れ妻や二日灸/菅原師竹
ねんごろに誘ひ断る寒灸/神場さとる
春の雷年増の全身灸を待つ/宮武寒々
水傷に好けん水灸五月雨に/内田百間
灸して泣きしも我ぞたままつり/史邦
炮烙灸雨にさみしき土用丑/大谷句佛
百姓に大慈大悲の二日灸/築城百々平
石垣の菊灸らるゝ藁火かな/芝不器男
神農の虎と酔ひゆく鍼灸師/羽田岳水
俳句例:81句目~
秋に泣くふるき病や二日灸/松瀬青々
糠のごと小菊が咲きて灸寺/宮津昭彦
色つぽき手の甲の灸妓の秋/西本一都
花に行く足に二日の灸かな/正岡子規
衝立のへだつ背二つ二日灸/井沢正江
一泳ぎせり鍼灸の待ち時間/茨木和生
下駄箱に白緒がひとつ寒灸/石田勝彦
足弱の妻をいたはり土用灸/奥田草秋
亀の尾も残さず二日灸かな/松山華水
還俗の僧のいやがる二日灸/正岡子規
野山焼く頃や足にも二日灸/正岡子規
野阜の櫟伐られぬ二日灸/曽根原幾子
二日灸乳飲子ひしと擁きぬ/石田波郷
馬ノ灸ノ張紙出タリ摩耶参/正岡子規
二日灸和尚は灸の上手なり/正岡子規
二日灸石見は雨の濤の数/大峯あきら
二日灸遠鶯を聞きて堪ふ/岡本癖三酔
二日灸閨に西施の臂を噛む/尾崎紅葉
二日灸障子の破れ庭を見る/内田百間
初灸吉野ふみしも思ひ出に/島田五空